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田原総一朗「閣僚の愚行でガタガタの安倍内閣が続く情けない理由」

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2019年11月13日 07:00  AERA dot.

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写真田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
 ジャーナリストの田原総一朗氏は、相次ぐ閣僚の辞任、失言に安倍内閣の緊張感のなさを指摘する。

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*  *  *
“政治とカネ”を巡る問題で、菅原一秀経済産業相と、河井克行法相が相次いで辞任した。

 菅原氏は、選挙区の有権者に贈答品を配っていた疑惑で野党から集中砲火を浴びていたのだが、その最中に香典問題が浮上したのだ。そして河井氏は、妻である案里氏の陣営が、参院選で運動員に、定められた金額の2倍の報酬を支払っていたことが露呈したのである。

 第2次安倍内閣になってから、10人の閣僚が辞任している。

 さらに萩生田光一文部科学相の「身の丈に合わせて」というとんでもない失言が出て、このために2020年度から活用される予定だった英語の民間試験が導入延期となった。河野太郎防衛相の失言もあった。

 こうした、閣僚の相次ぐ辞任や失言は、明らかに安倍内閣が緊張感を失い、気が緩んでいるためである。7年間と長く内閣が続きすぎたためであろう。通常ならば、森友・加計疑惑などで内閣が変わっているはずである。国民の70%以上が問題だと捉えていながら、なぜ安倍内閣が続いてしまったのか。

 一つは、野党が弱すぎるからである。12年から国政選挙が6回行われ、すべて安倍自民党が勝っている。なぜなのか。

 国民の多くは安倍首相の経済政策、いわゆるアベノミクスが成功している、とは捉えていない。安倍首相は、日銀の黒田総裁と組んで、異次元の金融緩和を敢行した。円をどんどん発行すれば需要が拡大すると考えたのである。だが、需要は拡大せず、負債ばかりが増えた。先進国の中で負債が最も多くなってしまっている。

 だから、選挙のたびに、私は野党の代表たちに強く求めていた。

「国民はアベノミクスの批判など聞きたくはない。あなたがたの党が政権を奪取したら、どのような経済政策を行うのか。アベノミクスの対案を示してほしい」と。

 だが、どの野党からも対案らしきものは示されなかった。

 だから、国民の多くはアベノミクスに満足しているのではなく、どの野党からも対案が示されないので、やむなく我慢しているのである。

 どの野党も、政権を運営する具体策を示していない。だから、安倍内閣は少なからぬ問題を噴出させながら、7年間も続いているのであり、そのために、自民党の議員たちが緊張感を失っているのである。

 さらに問題は自民党自体にもある。

 かつて、自民党の首相が辞任するのは、野党との闘いに敗れたためではなかった。自民党には反主流派、非主流派などがあり、党内での論争に敗れて交代したのである。岸信介、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、宮沢喜一らである。その意味では、自民党は自由で民主的な政党であり、自由に論争ができたのである。

 だが、選挙制度が小選挙区制に変わって、事情は大きく変わった。

 小選挙区制では、一つの選挙区で党から1人しか立候補できない。そして、立候補するには党から公認されなければならない。そのために、候補者は党の執行部に気に入られなければならず、いってみれば安倍首相のイエスマンにならざるをえない。安倍首相は、野党にも、党内の誰にも気を使う必要がないことになる。

 安倍内閣の閣僚たちがこれほどガタガタになっていて、かつてならば、党内で「次は自分だ」と名乗り出る人間が必ずいたのだが、それが誰もいない。情けないかぎりである。

※週刊朝日  2019年11月22日号

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