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英語ができなくても世界一周はできる。車椅子とサラリーマンの旅人たち<乙武洋匡×東松寛文対談 第4回>

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2019年11月14日 16:02  日刊SPA!

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写真乙武洋匡氏(左)と東松寛文氏(右) <撮影/荒熊流星>
乙武洋匡氏(左)と東松寛文氏(右) <撮影/荒熊流星>
 世界一周の旅……。言葉だけ聞くと実現不可能に思える壮大な旅だが、かたや車椅子、かたやサラリーマンでありながら、それを実現させた男たちがいる。

◆世界を旅するなら一人で

 そんな世界一周ライフを続けているのは、近著の『ただいま、日本』でその様子を描いている作家の乙武洋匡氏。そして、「リーマントラベラー」として、平日はサラリーマン生活を送っている東松寛文氏だ。

 前回に引き続き、彼らが世界一周にかける思い、そしてその裏側を語り合う。

乙武洋匡氏(以下、乙武):「海外に行くなら、まずは一人旅がいいのかなと。日本の常識が世界の非常識だったり、日本の非常識が世界の常識だったりもする。え、そんなこともまかり通るんだというような経験が、まさに対応力を身につけてくれる。

 だけど、2人以上の旅になるとコミュ力の高いほうが渉外的なことを担当するし、段取り力に優れたほうがリードしてくれる。そうなると、せっかく得られる経験が4割減ぐらいになっちゃう。自分の得意不得意関係なく、一人でいったら一人でなんとかせざるをえない。だから一人旅がオススメですね」

東松寛文氏(以下、東松):「たしかに友達と行くと、共有している時間は楽しいけれど、その時間は日本とあまり変わらないからもったいない。海外だと常にレベル1からスタート。英語わからないし、ホテルの取り方もわからない。そこからホテル予約して、パブで現地の人と仲良くなったりして、どんどんレベルアップするのを味わえる。これは日本だとなかなか味わえない」

◆実は英語ができない2人

乙武:「今話を聞いてて親近感が湧いたのは、東松さんは英語できないんですね。僕もできないんですけど、東松さんは何となくできそうなイメージだったので」

東松:「そうなんですよ。でも僕、日本だと気を使っちゃうほうですけど、わかんないほうが気をつかわなくていいんですよね。だから、向こうのほうが自分らしさを保てる。わかったほうが楽しいこともあるだろうけど、わかんなくても得られる経験はたくさんあるので」

乙武:「よく英語が通じない国に行くのが怖いと聞くけど、そもそも英語がわからない僕にとっては大差ない。ロンドンとかオーストラリアでも聞き取れないので、どこに行こうとデメリットを感じない(笑)」

東松:「変な質問になっちゃうかもしれないですけど、僕はボディランゲージが得意なんですよ。乙武さんはどうやってコミュニケーションをとってるんですか?」

乙武:「笑顔。あと、意外と日本語が通じる。言語としての日本語を理解してくれるわけではないけど、めっちゃ笑顔で『これ、おかわり』と言うと、意外にもうひとつ持ってきてくれたりする。みんな信じないんですけど、口にしてる言語がなんだろうと、気持ちを込めれば伝わる場面も多いなと」

◆戦場やスラムでも通用する「笑顔」

東松:「笑顔は大事ですよね。知り合いに旅の達人がいて、僕が危ない目に合わない理由がわかるって言うんです。『何でだと思う?』と聞かれてわからないと言ったら、『笑顔だよ』と。戦場カメラマンが何で写真を撮れるかといったら、あの笑顔で戦場にいると敵だと見なされない。だからいい写真が撮れる。

 たしかに笑顔でいると仲良くなるか、こんな笑顔の人から何か奪おうとはあんまり思わないじゃないですか。だからか、危ない目に遭わないし楽しめる。ただ、『女性は旅先で笑顔でいすぎると好きだと勘違いされるから気をつけろ』とも言われましたけど」

乙武:「インドのコルカタでスラムのようなところに行ったんです。今でも忘れられないけど、指定した地点まで行ったら、『お前ここで降りんの?』と地元のドライバーがやべえって顔するぐらい。

 たしかに歩き出したら雰囲気が違ったけど、ビビったら終わりだなと思って笑顔で『ナマステ〜』って言ってたら、むこうの人たちも『お、おう』って感じで。乗り切りました!」

