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安倍総理、異例のぶら下がり取材対応。どこで言い澱み、どこで論点をすり替えた?<信号無視話法分析>

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2019年11月19日 09:10  HARBOR BUSINESS Online

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HARBOR BUSINESS Online

写真首相官邸ホームページより
首相官邸ホームページより
◆幕引きを図る安倍総理の噛み合わない回答

 公金の私物化、公職選挙法違反の疑いなど安倍晋三首相(以降、安倍総理)が大きな批判にさらされている「桜を見る会」問題。安倍総理は11月15日、2度にわたって首相官邸でぶら下がり取材に応じ、記者からの質問に直接回答した。特に2度目のぶら下がり取材は実施が当日直前に決まったにもかかわらず、約20分もかけて約30問の質問を受け付け、ぶら下がり取材に滅多に応じない安倍総理としては異例の対応となった。

 しかも、その回答内容の文字起こしは映像と共に速やかに首相官邸ホームページに掲載されるほど官邸側の対応は迅速であった。しかし、このリンク先に掲載されている文字起こしは安倍総理の回答のみであり、記者の質問は一切掲載されていない。当日の映像を見て質問と回答を紐付けて確認すれば、質問と回答が噛み合っていない場面が幾つかも見受けられる。

 そこで本記事では、11月15日の2回目のぶら下がり取材について、約30問の質問から7問をピックアップして回答を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。

*総理の回答は一字一句発言のまま記載するが、質問は音声が小さく聞き取れない箇所があるため要約して記載

*文中の時間表記は上述の首相官邸ホームページに掲載されている動画の時間と一致

◆会費5000円は本当にホテル側の配慮?

 まず、質問1点目は前夜祭の会費がホテルニューオータニの相場から見て極端に安い5000円であることについて。(首相官邸HPの映像では5:31〜6:51)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「今回の前夜祭について、参加者の多くがホテルに宿泊することを配慮して、ホテル側が5000円で引き受けたという認識でよろしいですか?」

この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「あの、全ての人ではございませんが、あのー、これはですね、あのー、えー、おそらくホテル側はそう考えておられるんだろうと思いますが、あのー、え、言わば、まあ、どのような、えー、対応をしていくかというのは、その時の、また、また、相手側がですね、例えば毎年使っているとかですね、どれくらいの規模であるとか、あるいは宿泊、宿泊しておられるかと、そういうことを総合的に勘案して、えー、値段を決めていかれるということなんだろうと思います。ただもちろん、ホテルとしては他のホテルとの競合もありますし、たくさんの、お、お客様との関係もございますから、あー、そこのところは今、あー、私が申し上げた、あー、形で決めておられるということを、私の方から申し上げますが、ホテル側は、あのー、おー、いろんなことを勘案して決められているんだろうなと思います。あのー、先ほど申し上げましたように、あのー、まあ、ほとんどの方が宿泊をされているというのが、あー、事実でありますし、あの、おー、かなり多くの、えー、人数であったと、そ、そして定期的に毎年行われているということもあるんだろうとこう思います。(ほぼ青信号)」

 質問は、参加者の多くが宿泊客であることを配慮してホテル側が前夜祭の会費を5000円で引き受けたことについての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている安倍総理の回答は全て(青信号)と判定した。

 ただし、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本文では地の色で記載)が極端に多く、総理が語っている「認識」は何を言っているのかよく分からない。

 次の質問2点目は参加人数の増加について。(首相官邸HPの映像では7:46〜8:07)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「安倍政権になってから人数が増加していることについて何が原因だと思いますか?」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「あのー、先ほど申し上げましたように、年数が重なる中において、新たな人数が増えていったということではないかと、こう思っています(青信号)」

 質問は、シンプルに人数増加の原因を聞いている。回答では、総理が考える人数増加の原因を答えているため、青信号と判定した。ただし、「年数が重なる」ことと「人数が増えていった」ことは全くの別問題であり、なんの説明にもなっていない。

◆自身の関与を問われ、なぜか受付が誰かを答える総理

 質問3点目は総理自身の関与について。(首相官邸HPの映像では8:38〜9:00)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「事務所が対応されていたとのことですが、総理ご自身の関与は?」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「これ、私総理大臣で、総理の職に全力投球しておりますから、これ、入口で私が受付をするということは、もちろんありませんし、それは当然、えー、事務所がずっとやっているということであります。(赤信号)」

 安倍総理は質問内容を理解できなかったのか、なぜか聞いてもいない受付の話にすり替えており、赤信号と判定した。

【質問】総理の関与の有無

↓ 論点のすり替え

【回答】入り口の受付は誰か

 質問4点目は参加者の実態について。(首相官邸HPの映像では9:27〜10:31)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「この会に参加される方はどんな方だという認識なのか。実際に会われる方とのギャップを感じていたのか。」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「これ、いろんな方々が、叙勲を受けられた方々もおられますし、いろんな方々、まさに皆さんの会社のですね、トップの方、幹部の方、あるいは、えー、報道機関のキャップの方等、たくさん来られてますね。でも、そういう方々だけではなくて、やっぱり市井の方々もですね、なるべく多く来られる。(青信号)

 あの、私自身、そう接触する機会がありませんから、そういう意味においても、今までおそらく推薦をですね、えー、与党にも、あ、出していたんだろうと、えー、こういうふうに思います。えー、そういう、まあ、市井の方々、あー、の中にも、それぞれ、えー、地域で頑張っておられる方がたくさん居ますから、じゃあどういうふうに選ぶんだって、なかなか難しいところがあると思います。そういう中で、今までこういう方法が取られてきたんだろうと、こう思います。(赤信号)」

 質問は、参加者の実態やギャップについての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている1段落目の回答は青信号と判定した。

