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ヤフーとLINE、統合の裏に「GAFAに負けっぱなし」への危機感 世界で勝つ戦略とは?

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2019年11月19日 05:12  ITmedia NEWS

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写真Zホールディングスの川邊健太郎社長(=左)、LINEの出澤剛社長(=右)
Zホールディングスの川邊健太郎社長(=左)、LINEの出澤剛社長(=右)

 国内ネット業界の勢力図を大きく変えうる取引がついに実現した。ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)とLINEは11月18日、経営統合について基本合意した。「GAFA」(Google、Amazon、Facebook、Apple)、「BAT」(Baidu、Alibaba、Tencent)と呼ばれる米中のIT大手に対し、日本企業が後塵(こうじん)を拝している状況を変えるべく、日本を代表するネット企業として世界に打って出るという。



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 ZHDの川邊健太郎社長は同日開いた会見で「日本、アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指す」と繰り返し強調した。ただ、「PayPay」「LINE Pay」といった両社のサービス統合を含めた戦略は未定で、経営統合が完了する2020年10月以降に検討する。



●最強のONE TEAMを目指す



 今回の取引では、ZHDの親会社ソフトバンクとLINEの親会社である韓国NAVERが、共同公開買い付け(TOB)を実施し、LINEの全株式を取得。その後、両社が50%ずつ出資するジョイントベンチャーを立ち上げ、その下に経営統合後の新生ZHDを子会社として置く。新生ZHDの下には、現在のLINEの事業を承継する新会社とヤフーを兄弟会社として並べる。LINEは上場廃止となる見通しだ。



 ビッグディールを成立させた川邊社長とLINEの出澤剛社長は、コーポレートカラーを交換し、川邊社長が緑、出澤社長が赤のネクタイを締めて会見に登壇。「大活躍したラグビー日本代表に乗っかって、われわれも最強のONE TEAMを目指す」(川邊社長)、「昨日まではライバルとして切磋琢磨する関係だったが、今後はお互いの手を取りあってさらなる高みへ行く」(出澤社長)などと、自信に満ちた表情で統合の経緯と展望を語った。



●GAFAに対する危機感が一致



 「副社長時代から年に1回ほどLINEの幹部と会い、『大きなことを一緒にやりましょう』と打診していた。いつも笑って済まされていたが、今年の春は『そうですね』と反応が違った。『お酒を入れない場で話をさせてください』とお願いし、話を進めた」。川邊社長は舞台裏をそう振り返った。



 LINE側が川邊社長の提案を受け、交渉のテーブルに着いた理由は、GAFAへの後れという強い危機感を感じていたからだという。出澤社長は「現在はお金や人、データが強い企業に集まり、“勝者総取り”の状況になっている。グローバルテックジャイアントとその他の企業の差は開く一方だ。この差がさらに開くと、ネット企業だけでなく、国力や文化のレベルまで差をもたらすと感じていた」と説明した。



 交渉を重ねる中で、両社の経営陣が至った結論は、経営統合によって両社のサービスをより強固にし、世界で戦える体制を築くこと。シニア層を中心に約6700万人の月間利用者を抱えるヤフーと、若年層を中心に約8200万人のMAU(月間アクティブユーザー数)を持つLINEが相互の弱点をカバーし合うことで、将来的にはGAFAに対抗できるプラットフォームを構築できると判断した。



 ただ現状では、統合後も時価総額や業績、研究開発費用の面でGAFAなどに及ばないため、当初はタイや台湾、インドネシアをはじめとするアジア諸国でシェアをさらに高めた後、欧州や米国に進出する考えという。



 「GAFAとBATに続く第三極だと評価されるようなシナジーを生み出したい。両社の従業員を合計すると2万人以上で、エンジニア、デザイナー、データサイエンティストを合わせると数千人規模に上る。この体制で未来を作っていける」(川邊社長)



●サービスの相互補完で“スーパーアプリ”目指す



 顧客層だけでなく、サービスの相互補完も狙いの1つだ。「ヤフーはメッセンジャーを提供できていない。LINEはそこまでECに力を入れていない。両社が組むと、株主も含めた大きなグループシナジーをもたらせる」と川邊社長は強調した。将来的には、1つのアプリ上でメッセンジャー、コマース、決済、保険など、生活に関するあらゆるサービスを提供できる“スーパーアプリ”の開発を目指すという。



 会見では詳細は明かさなかったが、現在ヤフーがEC事業で展開している「ソフトバンクユーザーはポイント10倍」といったキャンペーンを、LINEユーザーに適用する可能性もあるという。



 「現在は使い勝手が分断されているため、シームレスなユーザー体験を届けたい。『両社が一緒になるからには、今までできなかった大きな課題解決につながらないと意味がない』と孫さん(孫正義氏)からも助言を受けた」(川邊社長)



 スーパーアプリによって収集した、顧客のさまざまなデータを分析し、さらなるサービスの充実につなげる上で、欠かせないのがAIだ。LINEは以前から親会社の韓国NAVERと「Clova」を共同開発していたが、今後も開発に投資し、サービスの中核として活用できるAIの開発を目指す。



 出澤社長は「投資額は両社併せて年間1000億円。これまで以上の規模で、今後も大胆に行っていく。検索やコマース、メッセンジャーを組み合わせ、一人一人に合ったサービス・情報を提供できるのではないか」と自信を見せた。



●両社で花嫁武者修行



 そんな両社長は統合後、新生ZHDの「代表取締役Co-CEO」として共に代表権を持つ(社長は現任の川邊氏が続投)。新生ZHDの社内取締役は、現行のZHDとLINEが3人ずつ派遣する。独立社外取締役は4人の予定で、現在は候補者と交渉中という。



 サービスの方向性については、新生ZHD内に新設する「プロダクト委員会」で議論する予定。LINEの慎ジュンホ代表取締役が新生ZHDのCPO(最高プロダクト責任者)に就き、最終的な意思決定を行う。



 新生ZHDの経営では「両社は対等な関係を維持する」(川邊社長)といい、2人の代表取締役を置く新体制では「(出澤社長と)腹を割って、全く同じ役割で、全く同じコミット度合いで取り組む」(同)というが、統合までの1年弱はあくまで競合として真っ向勝負し、切磋琢磨する中で成長を目指すという。



 川邊社長と出澤社長はそれぞれ、「ヤフーの社員には『思いっきりLINEと戦え、いいサービスを作れるか勝負をしろ』と言った。殴り合いながらチームワークを準備する。両社で花嫁武者修行をするようなものだ」「私もLINEの社員に同じことを話した。お互いに良いサービスを作り、成長した形で合流したい」と意気込みを語った。


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