◆障がい者として旅して感じたこと

東松:「初めての旅はハマりました?」

乙武:「当時は電動車椅子を国際線に載せるハードルが高かったので、海外に行くってことに『エイや!』って気持ちが必要だった。この7、8年かな、航空会社が電動車椅子の取り扱いに慣れたのか、格段に旅しやすくなりましたね」

東松:「いろんなところに行って、車椅子的に過ごしやすかったのは?」

乙武:「海外だと欧米の劇場とかスタジアムとかで感じますね。アメリカはADA法(障がいを持つアメリカ人法)が‘90年にできて、車椅子だから店には入れないとか耳が聞こえないから接客を受けられないというのが法律で認められていない。そこは進んでいますよね」

東松:「これまで行ったなかでベストな国は?」

乙武:「障がい者という文脈でいうとフィンランド。この体だと、どこに行っても障がい者であることを実感させられる。キリスト教色の強い国だと、路上で友達を待っているだけで物乞いだと思われて、お金が置かれるんです。逆に東南アジアに行くと地雷で手足吹っ飛ばされてる人も多いので、僕の体はそんなに珍しくない。でも電動車椅子が珍しいので、『これはトヨタ? それともソニー?』と寄ってくる。

 フィンランドに限らず、北欧はいい意味で目立たない。本当に障がい関係なく、いち個人としてそこにいさせてもらえる。とはいえ、困ったことがあったら声かければ手伝ってくれる。さすが福祉国家だなと」

◆違う選択肢を知ってほしい

乙武:「最後にお聞きしたいのは、これだけ海外に行かれるじゃないですか。正直、いろんな面で日本が遅れてるなとか、心の豊かさという部分で疑問を感じたのはあると思うんです。そういうなかでも、あくまで日本にベースを置いている理由は?」

東松:「2つありますね。ひとつは海外旅行に行ったことで日本のよさに気づける。ありきたりだけど、ごはんがおいしい、安全だなとか、些細なことがありがたい。日常すらも非日常までいかなくても解像度があがって色濃くなって日本が好きになった」

乙武:「もうひとつは?」

東松:「勝手な使命感。僕はいわゆる社会のレールに綺麗に乗って生きてきた。日本の教育を受けた典型的な生き方だったけど、海外に行ったら知らないことだらけだった。そこで行く時間もなんとか交渉して、お金もなんとか捻出して、言語も勇気と好奇心でカバーして、海外を旅し続けたことで、いろんな生き方を知ることができた。でも、これは奇跡だと思ったんです。昔の働き方をしていたら、絶対に気がつけなかったと。

 そういうことに気づけていない人たちがまだいるなら、海外旅行に行かなくても、そんな生き方もできると知ってもらいたくて。たくさん選択肢があることを子供たちに伝えたい。いろんな選択肢を知ったうえでサラリーマンを選択するのがいいことだよと」

乙武:「大人に対しても同じですよね」

東松:「僕はサラリーマンだからこそ、サラリーマンが共感してくれる。働き方改革で自分がわからなくなったり、時間はあるけどやりたいことがないっていう人たちに、選択肢を知ってもらいたい。日本で生まれ育ってきたなかで、その選択肢に気づいたっていう奇跡が起きたからこそ、伝えていきたい。あと英語が話せないってのもあるけど(笑)」

<取材・文/日刊SPA!編集部 撮影/荒熊流星>

【乙武洋匡】
‘76年、東京都生まれ。大学在学中に出版した『五体不満足』がベストセラーに。卒業後はスポーツライターや、小学校教諭としても幅広く活躍。『ただいま、日本 世界一周、放浪の旅へ。37か国を回って見えたこと』が発売中

【東松寛文】
‘87年、岐阜県生まれ。平日は広告代理店に勤務、週末は世界を旅する「リーマントラベラー」。主な著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』『人生の中心が仕事から自分に変わる! 休み方改革』など

―[乙武洋匡×東松寛文対談]―

このニュースに関するつぶやき

  • 正直ね、コレをず〜っとやってれば良かったと思うのよ、海外の人間は彼の事前情報知らんからね。「キャ〜♪乙武君?」ソコに負けた結果だよな…。
    • イイネ!6
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  • 不倫して散々叩かれて日本から逃亡しての旅でしたけどね!
    • イイネ!19
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