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安部裕葵、スペイン初ゴール。バルサの昇格サバイバルで必要なこと

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2019年11月19日 17:42  webスポルティーバ

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 11月17日、バルセロナのヨハン・クライフスタジアム。安部裕葵(20歳)は、バルサBの選手として初ゴールを決めている。

 2部B(実質3部リーグ)、第13節のコルネジャ戦でFWとして先発。前半23分、MFリキ・プッチがボールを持ち運び、バックラインの裏へ鮮やかなパスを通す。これにカルレス・ペレスが走り込み、GKと1対1になったところでブロックされるが、そのこぼれ球を安部が抜け目なく蹴り込んだ(結果は3−3の引き分け)。

 安部はバルサというクラブで、どのような選手に成熟しつつあるのだろうか?

 コルネジャ戦、安部は「FALSO 9」としてプレーしている。日本語に訳せば「偽9番」と言われるポジションだ。本来はセカンドアタッカーの選手が、トップでストライカーのようにプレーする。ポゼッション型のチームが、ボールの流動性を高めつつ、攻撃の厚みを倍加させるために編み出したポジションである。かつてはトップチームでも、リオネル・メッシ、セスク・ファブレガスが担当していた。

 安部は本来、左右のサイドアタッカーか、トップ下で能力を発揮する選手だろう。しかし、第11節のアンドラ戦から3試合連続して、先発で「FALSO 9」としてプレーしている。フリーランニングでディフェンスを引きつけ、味方にスペースを作る。前に突っ込むことで、相手のライン全体を下げる。ラインの間でボールを受け、相手を引きつけながら、攻撃のコンビネーションを作り、最後の仕上げにも加わる。簡単ではないポジションだが、安部はコルネジャ戦でも戦術的な役割をしっかりこなしていた。味方が攻め上がって自らのポジションを空けたら、そのスペースを機敏に埋めるなど、献身的でもあった。

 もっとも、安部が彼らしく輝いたのは、後半になってポジションを変えてからと言えるだろう。チームは後半途中から長身のベネズエラ人ストライカーを投入。安部は左サイドに回ったが、ボールに触る機会は目に見えて多くなり、敵に直接的な脅威を与えていた。

 それでも、安部が「FALSO 9」を任されるのには理由がある。

 チーム事情は別にして、バルサの選手はどのポジションでも適応し、アドバンテージを取れる能力が求められる。たとえばコルネジャ戦で、右のインサイドハーフで先発したモンチュは、後半になってアンカーに入り、終盤には右サイドバックとなって、アディショナルタイムのPKを呼び込むロングパスを送っている。ちなみにPKを獲得したのは、前線にポジションを取っていたセンターバックだった。

 バルサは伝統的にポジションに囚われない。クライフが提唱したトータルフットボールの精神である。たとえば、サイドバックにもプレーメーカーと同じような資質を求める。事実、トップではセルジ・ロベルトがサイドバックとMFを両方こなしている。

「(安部)裕葵はサイドバックでの起用もある」

 入団したばかりの頃、クラブ関係者は洩らしたというが、バルサでは珍しくない発想と言えるだろう。複数のポジションを戦術的に習得することで、プレーヤーとして進化できる。いわゆるトータルフットボーラーになれる。

 安部は現在、その進化のプロセスにある。いまはストレスも多いだろう。コルネジャ戦でも、せっかくマークを外していたのにパスがこず、大きく手を広げて不満をあらわにしていた。しかし、先発で起用されていることが、評価されている証拠だろう。後半、安部に代わってトップに入った選手は,2017−18シーズン、UEFAユースリーグ(ユース年代のチャンピオンズリーグ)で優勝した時のメンバーであり、生粋のセンターフォワードである。

 実はバルサBの先発の半数が当時のメンバーだ。つまり、安部は古参のメンバーを押しのけ、実力で先発の座をつかんでいるのだ。

 とはいえ、バルサのトップチーム昇格を目標とするなら、現状に満足はできない。

 コルネジャ戦で得点に絡んだ21歳のカルレス・ペレスは今季、トップチームで悪くないプレーをしても、レギュラーには程遠い。同じく天才と言われてきたプッチもすでに20歳で、「トップでチャンスがないなら、(冬にバルサを)出ていくしかない」と自ら洩らすなど、微妙な立場に置かれている。

 後半には、ブラジルで行なわれていたU−17ワールドカップにも出場したギニア出身で16歳のイライス・モリバが入るなど、次世代がすでに育っている。非情な競争が、そこにはある。ちなみに相手のコルネジャには、クリスティアン・ロバトというアタッカーがいたが、彼は2013年までバルサBの主力として活躍していた選手なのだ。

 時間的猶予はない。すでに20歳の安部は日々、スペインで生き残るためのふるいにかけられている。

 11月23日、現在5位のバルサBは、2位のジェイダと敵地で戦う。






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