 だが、質問をしている記者の会社のトップや幹部が参加していることをあえて明言しているのは、記者に対する牽制の意味合いが含まれているのではないか。

 2段落目は論点をすり替えており、赤信号と判定した。

【質問】参加者はどんな方か

↓ 論点のすり替え

【回答】参加者の選び方

◆開門前に総理の後援会関係者が手荷物検査無しで入場

 質問5点目は総理自身の関与について。(首相官邸HPの映像では10:31〜11:14)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「後援会の方々がセキュリティチェックもせず、開門より前に入られたとの報道があるが、ご認識は?」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「私も詳細はそこは承知をしておりませんが、あのー、えー、おそらくセキュリティの関係、えー、においてですね、あのー、おー、えー、言わばどういう形でやっていたかというのは、聞いてみないと分からないのでありますが、えー、まあ、どこかでチェックしていたのかですね、あるいは、えー、私を直接知っている事務所の者が確認しているものなので、そういうことだったのかもしれません。(青信号)」

 質問は、開門前の後援会関係者のセキュリティチェック無しの入場についての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている安倍総理の回答は全て青信号と判定した。ただし、前回記事でも紹介した通り、安倍総理が開門前に後援会関係者と会場内で写真撮影をしていることは毎年の首相動静にも書かれている事実であることは付け加えておく。

 また、11月8日の国会における田村智子議員の質問時の発言内容も改めて紹介しておく。

「今年は、”午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着”。そして、”7時49分、昭恵夫人とともに地元の後援会関係者らと写真撮影”とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。桜を見る会の開門および受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに、会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられる。これまさに後援会活動そのものじゃないですか?」

 質問6点目は参加者の偏りについて。(首相官邸HPの映像では11:14〜12:00)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「消費税増税がなされる中で公費が使われて、総理の地元の方など一部の偏った方が招待されていることについてのお考えは?」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「昭和27年以来、ずっと続けて来られました。その間、消費税、何回か引上げられているわけでございますが、そういう間もずっと続いてきたということではないかと、こう思います。

 人数が何人なら良いのか、ということでもあろうと思いますね。党との関係、あるいは推薦、えー、できるということについても、これもずっと慣行として行われてきたことでありますから、そうした過去も踏まえてですね、今回見直しをするということにしたところでございます。(赤信号)」

 2段落とも論点をすり替えており、赤信号と判定した。

◆1段落目

【質問】参加者の偏り

↓ 論点のすり替え

【回答】会の歴史

◆2段落目

【質問】参加者の偏り

↓ 論点のすり替え

【回答】参加者の適切な人数

◆後援会活動なのに収支報告書への記載は本当に必要ないのか?

 最後の7点目の質問は収支報告書について。(首相官邸HPの映像では17:45〜18:53)

 記者の質問内容は以下の通り。

記者:「後援会の活動であれば、収支報告書への記載が必要だが、その点の認識は?」

 この質問に対する安倍総理の回答。

安倍総理:「収支報告書への記載は、収支が発生して、えー、それは発生するんです。あのー、これは公職選挙法を見ていただければ明らかなんですが、えー、それは収支報告書、お、せいしん、せいしん、せいほうじょうですね、あ、政治資金規正法上、収支が発生して初めて、えー、記入義務が生じます。今申し上げましたように、えー、交通費、宿泊費等について、直接、えー、代理店に支払っていれば、これは後援会に収支は発生しません。えー、前夜祭についても、えー、ホテルが領収書を出し、そして、えー、そこで入ったお金をそのままホテルにわ、渡していれば、収支は発生しないわけでありますから、えー、政治資金規正法上の、おー、違反には全く当たらないということであります。で、その際ですね、事務所の者が、えー、そこで受付をするということは、これは問題ないということでございます。(青信号)」

 質問は、収支報告書への記載の必要性についての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている安倍総理の回答は全て青信号と判定した。ただし、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本文では地の色で記載)が極端に多く、特に冒頭は何を言っているのかよく分からない。

 そもそも、このホテルの領収書に関する説明には多くの疑問と問題点があり、弁護士・郷原信郎氏が自身のブログで詳しく解説されている。

 以上、本記事で取り上げた質問7点に対する安倍総理の回答をまとめると、次のことが言える。

・公職選挙法違反に直結する質問(1点目、7点目)になると、言い澱みが極端に多くなる

・総理自身の関与に関する質問(3点目)、参加者の実態や偏りに関する質問(4点目、6点目)に対して、論点をすり替えている

 とてもではないが幕引きを図れるような状態でないことは明らかだ。

 しかし、このぶら下がり会見の翌日(11月16日)という実に絶妙なタイミングで薬物所持で逮捕された女優・沢尻エリカ氏の報道にメディア各社は時間を割き始めている。思い返せば、2016年の年初に甘利明氏(当時・経済再生担当相)への政治献金疑惑が問題になったタイミングでは、清原和博氏。今年3月に辺野古基地反対の民意が高まったタイミングでは、ピエール瀧氏。

 これを「大衆の目を逸らすためのスピン」などと安易に陰謀論的な話に結びつけることは避けたいが、少なくともメディアはこの芸能人の逮捕によって、政権の疑惑が覆い隠されるようなことにならないように、しっかりと取材・追及を続け、報道していただきたい。

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】

TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。

 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版/英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している

このニュースに関するつぶやき

  • この手のは文法学者とかに「即」分析させて、発言本文に併記させる形で箇条書きに明示させてやれればいいんだといつも思うね。
    • イイネ!0
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  • 野党の追及テーマは、桜を見る会だけでも招待枠から前夜祭へ、前夜祭の中でも色々とすり替わってるし、高浜→閣僚辞任→入試→桜とねw
    • イイネ!35
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