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ベビーカーの不安、東京メトロが考えた奇策 あえて「ない」を発信 使いにくい案内板「盛り過ぎ」を反省

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2019年11月18日 07:00  ウィズニュース

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写真東京メトロのサービス「ベビーメトロ」は、「案内がたくさんありすぎて、知りたいことがわからない」という声から生まれたという ※画像はイメージです
東京メトロのサービス「ベビーメトロ」は、「案内がたくさんありすぎて、知りたいことがわからない」という声から生まれたという ※画像はイメージです

子どもが生まれベビーカー生活が始まった頃、知らない駅に行くことが不安でした。大きな駅では、複数のエレベーターをうまく乗り継がないと目的のホームや出口にたどり着けないので、「迷わないか」「そのうちに子どもがぐずり出さないか」と緊張しました。そんな気持ちが届いたのか、東京メトロが今年、各駅のエレベーター情報などをまとめたサイト「ベビーメトロ」を本格稼働させました。発信するのは「エレベーターがない」という情報。いったいどういうこと?「ベビーメトロ」が生まれたきっかけから、駅の案内板が使いにくい理由について考えます。(朝日新聞記者・高重治香)

【イラスト】「それでもオトナですか?」に共感 学生視点の地下鉄マナーポスター

きっかけは妻の一言
東京メトロ社員で、いま0歳と3歳の2人を子育て中の横溝大樹さん(31)は、4年前、妊娠中の妻と一緒に地下鉄に乗ろうとした時、こんなことを言われました。

「案内がたくさんありすぎて、知りたいことがわからないよね」

妊娠の影響でにおいに敏感になっており、人の少ない列車内の「ベビーカースペース」に乗車しようとしていましたが、なかなか見つけることができませんでした。エレベーターが見つからず右往左往したこともあったといいます。妻の出産後も、そうした経験が続きました。

「駅で『いま知りたい』情報がぱっと見つかる状態ではありませんでした。そのことで身近な人がこんなに困っているなら、自分にできることはないかと考えました」

社内提案制度に応募
横溝さんは社内で新規事業の公募があったのに応じて、駅で困らないようさまざまな情報をスマホで調べられるサービスを提案しました。

提案は採用。新規事業企画担当の天野純一さん(40)、文書・株式課の坂田麻美さん(29)との3人チームでサービス開発が始まりました。
大学でデザインを学んだ経験がある天野さん。

「そもそも利用者の不安な気持ちがどこから来るのか、3人で何度も話し合い、根源的な問題を掘り下げました。答えは『段差(階段)がある』ということでした」

「段差をなくす」には物理的な工事が必要で、すぐにすべての段差をなくすことは不可能です。駅係員に頼めば「段差の上り下りの補助」をしてくれますが、ベビーカーからいったん子どもを降ろさなければいけないし、頼むことを躊躇してしまう人もいます。

そこで第3の方法として考えたのが、「段差がある」「エレベーターがない」といった情報の提供です。そうした情報をあらかじめ知っていれば、利用者が「エレベーターのない駅を避ける」「ベビーカーを抱えて階段を上ることを織り込んで、荷物を減らして出かけるなど心構えする」といった事前の対策をできるのではないか、と考えました。

欠けていた「ない」という情報
従来は、この駅にエレベーターが『ある』という情報は発信しても、『ない』ということは積極的に発信することはなかった、といいます。「会社としては『ある』という情報を見せたいものです。けれどもユーザーからすると、『ない』という情報を伝えることに効果があると気づきました」(横溝さん)

ベビーメトロで調べられるのは、駅ごとの次のような情報です。
(1)「地上・ホーム間」「乗り換え」がエレベーターのみで移動できるか
(2)おむつ替えできるトイレの有無(そのトイレにはエレベーターのみで行けるか)
(3)ホームのベンチの有無
(4)乗り換えに便利な乗車位置
(5)周辺地図(エレベーター・スロープのある出口を明示)と構内図

病院のアプリがお手本
一般的な商品やサービスと違い、誰もが使う鉄道の顧客は、「こういう人」という限定ができません。そのため、「全員に全部の情報をまんべんなく届けよう」としがちで、その結果、誰かに必要な情報が抜け落ちてしまいます。

ベビーメトロは、情報のデコボコの穴を埋められるよう、「限られたターゲットに深く突き刺さる情報」を届けることを目指しました。

坂田さんは、「サイトのデザインは、病院などのシンプルなアプリを参考にしました」と話します。「鉄道会社の発想だと、『情報をフルにそろえてこそ提供すべき』、となります。ベビーメトロは、『△』や『×』など、あえてざっくりした記号を使いました」。詳しく知りたい人は、項目を開くとさらに具体的な情報を見ることができる仕組みです。

2年前に試行として始まった「ベビーメトロ」は好評で、この夏本サービス化しました。開始当初に行った調査では、サイトを利用した人はベビーカー利用者が87%、女性が70%強、30代が50%で、子育て世代が多いという結果が出ました。ただ開発チームは、ベビーカーだけでなく、お年寄りや障害者の方にも便利なサービスであると考えていて、今後はそうした方向への発展も視野に入れています。

駅で迷ってしまう理由
そもそも駅は、なぜ迷いやすいのでしょうか。

ベビーメトロ開発者の3人も、日常的に迷う経験をしていました。「事前に調べて降りたのに、左右どちらの階段を昇ればいいのかわからなくなり、ホームを三往復した」「目指す出口が民間のビルにあり、途中で出口の方向を示す案内が途切れてしまうと、『ここ13番出口でよかったんだよね』と不安になる」――。

東京メトロがこうしたサービスを必要としたのには、地下鉄ならではの事情もあります。新たにエレベーターを設置しようとしても、出口にあたる部分に既に建物が建っていることがあり、「エレベーターがない」場所が少なくありません。また、外の景色が見えず、どちらを見ても同じ白い壁であることも、方向感覚を失いやすい原因のようです。

とはいえ、案内をわかりやすくすることは、日々の運行やさまざまな工事を忙しく進める鉄道会社の中では、どうしても優先順位が低くなりがちです。ベビーメトロも、「通常の業務の中で挙げたら、実現できなかっただろう企画」といいます。

ベビーメトロが情報のデコボコの穴を埋めたように、サイトだけでなく駅構内の表示もわかりやすくなって欲しいと思います。

     ◇

駅で困ったことはありますか。誰かの助けがほしかったり、手助けしようと思ったのにできなかった経験はありませんか。朝日新聞デジタル・フォーラム面ではアンケートを実施中です。集まった声はこちら、あなたの回答もお待ちしています(https://www.asahi.com/opinion/forum/)

このニュースに関するつぶやき

  • 駅員がホームに居ない。せめて駅員呼び出しボタンを設置されよ。
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  • ベビーカーという文字を見るだけで否定批判したがる人達が 少子高齢化対策でもっと産めとか言ってるのを見るとアホかと呆れますね (;・ω・)
    • イイネ!68
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