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森保J、キルギスの術中にはまる。長友、酒井が上がれなかった理由

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2019年11月15日 12:52  webスポルティーバ

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 スコアは0−2ながら、奪ったゴールはPKと直接FK。守ってはGK権田修一(ポルティモネンセ)が超美技を2度披露した。内容的には2−2で引き分け、せいぜい2−3で日本の勝利の試合。前戦タジキスタン戦(0−3)とは、スコアこそ1点しか違わないが、W杯アジア2次予選対キルギス戦は、それとは比較にならない大苦戦だった。

 しかし、原因はハッキリしている。堂安律(PSV)、久保建英(マジョルカ)が帯同しなかったからではない。ピッチの状態が悪かったからでもない。「3バック」を敷くキルギスの術中にはまってしまった。ひと言でいえばそうなる。

 日本で3バックと言えば、守備的サッカーを代表する布陣とされている。両サイドを突かれると5バックになりやすい、後ろを固めるサッカーだと、ほとんどの指導者が位置づけている。だが、キルギスは、5バックで守る時間が極めて少ない3バックで向かってきた。

 言うならば超攻撃的。弱者にもかかわらず、高い位置から積極的に圧力を掛けてきた。パッと見ただけでそれは判明した。

 たとえば、森保一監督がこれまで好んで使ってきた3バック(3−4−2−1。日本代表では6月のトリニダード・トバゴ戦、エルサルバドル戦で使用)は、1トップ、2シャドーだ。アタッカーは3人で構成されていた。

 対して、アレクサンデル・クリスティニン監督率いるキルギス型は4人で構成されている。1トップの下に3人が並ぶスタイルだ。その内訳は1トップ下と両サイド。森保ジャパンが用いる4−2−3−1の前4人と全く同じ並びである。

 そして中盤は3人。ウイングバック的な両サイドと守備的MFの構成だ。つまり両サイドには各2人が構えていた。4列表記にすれば3−3−3−1。日本の4−2−3−1より、むしろ後方で構える人数が少ないことは一目瞭然になった。

 このキルギス型3バックで最もダメージを受けたのは、日本の両サイドバックだった。長友佑都(左/ガラタサライ)、酒井宏樹(右/マルセイユ)は、相手のサイドアタッカーが2人ずつ構えるそのダブルウイング的な構造の前に、攻撃参加を自重せざるを得ない状況に追い込まれた。その前方で構える原口元気(左/ハノーファー)と伊東純也(右/ゲンク)はその結果、孤立した。

 構造上、もうひとり満足なプレーができなかった選手は遠藤航(シュツットガルト)だ。守備的MFを務めたのは柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)とこの遠藤の2人だが、柴崎より低い位置で構えた遠藤は、相手の1トップ下(グルジキト・アリクロフ)のポジションと重なったため、そのマークを浴びることになったのだ。つまりフィードの第一歩を抑えられる格好になった。

 両サイドバックが上がれない。両ウイングは孤立する。ビルドアップに苦戦する。それでも、前線にボールが収まるタイプのアタッカーがいれば、もう少しなんとかなったかもしれない。しかしこの日、森保監督が先発で起用したのはスピード型の永井謙佑(FC東京)。使うべきは鎌田大地(フランクフルト)ではなかったのか。終盤、交代で入った鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)も、永井同様、ボールが収まるタイプではなかった。

 キルギス式3バックの前に日本は、攻める人と守る人に分断されてしまったのだった。伊東に代わって中島翔哉(ポルト)が投入されても、遠藤航に代わって山口蛍(ヴィッセル神戸)が投入されて(ともに後半33分)も、状況に変化はなし。サイドバックが、前の選手を追い越して相手ゴールライン付近まで辿り着いた回数も、酒井の1回限り(後半20分)に終わった。流れの中から日本が惜しいチャンスを掴んだ回数もわずか3回に終わったが、そこには高い必然性が宿っていた。

 日本の4−2−3−1より、単純に後ろで構える人数が1人少ない布陣。強者の日本に対し、キルギスは日本より攻撃的な布陣で高い位置からプレスを掛けてきた。敵将ながら思わず拍手を送りたくなる監督采配だった。

 日本ではなかなかお目に掛かることができない攻撃的な3バック。しかし世界のサッカー界には長年君臨するスタイルでもある。クライフ時代のオランダ代表。アヤックスもこれで欧州一に輝いている。マルセロ・ビエルサが率いたアルゼンチン代表&チリ代表。ルイス・ファン・ハール、ジョゼップ・グアルディオラ時代のバルセロナ。フース・ヒディンク時代の韓国代表&オーストラリア代表。ハビエル・アスカルゴルタ時代のボリビア代表……。

 身近なところでは、イビチャ・オシムが日本代表で使用している。2006年のガーナ戦だ。ハビエル・アギーレ時代の日本代表もしかりである。布陣表記こそ4−3−3だったが、長谷部誠(フランクフルト)がマイボール時に両センターバックの間まで下がると、それはサッと3−3−3−1に切り替わった。

 日本人指導者には見当たらないアイディアだ。少なくともJ1レベルでは見たことがない。概念が浸透していないからだろう。森保監督しかり。なぜ選択肢は4−2−3−1と3−4−2−1の二択なのか。水と油と言うべき、コンセプトが真逆な関係にある両者なのか。4−2−3−1から3−3−3−1への移行がそれほど難しくないことは、韓国代表時代のヒディンクによって証明されている。

 キルギスはタジキスタンとは異なり、この試合を最後まで優勢に進めた。日本を術中にはめたまま、試合を終えることができた。来年、日本ホームで行なわれるリターンマッチは見ものである。今回、大いに自信をつかんだに違いないクリスティニン監督が、次戦どんな戦いを仕掛けてくるか。森保監督の力量が問われる試合と言ってもいいだろう。キルギスから学ぶべきことは大いにあったはずだ。学習効果を発揮することはできるだろうか。

このニュースに関するつぶやき

  • そういう理由であの苦戦になったのか・・・よくわかりました!さすが評論家さん指摘が鋭い!!!
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  • この分析は的を得ています。確かに日本のSBは思う様に上がれず両ウイングは孤立していた。遠藤も柴崎も自由にやれてなかった。森安さんの場合、相手の3331に対応する策を試合中には出来ないから、戦術家のブレーンが必要。
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