2020年ラリー・ジャパンまであと1年。リハーサルのセントラル・ラリーで見えた「いっぱいの“バツ”」

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2019年11月12日 11:31  AUTOSPORT web

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モリコロパーク内の特設ステージを走るトヨタ・ヤリスWRC。コース脇からは多くのファンが走りを見守った
2020年11月19〜22日に開催されるWRC世界ラリー選手権第14戦『Rally Japan(ラリー・ジャパン)』を見据えたリハーサルイベントのセントラル・ラリー愛知/岐阜。Rally Japan運営事務局の高橋浩司事務局長は「本当にいっぱいバツが出てきた」と2020年の“本番”へ向けて問題点の洗い出しができたと語った。

 トヨタ・ヤリスWRCやシトロエンC3 R5、シュコダ・ファビアR5といった、日本ではなかなか目にできないラリーカーが参戦し、国道を閉鎖したステージで民家脇をマシンが駆け抜けたセントラル・ラリー。名古屋のテレビではセレモニアルスタートの様子が生中継されるなど、モータースポーツファン以外からも多くの注目を集めた。

 ヘッドクォーターとなった愛・地球博記念公園(モリコロパーク)や山間部のステージに設けられたギャラリーエリアのチケットはすべて完売。リエゾン(移動区間/ロードセクション)にも多くのファンが立ち、選手たちに声援を送っていた。

 イベント自体は無事に終了したものの、初日午後に予定されていたSS5の“Nukata 2”は交通状況の悪化によりキャンセル。2日目もスケジュールの遅延から、モリコロパークで行われたSS11は約30分ほどディレイとなり、最終SS14では国内格式部門の走行がキャンセルとなった。

 ラリー競技においてSSキャンセルはよくある出来事だが、2020年のラリー・ジャパン開催時期は紅葉シーズンにも重なる。SS5のキャンセルについては事故渋滞が要因だったようだが、ラリーファンと紅葉目的の観光客が重なれば渋滞のさらなる悪化も予想されるだけに、何らかの対策が求められる部分だろう。

 またキャンセルやスケジュールディレイに関する情報についても、公式サイトやSNSで発信されていたものの、ギャラリーエリアなどでのアナウンスが迅速に行われず、情報発信に不足があった感は否めない。

 大会を運営したRally Japan運営事務局の高橋事務局長は「今回のラリーは組織体制やさまざまな手続き、大会運営などがうまく機能するかどうか確認することを第一の目標にしました」と、あくまで2020年の“本番”に向けたテストイベントだったと強調する。

「当初は無観客試合としてやることも検討していましたが、トヨタさんがヤリスを持ってきてくれることになり、そのほかにも何台かR5車両が走りそうとなったときに、(ラリー・ジャパンの)PRとしても効果があると思いましたし、なによりお客さまに見たいと思ってもらえるイベントになりました」

「そのため当初の予定を変更し、ギャラリーエリアを設けました。しかし、それも最低限。今の体制で我々がコントロールできるだけのキャパシティです」

「PRもあまり資金をかけずにできる範囲でやるということでした。そういった意味では、お客さまに来てもらうための仕掛けや情報発信は、時間のないなかでやったので、非常に弱かった。この部分は反省材料です」

■2020年ラリー・ジャパンまで1年。「年内に反省を終え、年始から動き出す」

 セントラル・ラリーはRally Japan運営事務局として初めて開催したラリーイベント。実際に開幕を迎えるまで「なにが問題になるのか、それすらもわからないような状態」だったと言う。

 しかし、大会を終えて「本当にいっぱいバツが出てきました。一個一個潰していくのが大変なくらいですが、これを知らずに2020年を迎えていたら大変なことになっていたなと思う」と収穫は多かったようだ。

「事前準備に関しては時間が足りなかった、不慣れだったという部分でお客さまやエントラントのみなさまに迷惑をかけてしまったという意味で自己採点は20点くらいです」

「PRの面についても、テストイベントとしてコントロールできる範囲でやる計画でしたので、そこまで(積極的にPR)する考えはありませんでした。しかし、お客さまからすれば情報不足であることに変わりはないので、そこも20点くらいの評価です」

「運営面では、今回現場に入ってはじめて顔を合わせたような競技スタッフもいました。お互い初対面の状態でコミュニケーションを取っていく必要がありました」

「しかし、(5日の)火曜日くらいから5〜6日間一緒に働いたことで、来年はお互いの顔がわかった状態で準備ができます。そういうところでテストイベントを開催した意味は十分にありました」

「セントラル・ラリーの準備期間はおよそ半年くらいで、ようやくなんとか開催できたという形。2020年のラリー・ジャパンに向けては、やらなければいけなことが具体的に見えている状態で、あと1年になります」

「2019年内にはすべての反省会を終えて、年始には具体的に動き出します。もう明日(11月11日)から始まると思っていますよ」

「競技チームは年内、雪が降る前に今年の反省を踏まえてコースを組み直して、来年の2〜3月には非公開のアイテナリー(スケジュール)を一度作りたいと思っています。コースが決まらないと行政的な手続きを進めることができませんからね」

「春には道路使用許可申請手続きを取りますし、(2020年WRCが開幕する)1月にはどんな車両がラリー・ジャパンに来るのかも分かるので、カルネナンバー(国際ナンバー)など、そういった運行許可証のことも進めなければなりません」

 このセントラル・ラリーにはFIAからもスタッフが派遣されており、大会をWRC基準に引き上げるべく、マーシャルの立ち位置やレスキュー車両の停車位置など、さまざまなレビューを受けたという。

 なお、FIAによる視察の成果としては、10日(日)に行われたセレモニアルフィニッシュ時に、「FIAによる医療査察をクリアした」(坂井正治セントラル・ラリー大会組織委員長)ことが発表されている。

 テストイベントを終えて、2020年の“本番”へ向けて始動し始めたラリー・ジャパン。開幕日の2020年11月19日までの間、ファンにとっては待ち遠しい日々だが、運営事務局としては激闘の日々となりそうだ。

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