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ハライチ・岩井勇気の初エッセイから垣間見える、“33歳の独身でマザコンの男”の生活

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2019年11月14日 19:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

写真岩井勇気さん 撮影/佐藤靖彦
岩井勇気さん 撮影/佐藤靖彦

 真っ当な人生を歩んできたがゆえにトーク番組で自分の生い立ちを面白おかしく話すことが苦手だったり、何事も器用にこなせる一方で組み立て式の棚に苦戦し未完成のまま放置したり、30歳でひとり暮らしを始めた家は墓地に隣接するメゾネットタイプだったり

 ハライチの岩井勇気さんが上梓した『僕の人生には事件が起きない』は、自身の日常を描いた初のエッセイ集だ。

書くのはほとんど締め切りの前日

 そもそものきっかけは、『小説新潮』から依頼された1000文字ほどのエッセイだったという。

「僕はネタやツイッター以外の文章を書いたことがないですし、小説やエッセイといった活字も全然、読まないんです。それでも、なんとか依頼された原稿を書いて『小説新潮』に掲載されたのですが、“もうちょっとうまく書けたなぁ”という気持ちがありました。

 だから、『エッセイの連載をやらせてもらってもいいですか?』って自分から提案したんです。最初に先方からオファーをいただいていたこともあり、担当編集者の厚意につけ込みました(笑)」

 岩井さんはもともと、どんな事柄でもコツをつかむのが早いタイプなのだそうだ。そのため、さほどの苦労なく連載に取りかかれたという。

「コツをつかむまでに3本くらい原稿を書きました。その3本はボツになったのですが、4本目は納得がいくものが書きあがり、その時点から掲載となりました。書くのはほとんど締め切りの前日。3時間程度で書けることもあれば、6時間くらいかかることもあります

なんで俺、イヤだったんだろう

 岩井さんは小学生のときに水彩画を習い、高校では選択科目で油絵を専攻。エッセイに添えられているイラストはすべて岩井さんの自作だ

「絵を習っていた経験がありますし、人より多少は描けるとは思います。でも、今回のイラストには苦労しました。

 イメージは、“美大でしっかり絵を勉強したような本当にうまい人がササッと描いた風のイラスト”なのですが、実は何回も描き直したりしているんです。エッセイの連載を始めてうまくなったのは、文章じゃなくて絵ですね(笑)

 岩井さんのエッセイでは、しばしば日常で直面するモヤモヤとした感情を掘り下げて分析している。

「『なんかイヤだなぁ』って思う瞬間って誰でもあると思うんです。僕は日ごろからそれを言語化しようと意識していて、『なんで俺、イヤだったんだろう?』『なんでストレスがたまってるんだろう?』って掘り下げて考えて解決するようにしています

 そこで解決しなかったものはだいたい忘れますね。だから僕、ストレスがたまらないんです」


 本書には、ひとり暮らしの様子や仕事先での出来事、同窓会や葬儀といったプライベートの風景などを綴ったエッセイが収録されており、読み進めるうちに岩井さんの人柄や普段の様子が透けて見えてくる

 例えば、母親との仲睦まじい様子もそのひとつだろう。本書では、朝起きると枕元にその日の仕事用の衣装がたたんで置かれていた実家暮らしの思い出や、母親とムンク展に出かけたことなどが記されている。

「飯を食いに行ったり美術展を見に行ったりと普通に母親と出かけますし、マザコンだと思います。母親から誘われることのほうが多いのですが、まぁ、友達みたいな感覚ですね

 息子と友達のように付き合えるお母様とは、一体、どんな人物なのだろうか。

「うちの両親はふたりとも元ヤンキーなんです。母親の若いころの写真は、濃いめのメイクに豆絞りを巻いて祭りの衣装を着たものとか、やんちゃなものが多いです

 子どものころは怒られるときにぶん殴られたりもしましたけど(苦笑)。基本的には明るくさっぱりしている母親です

シェルターのような窓なしの家を建てたい

 エッセイの中で《実家とは天国のような場所である》と記している岩井さん。

 現在のひとり暮らしの自宅と実家では、どちらが居心地がいいのだろうか。

どちらもいいですし、どちらも捨てがたいですよね。ただ、ひとり暮らしをしてから実家に帰ると、『窓のサッシが汚ねぇなぁ』って思うようになりました。

 ひとり暮らしの家は入居して3年くらいなので、そこまで汚れは目立たないのですが、実家は住み始めて20年くらいたってますから。居住年数はサッシに出るんだなぁって(笑)」

 窓のサッシに関して、岩井さんには思い描いている未来があるという。

実家を新しくしてあげたいなぁと思ってます。中古住宅だとサッシが汚れている可能性があるので、新築の家を買ってあげたいですね。僕の住まいとしては、ゆくゆくはシェルターのような窓なしの家を建てたいなぁと思っています」

 このように、岩井さんのエッセイは、日常の出来事を掘り下げつつ、読者に新たな視点やある種の爽快感を与えてくれる仕上がりとなっている。

「自分が面白いと思うことをひとりでも多くの人に伝えたいと思い、誰にでも読みやすいようにと心がけて書きました。33歳の独身でマザコンの男がどんな生活をしているのか、このエッセイ集を読むことで知ることができると思います

ライターは見た!著者の素顔

 本書には『野球嫌いの僕が落合福嗣と神宮球場へ行った』というタイトルのエッセイが収録されています。結末に《野球観戦にはまた行きそうだな》と書かれていましたが、その後、観戦には?

行ってないですねぇ。たしかに野球観戦は楽しかったのですが、でも、自分から積極的に行こうとまでは思わないんです。僕を今、野球観戦に誘ってくれるのは落合福嗣さんしかいないので、つまり落合さんから誘われていないということです(笑)

(取材・文/熊谷あづさ)

●PROFILE● 
いわい・ゆうき 1986年、埼玉県生まれ。幼稚園からの幼なじみだった澤部佑と2005年に「ハライチ」を結成し、すぐに注目を浴びる。ボケ担当でネタも作る。アニメと猫が好きで、プロフィール写真に一緒に写っているのは愛猫のモネちゃん。

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