ユニクロ「ヒートテック」以上に優秀な保温インナーはある? 専門家がおすすめする「無印」「イオン」の肌着とは

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2019年11月19日 22:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

ユニクロ公式サイトより

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 冬の保温肌着として一般的となったユニクロのヒートテック。2017年段階で、売上総数が10憶枚を突破した大ヒットアイテムですが、今回は、ヒートテックよりも安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか? について考えてみたいと思います。

 本題に入る前に、私は暑がりで汗っかきなので、大阪や東京の寒さはそれほど苦にならないため、真冬でも保温肌着を着用しません。とはいうものの、試しにユニクロのヒートテック、グンゼのホットマジックを買って、着用してみたことがあります。その体感でいうなら、「うーん。普通の綿100%の肌着と変わらん。何が違うのかわからん」というのが正直なところです。そのため、今回は、「着用感」に基づいてではなく、あくまで素材の観点から、論評をしてみたいと思います。

ユニクロのヒートテック以外にも「保温肌着(インナー)」は数多く販売されている

 ここ最近、春夏は吸水速乾肌着、秋冬は保温肌着を着用するというのが、すっかり一般生活に浸透しました。保温肌着といえば、ユニクロのヒートテックが最も有名ですが、各肌着メーカーや大手スーパー、各種量販店もオリジナルで保温肌着を発売しています。これらの肌着は、基本的に素材の機能性によるところが大きいアイテムなので、ブランドによって、デザインやパターンでの差別化は一部を除いてはほとんどありません。実際にはあるのでしょうが、消費者には区別できないほどの微細な差にしかなっていないのです。つまりどのような機能性素材が使用されているかで、肌着の優劣はほぼ決定されると言っても過言ではありません。

 機能性素材の開発というのは、合繊メーカーと紡績がほとんど一手に担っているのが現状です。合繊メーカーというのは、ポリエステルやナイロン、レーヨンなどの「合成繊維」を製造するメーカーのことで、東レ、帝人、旭化成、クラレなどが代表的な企業になります。一方の紡績はもともと、「天然繊維」をつむぎ、綿糸にする工場の出自で、東洋紡、日清紡、クラボウ、シキボウ、ダイワボウなどが代表的な企業になります(実質の倒産により、化粧品と食品だけが何とか残ったカネボウも元は紡績です)。

 現在、アパレルブランドは、保温肌着も吸水速乾肌着も合繊メーカーや紡績とのタイアップが不可欠となっています。ユニクロが東レと中長期提携していることはよく知られていますが、ほかの機能性肌着も同様に、合繊メーカーや紡績の協力を得ているというわけです。

 さて、今回の趣旨は、「ユニクロのヒートテックより安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか?」ということなのですが、今秋冬のヒートテックは、レディースの半袖・8分袖・長袖シャツが990円(税別)、「ヒートテックの1.5倍暖かい」とされる「極暖ヒートテック」は、8分袖・長袖シャツが1,500円(税別)となっています。これらは、平均的な価格なのではないでしょうか。そして、ヒートテックの素材組成は、ポリエステル38%、アクリル32%、レーヨン21%、ポリウレタン9%で、合繊の塊とも言えます。21%混じっているレーヨンが、汗や体表の水分を吸収して発熱するというのがヒートテックの仕組みで、汗をかけばかくほど暖かくなるというシステムです。

 そのため、乾燥しやすい肌の人や、合繊の服だと肌が荒れやすい人は、ヒートテックは「合わない」とも考えられます。そういう人におすすめで、かつ今、密かに売れていると言われているのが、無印良品の「綿であったかインナー」シリーズです。素材の組成は半袖シャツで綿93%、ポリウレタン7%となっていて、オーガニックコットン使用と謳われています。水分を吸収して発熱するという特性は、レーヨンだけのものではなく、実は綿にもあるのです。無印のインナーは、特殊な加工を施すことで、その性質をさらに高めたとされており、合繊だと肌荒れしやすいという人にとっては、ユニクロのヒートテックより優れた商品だと言えます。

 また価格についてですが、レディースではタンクトップ、8分袖シャツ、はらまきショーツ、レギンスの4種類があり、価格はどれも990円。ユニクロのヒートテックと同じ価格と思いきや、ユニクロは税抜き価格である一方、無印良品は税込み価格のため、単純に価格だけで言うなら、無印良品の方が消費税分の99円お得ということになります(ちなみに昨年秋時点の「綿であったかインナー」は、価格が1,290円だったものの、今秋から990円に値下げされました)。

 ただ、オーガニックコットンをこれほど安く仕入れて売ることは至難の業なので、繊維・アパレル業界からは、実は「本当にオーガニックコットンなのか? オーガニックじゃない普通の綿じゃないのか?」と、不信の目で見られているという裏話もあるのですが、とはいえ、ほぼ綿というのは間違いないでしょうから、合繊が苦手な人は一度試してみてもいいかもしれません。なお、某素材メーカーからの情報によると、9月と10月、「綿であったかインナー」は昨年の倍近い売れ行きだったそうです。

 また、知名度の低さの割に、素材メーカーからの評価が高いのが、イオンのプライベートブランド「TOPVALU」が展開するウェア「セリアント」。商品名の「セリアント」というのが、まさに素材名なのですが、これは、アメリカのホロジェニックス社が開発した、チタン・アルミ・ケイ素など13種類もの微細な鉱石を練りこんだ特殊な繊維です。その効能は「血行が良くなること」だとされており、通常の衣類ではなく、一般医療機器に分類されています。そのため、価格は少し高めで、レディースの8分袖インナーが1,880円(税別)。

 同商品はその効能から、秋冬にも適していると言えますが、消費者はもとより業界でも、まだあまり認知されていません。価格で言うと、ユニクロのヒートテックの倍になりますから、なかなか手を出しにくいだろうなと思う半面、この手の健康商材の多くは科学的根拠に乏しいことが多いのに対して、セリアントには根拠があるので、効能としては非常に優れていると考えられます。

 「良い物は必ず売れる」と多くの人は思いがちですが、実際はそうではありません。イオンのセリアントがまったくと言っていいほど消費者はもとより業界からも知られていないのは、その一例だと言えます。

 1,000円前後の保温肌着ではユニクロのヒートテックがほぼ一強と言える中、世に知られていない「自分にとって良い物」がないか、積極的に探してみてもいいかもしれません。
(南充浩)

このニュースに関するつぶやき

  • 太ってる人が身に付けてるミートテックってやつは、かなり優秀らしいぞ!
    • イイネ!2
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