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<現代の肖像>長村さと子 LGBTQの「子どもがほしい」を支援

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2019年11月18日 11:30  AERA dot.

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写真「裏切らないのは犬だけ」と笑う。偏見や批判にさらされても、人とのコミュニケーションを諦めない/今村拓馬撮影
「裏切らないのは犬だけ」と笑う。偏見や批判にさらされても、人とのコミュニケーションを諦めない/今村拓馬撮影
 子どもがほしい、もしくは子どもを育てているLGBTQなどの人たちを応援するのが「こどまっぷ」。長村さと子さんは、こどまっぷの代表理事であり、飲食店の経営者。セクシュアルマイノリティを取り巻く状況は少しずつ変わってきてはいるが、依然として子どもを持つことは難しい。誰もが生きやすい場所を作りたいと活動する長村さん。その裏には、自分自身の居場所を作りたいという切実な願いがあった。AERA 2019年11月25日号に掲載された「現代の肖像」から一部紹介する。

【この記事の写真の続きはこちら】

 家賃が高い新宿二丁目にしては広々とした「足湯cafe&barどん浴」。壁という壁を取っ払った60平米のぶち抜き空間には、路面の窓から陽の光が注ぐ。窓際には車座になって卓を囲める和風の足湯スペース。壁にはキース・ヘリングのポップアート。昼寝にちょうどよさそうな、虹色のハンモックまでつり下げられている。

 セクシュアリティーに関係なく、誰もが気軽に訪れる場所にしたいと作られたこの足湯カフェで10月中旬、イベントが開かれた。子どもが欲しい、または、すでに子どもがいるセクシュアルマイノリティーとその周りの人のための団体「こどまっぷ」の主催だ。

 テーマは「アメリカの生殖医療現場で働くドクターに聞いてみよう for LGBTQ」。登壇者は、米国・サンディエゴのクリニックに勤務する医師、ダニッシュマン・サイードだ。通訳付きの英語の講演ではあったが、50人近くが熱心に聴き入っていた。参加者の多くは、これから出産を考えている20代から30代のレズビアン。卵子提供と代理出産治療にも精通する医師の話だけに、子を持ちたいゲイカップルの姿もあった。

 このイベントを企画したのが、足湯カフェの経営者で、こどまっぷの代表理事を務める長村さと子(36)だ。長村自身もパンセクシュアルという、恋愛相手に性別を条件としないセクシュアルマイノリティーである。恋愛をしてきたのは主に女性で、一時期、男性との付き合いもあったが、現在は茂田まみ子(39)がパートナー。長村は子どもが欲しくて妊活中でもある。

 ひとたび目標が定まると、長村は招く相手が海外の人だろうが、有名人だろうがおかまいなし。グイッと巻き込み、企画を形にする。周囲が認める「猪突猛進型リーダー」だ。

 でも素の姿は、どちらかといえば人の目を見て話せないタイプで、いつもストリート系のキャップを目深にかぶっている。この日の長村は、厨房に雲隠れし、参加者に提供するサンドイッチを黙々と作りながら、カウンター越しに参加者の様子をじっと観察していた。代わってマイクを握り、英語を交ぜながらの名司会ぶりを発揮していたのは、まみ子だ。まみ子は長村の活動を支える同志でもある。まみ子は言う。

「さと子は大きな地図を描ける人。私たちの活動って、常に荒波の中なんですよ。でも、彼女が行きたい先は、間違いなく波しぶきを越えた『向こう側』にある。未来を想像した時に、どんなに困難が降りかかったとしても、この人の『今』に関わっていたいと思わせるものがありますね」

 多様性の時代。イベント名に表記のある「LGBTQ」は最近の呼称だ。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとる「LGBT」に、自分自身の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは定めていない「クエスチョニング(Q)」が加わる。

 日本におけるセクシュアルマイノリティーを取り巻く状況は、2015年から大きく変化している。一部の自治体で「同性パートナーシップ制度」が始まり、同性カップルに対して男女の婚姻関係と同等だと認めるようになった。だが、同性のカップルが子を持つことへのハードルは、依然として高い。北米では、同性愛者やシングルマザーが精子バンクから精子を買い、子をつくる選択肢もあるが、日本では日本産科婦人科学会により「婚姻している夫婦で、男性不妊であると診断されている人のみ」と決められている。同学会などの指針では、人工授精など生殖医療に関しても、原則としてがんの治療で生殖機能に影響が出る恐れがある人や戸籍上の夫婦に限定している。LGBTの多くが受診を拒まれる。

 そもそも、知り合いからなんとか精子提供を受けられて妊娠・出産できたとしても、提供者の面会交流権はあるのか、逆に提供者に養育費を請求できるのか、といった生まれた子どもに関連する権利は、まだ法的にカバーされていない。

 昨年、彼女がサンフランシスコで開かれたLGBTの国際会議でこどまっぷの代表としてスピーチをした際、会議に同席していたのが、弁護士の加藤丈晴(45)と、ゲイであることを公表して発信する松岡宗嗣(25)だ。2人は口々に言う。

「北米では、ゲイのシングルファーザーに『なんで子どもを育てたい?』と聞くのは愚問。『子どもが可愛いからに決まってんじゃん』と普通に答えますよ。権利意識の強い国だから。けれど、『血縁社会』の日本では、同性同士で子を持つことに対する偏見が根強い。まだ同性婚を議論している段階で、子を持つことは、『同性婚のさらに次』の課題。(長村が)そこにもうアプローチしているのは、かなり先を見て行動されてるなと」(加藤)

「さと子さんが目を向けているのは一貫して、当事者の暮らしなんですよね。地に足がついてる。法律を変えろ!とか拳をあげる活動家じゃない。『こんな社会がいいよね』という考えがじわじわと周りに浸透して、理解者が増えていく」(松岡)

 長村の本職は、飲食店の経営者。東京と大阪に4店舗を構え、夜行バスで仮眠をとり往復する日々だ。その上、全国規模の組織に成長したこどまっぷの活動も両立して行う。メンバーは北海道から沖縄まで各地に散らばる。地方でも、講演会場はいつも満席に。情報提供の協力機関は、米国、デンマークなど、海外へも広がる。今月は台湾に赴き、現地の当事者団体と交流を深める予定だ。

 エネルギーの源泉は何か? それは、「誰かの居場所をつくること」と長村は言い切る。

「経営もこどまっぷの活動も、私がやってることは全て『場づくり』。私自身、どこにも居場所がなくて、彷徨っていた時期が長かったから」
(文/古川雅子)

※記事の続きは「AERA 2019年11月25日号」でご覧いただけます。

このニュースに関するつぶやき

  • フィロってやつ、耳当たりの良い言葉が得意だからイイね稼ぎが上手いけど直接会話すると最低な奴だよ。 なんせ問題になっている渋ハロを「お祭りなんてこんなもの寛容さが大事」とか言う人だからw
    • イイネ!0
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  • 「同性を好き」っ〜のは「子供ができない」っつ〜事で、それをひっくるめて好きっつ〜事でしょ〜が🤪 同性を好きになった時点で「男と女の結晶」である「子供」は諦めてんじゃね〜のかよ🤪
    • イイネ!62
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