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中国が着手した「6G」って何? 5Gから10年先の“覇権”を巡る思惑

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2019年11月21日 08:12  ITmedia ビジネスオンライン

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写真中国では11月1日に5Gの通信サービスを開始(写真:ロイター)
中国では11月1日に5Gの通信サービスを開始(写真:ロイター)

 2019年は「5G元年」だといえる。もはや言うまでもないが、5Gとは第5世代の移動通信システムのこと。



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 米国では18年10月から試験的に5Gがスタートしていたが、19年4月9日にスマートフォンで使える5Gの通信サービスを開始。それに負けじと、韓国は突然、米国がスタートする1時間前にサービスを開始して、「世界初」と強引に主張したことで話題になった。どうしても世界初と言いたかったようである。



 そんな具合で、すでに導入が始まった5Gだが、これまで、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の5G通信インフラなどを巡って、米国との対立が激化しているのはこの連載で何度も取り上げてきた。現在進行中の米中貿易戦争も相まって、ファーウェイをめぐる攻防は続いている。



 そんな中国でも、11月1日に中国移動と中国聯通、中国電信の3大通信事業者が5Gの通信サービスをスタートさせた。こちらは、現時点で「世界最大規模のネットワーク網」という触れ込みだ。



 通信分野でも優れた技術力を持っているはずの日本では、5Gがスタートがするのは20年。一歩遅れた感があるが、中国や米国のように、5Gの経済効果を見据えて、国策として多額の補助金などの支援を推し進めてこなかった日本が、今後も後塵(こうじん)を拝するのは仕方がないだろう。



 韓国や米国、中国が5Gサービスを本格的に立ち上げ、そして日本などがこれから頑張ろうという最中に、新たなニュースが中国から飛び込んできた。なんでも、5Gをスタートさせたばかりの数日後に、「6G」(第6次移動通信システム)の研究を公式に開始したと発表したのである。



 そもそも6Gとはどんな技術で、それが世界にどんなインパクトを与えるのか。筆者のような凡人には想像もつかないが、中国の思惑はどこにあるのだろうか。中国のビジョンをのぞき見てみたい。



●超高速・大容量「5G」がもたらす変化



 まずあらためて、5Gについておさらいする。5Gがどれほどの変革をもたらすのかを知るには、数字を見るのが手っ取り早い。



 現在私たちが使っている4G(LTE)と比較すると、5Gは、速度が100倍早くなり、扱えるデータ容量は1000倍にもなる。5Gの超高速で大容量の通信を使えば、今なら2時間の映画をダウンロードするのに5分ほどかかっているのが、3秒とかからない。



 また5Gには、低遅延と多接続という利点がある。通信の際に起きるタイムラグは1ミリ秒(1000分の1秒)以下になり、現在なら遠方の人と通信をするのに生まれるタイムラグはほとんどなくなると言っていい。多接続については、1平方キロメートルあたり、100万台の機器を同時に接続できる。さらにデータ通信はこれまで以上に安定するし、電力消費量も少なくて済むという。



 ただ5Gは高周波数帯を使うことで、これまでのように電波が扇形に広がるのではなく、デバイスに直線的にデータを運ぶことから、建物や雨などにデータが遮断されてしまうという弱点がある。そのため、現在以上に多くの通信基地が必要になる。日本でも最近、各社が急ピッチで設置を進めているが、設置のための人手確保も難しくなっており、まだ幅広いサービスを提供するには時間が必要になると見られている。



 一方、5Gがもたらす変化は、かなりのインパクトになる。18世紀末以降に工場の機械化をもたらした第1次産業革命から、20世紀初頭に電力などで大量生産を可能にした第2次産業革命、1970年代からのコンピュータやオートメーション(自動化)による第3次産業革命に続いて、5Gは第4次産業革命をもたらすとも言われている。5Gの高速・大容量・多接続・低遅延によって、私たちの身の回りがIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)で制御されるグッズであふれ、全てがネットワーク化される時代になる。



 今ネットで「5G Future」と動画を検索すれば、世界中の大手メーカーや政府機関などが、それぞれの考える5Gの未来像を映像で表現している。チェックしてみるとその違いは興味深い。5Gはその経済効果も大きく、2025年には100兆円規模にもなり、そのさらに10年後には1200兆円規模にもなると言われている。それだけ新しい技術が、経済活動に寄与するということだ。



 ただもちろん、明るい話ばかりではない。身の回りから社会の至る所まで全てがネットワーク化されると、プライバシーや情報漏えい、サイバー攻撃などのリスクは高くなる。その対策も、5Gのインフラ設置と同じようなペースで議論していく必要があるだろう。



 とにかく、5Gがどんな時代になるのか――まだ世界中でそんなことが、明るい希望を持って語られている中で、中国が6Gの研究をスタートしたという。いったい中国は何をもくろんでいるのか。



●ハッタリか本気か、中国が「6G」時代をリードする?



