眼科医6割が“増えた”と実感、目の「角膜」の病気

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2019年11月13日 14:20  QLife(キューライフ)

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“3コン”が原因で現代人の目の健康が脅かされている

東邦大学医療センター大森病院 眼科教授 堀裕一先生

 肌の乾燥が気になり始める季節になりました。でも、乾燥は肌だけでしょうか?目も同じく乾燥しがちで、肌と同じように丁寧で適切なケアが必要と言われています。スマホの酷使や長時間PC作業で「いつも目がしょぼしょぼ、10秒以上目を開けられない」という人は、季節要因が加わると……。

 ライオン株式会社は、目の乾燥などにより発症するとされる「角膜上皮障害」の診療実態について眼科専門医101人を対象に調査を実施(2019年9月)。その結果を踏まえたメディアセミナーを都内で開催しました。この調査を監修した東邦大学医療センター大森病院 眼科教授 堀裕一先生が登壇し、「眼科医101人を対象とした角膜実態調査から読み解く」と題し講演。続いて、点眼薬において同社との共同研究に携わる順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科先任准教授の土至田宏先生が「角膜上皮障害の対処法とビタミンA」と題して講演を行いました。

 「角膜は目の黒く見える部分を覆う透明の部分。異物が入ってこないようバリアする役割、また、カメラのレンズのように被写体との遠近を調整し、情報を正確に取り入れる機能があります。角膜は5層構造で、その1番上が角膜上皮層。この部分の細胞が肌のようにターンオーバーすることで正常に保たれます」と、堀先生はまず角膜の機能を解説。

 そして、この角膜は今、「エアコン・パソコンコンタクトレンズ」、この“3コン”の普及である病気の発症に脅かされていると言います。「これらはいずれも目の乾燥を引き起こす要因。角膜上皮障害は、ドライアイやアレルギーなどのさまざまな原因から角膜が傷つき、発症する角膜の病気です。放っておくと慢性的な疲れ目になり、その後感染性角膜炎、深刻な場合は失明へとつながります。視力低下は認知機能低下にも関連、全身へ影響が出ることにもなりかねません」(堀先生)。

 今回の調査から、6割以上(63.4%)の眼科医が、「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者」は、スマートフォンが普及し始めた10年前と比べて増えていると認識していることが判明。また、年代性別ごとに分析すると、「20代女性」で特に増えたと実感している医師が多いこともわかりました。「移動中や休憩時間にスマホが手放せない現代人は急速にドライアイが進み、角膜が傷つきやすくなっています。20代女性患者が増加したと思われる背景には、カラーコンタクトレンズ、まつ毛エクステンションの流行、アイメイクなどの要因も考えられます。角膜を守るケアを日々意識していくことが重要です」と、堀先生は総括、角膜ケアの重要性を訴えました。

角膜のセルフケア、鍵は「ビタミンA」と「蒸しタオル」?

順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科先任准教授 土至田宏先生

 続いて、土至田先生が具体的な角膜のケアについて解説。そこで取り上げられた方法は大きく3つあります。そのうちの1つが、目を温めること。意外にも、日常的なある行為がその対策になっていると土至田先生は指摘。「飲食店などでつい熱い蒸しタオルを顔にあてる。これが実は理にかなっています。これによりマイボーム腺と呼ばれる目の下側にある、脂が出る分泌腺の詰まりを解消、目が潤います」。さらに紹介されたのが「パソコン画面の位置」。視線が下向きになると涙の蒸発が抑えられるそうで、目線が上向きにならない程度に位置を調整してみてはとアドバイスします。

ビタミンAがヒアルロン酸産生を促し、角膜の修復を促進する(ライオン提供)

 そして、3つ目は「点眼液」。薬局に行けば、ドライアイ対策用の点眼液がいくつも販売されています。眼科を受診し、処方される点眼薬ももちろんありますが、その際に重要なのが「角膜ケア」を目的とした点眼液を使用できているかということだそうです。「目薬の成分で注目して欲しいのがビタミンA。そのうち、主要成分のレチノールには角膜上皮細胞を修復する働きがあります。また、ビタミンAには角膜上皮で涙液(涙のこと)を安定化させるムチンの産生を促進させる働きがあります。これによって瞳に涙がとどまり、目の表面が保護されます」

 と、ここまでお読みいただき、ありがとうございます。じーっと画面を見つめていたため、目がしょぼしょぼし始めていませんか? 読み終わったら、画面から一度目を離して目を休めて。乾燥しているかもと感じたらしっかり角膜のケアを心掛けてくださいね。(QLife編集部)

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