Google『Stadia』アメリカでサービス開始 ゲーム実況連携など未実装多く“まだ発展途上”か

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2019年11月20日 07:11  リアルサウンド

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US版Google store「Stadia Premiere Edition」公式ページより

 11月19日、Googleはゲームストリーミングサービス「Stadia」をアメリカ等の予約購入者向けにスタートさせる。海外メディアは早速先行プレイレビューを公開しているが、心配されていたあの現象は気にならないものも、大きな期待に応えるにはまだ時間が必要なようだ。


(参考:トップゲーム実況者の時給は550万円!? 拡大するゲーム実況市場はStadiaによって変革するか


■隣でNetflixを視聴するのは非推奨
 11月19日からサービスを利用できるのは、もっとも早く予約購入できたプラン「Stadia Founder’s Edition」の購入者である。同サービススタート時にプレイできるゲームは『アサシン クリード オデッセイ』や『Destiny 2』などの12タイトル。もっとも、US版Google storeから購入できるプラン「Stadia Premiere Edition」の公式ページを閲覧すると、今後プレイ可能になると思われる42タイトルが表示されている。そのなかには「ボーダーランズ3」のような比較的新しいタイトルも含まれている。ちなみにPremiere Edition購入者も、同サービスを順次利用できるようになる。


 ゲームメディア『Game Spot』は18日、GoogleがFounder’s Edition購入者向けにStadiaの推奨プレイ環境に関して解説したメールを送信していたことを報じた。このメールに書かれた推奨事項のなかで目をひくのが、ほかのストリーミングサービスとの同時利用をすすめない、というものだ。例えば、スマホからStadiaをプレイしている時、隣でNetflixを視聴するのは良くないのだ。この注意事項は、通信資源をStadiaに集中させるためのものと考えられる。そのほかの推奨事項は、以下の通り。


・Chromecastを使ってゲームをストリーミングする時は、有線接続が望ましい(US版Google Storeには有線接続用ケーブルが販売されている)。


・Wi-FiルータはChromecatと同じ部屋に設置し、通信帯域を5Ghzに設定する。


・テレビでゲームを表示する場合は、画質をUHDモードに設定する。


■レイテンシは気にならない
 Stadiaの利用を検討するにあたり、もっとも懸念されるのが「レイテンシ(通信遅延)が気になるのか」ということであろう。この懸念に対して、各海外メディアの先行レビューはプレイした感触を伝えている。以下、レビューの一部を抜粋する。


・「専用コントローラーは素晴らしい。ボタンはきびきび動き、ジョイスティックは滑らかだ」「Chromebookでプレイしたのだが、Destiny 2のプレイに没頭している自分に気づいた…Stadiaのいいところは、デバイスが発熱しないところだ」(US版『WIRED』)


・「ゲームがストリーミングされているとは気づかない…インストールゲームをプレイしているようだ」(ゲームメディア『Gamasutra』)


・「有線接続したPCでプレイした場合がもっとも素晴らしい…Mortal Kombat 11のような格ゲーでも問題ない」(ゲームメディア『MMORPG』)


・「Google Pixel 3A XLでのプレイが印象的…『レッド・デッド・リデンプションII』や『アサシン クリード オデッセイ』のようなAAAタイトルをストリーミングできるのが素晴らしい」(エンタメメディア『SCREEN RANT』)


■“最高”になるにはまだ時間が必要
 レイテンシ問題はおおむねクリアしているものも、現時点のStadiaは未完成のサービスと言わざるを得ない。というのも、同サービス発表時にもっとも注目された「State Share」や「Crowd Play」のようなゲーム実況との連携機能がまだ実装されていないのだ。同サービスが発展途上なことについて各海外メディアは欠点として指摘しているものも、完成されればゲーム市場を刷新するサービスになることを期待している。以下、該当箇所のレビューを抜粋。


・「Googleが開発を続けると、Stadiaはお金で買える最高のゲームストリーミングサービスになる可能性がある…(サービスとして完成するには)より多くの時間が必要」(『MMORPG』)


・「まだクロスプレイに対応していない」「Googleには、具体化すべき多くの機能と対処すべき問題がある」(『WIRED』)


・「基盤は非常に強固だが、Stadiaにはまだ長い道のりがある」(『Gamasutra』)


 ところでStadiaが完成したあかつきには、既存ゲーム機市場を切り崩す存在となるのだろうか。こうした疑問に対して、レビューでは同サービスと既存ゲーム機市場は共存できるという見通しを述べている。


・「全体として見ると、Stadiaの強みはその汎用性にあり…(ゲーミングPCブランドである)AlienwareやRazerに取って代わることを意図したサービスではない」(『WIRED』)


・「ストリーミングテクノロジー自体がどれほどうまく機能していても、近い将来、物理的なゲームまたはローカルにインストールされたゲームを好むビデオゲームのオーディエンスが一堂に集まることを認識する必要がある。そうしたヒトたちは、所有することを求めているのだ」(『Gamasutra』)


 以上のようなレビューをまとめると、Stadiaはまだ発展途上ながらもゲーム市場をより活性化するサービスに成長することが期待できる、と言えるのではないだろうか。なお、同サービスの日本での開始は2020年からとなっている。


(吉本幸記)


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