 中国の科学技術部が本格的に6Gの研究・開発を開始すると発表したのは11月6日。そのために、2つの組織が立ち上げられるという。1つは6Gの研究を推進することに責任を負う政府系の関連機関による組織。国を挙げたバックアップ体制を取り仕切ることになると見られている。



 もう1つは、37の大学や研究機関、企業からなる組織で、6Gの技術的な部門を担うという。中国科学技術部は、「まだ初期の段階で、技術的な道筋も明確ではない」と述べている。とにかく、どんな可能性があるのかについて検討を始めるといったところのようだ。



 ちなみに米国の天敵となっているファーウェイも、6Gの開発に乗り出しているとの話もある。とにかく、ファーウェイやZTEなど、5Gで米国から激しい妨害を受けている状況を教訓にして、6Gでは有無を言わさず覇権を握るための包括的な戦略を考えてくることだろう。



 筆者が話をした米国の専門家によれば、「中国は6Gで、5Gの時と同じ轍(てつ)を踏まないという決意を見せたということだ。実は、少し前から6Gについて話は出ていた。でも今回は、中国らしく、大げさにアピールしているだけではないか」と語っている。ただ現在の中国の技術力を考えると、ハッタリだろうと片付けていいのかとも感じる。西側諸国やその同盟国などはうかうかしていられないのではないか。



 移動通信は10年スパンで新たな世代に変わってきた経緯がある。第1世代(1980年代〜)では自動車電話など、移動しながらの電話が可能になった。第2世代(1990年代〜)では通信がデジタル化され、誰でも携帯電話が持てるようになった。テキスト(文字)を送ることが可能になったのも第2世代からだ。第3世代(2000年代〜)になると、インターネットに接続できるようになり、個人で画像もやりとりできるように。2010年代からの第4世代(LTE)では、スマートフォンで多彩なアプリを使い、映像などを配信できるようにもなっている。



 2019〜20年から5Gが始まる。そう考えれば、2030年には6Gの時代が到来してもおかしくない。歴史を振り返れば、非現実的な話ではない。



●6Gの世界を予想すると……



 では6Gとはどんなものになる可能性があるのか。米調査会社PSBが米国の企業幹部など3500人に対して行った調査によれば、回答者の91%が「5G時代に生まれる新たな商品やサービスは、現在まだ“考案”すらされていないだろう」と答えている。つまり、10年もすれば、今では想像できないような世界が広がっている可能性がある。



 それにもかかわらず、今の時点で6Gの世界を想像するのは難しい。SF映画に出てくるようなレベルを超える未来を思い浮かべることは容易ではない。



 ただそれに挑戦している人たちもいる。フィンランドのオウル大学は、世界的にも6G研究が進んでいる。ノーベル賞受賞者や首相なども輩出している同大学は、19年9月に6G時代を見据えた世界初の「6G白書」を発表した。70人の専門家が協力した白書では、6Gの世界を予想している。例えば、1テラバイトを瞬時に扱うようなコンピュータ。また、スマホのようなデバイスでも、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を当たり前のように使えるようになる。さらにそれら全てまとめて実現するXR(エクステンデッド・リアリティ)まで登場し、現実とバーチャルの境界が今以上に薄くなるらしい。白書では、そんな未来を真剣に議論している。



 実は、19年2月には、ドナルド・トランプ米大統領も突然、「5Gだけでなく、6Gもできる限りすぐに米国に欲しい」とツイートして話題になった。当時は専門家から失笑されたが、そのくらいのスピード感は必要なのかもしれない。さもないと、1980年代後半からインフォメーション・ウォーフェア(情報戦争)の重要性を認識して長年5Gを研究し、「中国製造2025」で世界の工場から技術大国への成長を目指してきた中国には太刀打ちできないかもしれない。



 一歩出遅れた日本は、6Gに向けて、中国に負けじと研究を進めるべきではないだろうか。



(山田敏弘)


このニュースに関するつぶやき

  • 今の日本にそんな世界の流れを作り出せるような土壌なんてあったっけ(’’)
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  • これね、真面目に他の国もやらないと、マジでやられるよ
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