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ネトウヨ大喜び『反日種族主義』は韓国で出版前から日本版出版予定だった!編集協力に安倍応援団の産経・久保田や西岡力の名前も

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2019年11月21日 22:00  リテラ

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リテラ

写真『反日種族主義』(文藝春秋)
『反日種族主義』(文藝春秋)

 韓国人研究者たちが「韓国の“反日”はウソと捏造だらけ」と糾弾する書籍『反日種族主義』(李栄薫・編著)が売れている。日本語版の版元である文藝春秋によると、今月15日の発売から18日の時点ですでに4刷、累計20万部を数えるという。



 絶賛の声をあげているのは、右派メディアと極右文化人、そしてネット右翼だ。「正論」(産経新聞社)、「月刊Hanada」(飛鳥新社)、「WiLL」(ワック)、「Voice」(PHP研究所)など極右モロ出し雑誌はもちろん、「中央公論」(中央公論新社)そして「文藝春秋」にも著者らのインタビューや論文が次々に掲載されるなど、いわば、右派論壇はいま“反日種族主義バブル”の最中にあると言える。



 ある意味、当然だろう。同書は「韓国の反日」を徹底的に批判するだけでなく、前編記事(https://lite-ra.com/2019/11/post-5097.html)で詳しくお伝えしたように、慰安婦問題や徴用工問題などの歴史認識でも日本の歴史修正主義や政府の言い分を“トレース”するような内容になっている。つまり、以前から日本の極右勢力と安倍政権が展開してきた「韓国が悪い!」の大合唱を「韓国人」が代弁してくれるというシロモノだからだ。



 しかも、同書には〈韓国の嘘つき文化は国際的に広く知れ渡っています〉〈二〇〇〇年代に入ると全ての国民、全ての政治が平然と嘘をつくようになったのです〉などと、日本のヘイト本さながらの記述まで盛り込まれている。韓国文化や国民性を「呪術的な“反日”で結託し、ありとあらゆる嘘をつく」と断言したうえで、未開的かつ侮蔑的な意味で「反日種族主義」と名付けるのだから、いまだ「併合時代の宗主国意識」を温存して韓国を見下したい日本の右派のみなさんにとって、これ以上にうってつけの本はないというわけだ。



 だが、この本、本当に日本の右派が言うような「韓国人が母国の未来を嘆いて“反日”を糾弾する憂国の書」なのか。いや、そんなピュアなものではありえないだろう。



 というのも、『反日種族主義』は最初から日本での発売を意図しており、実際、日本の極右勢力の全面協力を得ているからだ。むしろ、発売までの経緯を追っていくと「日韓右派のマッチポンプ」の可能性すら浮上してくる。



 たとえば、日本語版『反日種族主義』には、産経新聞編集委員である久保田るり子氏の「解説」が寄せられている。久保田氏といえば、ソウル支局特派員などを歴任し、「朝鮮半島ウォッチ」と称して韓国叩きを繰り返してきたゴリゴリの右派。フジテレビのニュース番組にも出演して安倍政権を擁護しまくったり、具体的根拠を示さずに“日本に3桁ぐらいいる北朝鮮スパイがテロを起こす”などと垂れ流してきた記者だ。



 そんな久保田氏が、実は『反日種族主義』出版計画の初期から大きく関与していた。李栄薫(イ・ヨンフン)氏による「日本語版序文」には〈『反日種族主義』日本語版の刊行には、韓国語版の企画段階からそのような提案をされて来られた産経新聞の久保田るり子記者(編集委員)の役割が重要でした〉と記されている。さらに、李氏と文藝春秋の編集者とを引き合わせたのも久保田氏だったという。



 これだけでも、日本の右派にとって同書がどれだけ“待望の一冊”であったかがよくわかるというものだが、それだけではない。李栄薫氏が「韓国語版の企画段階からそのような提案をされて来られた」と記しているように、実は、『反日種族主義』は最初から日本での刊行を予定してつくられていたのだ。



●『反日種族主義』の編集協力にあの“安倍首相のブレーン”の名前も!



 そもそも、同書は李栄薫氏が校長を務める「李承晩学堂」なる私塾が「李承晩TV」というYouTubeのチャンネルで講義した内容が元になっている。「李承晩TV」は昨年6月に開設。今年4月からはわざわざ日本語字幕付きの「反日種族主義を打破しようシリーズ」を始めており、日本でもネット右翼界隈など一部で話題になっていた。つまり、はじめから「日本の読者」を意識しており、その流れのなかで出版計画がもちあがったのである。実際、韓国のハンギョレ新聞も〈この本は韓国での出版前から日本語版の出版が計画されていた〉と伝えている。



〈李承晩学堂関係者は「講義映像は韓国の視聴者より日本の視聴者の反応が熱かった。それで本も韓国語版の出版前から日本語版を出そうとしていた。韓国人と日本人の翻訳者が分担して翻訳し、日本語が分かるイ・ヨンフン〔李栄薫〕教授がすべてを監修した。年内に出版しようとしている」と話した。続いて「慰安婦(の支援)活動をする人々が日本で友好勢力を確保したように、私たちも両国の友好協力を支持する市民勢力を作ろうとしている」と説明した。〉(ハンギョレ8月26日付)



 さらに『反日種族主義』には、産経の久保田氏とは“別のライン”も見え隠れしている。「安倍首相のブレーンの一人」とも言われる西岡力・麗澤大学客員教授だ。西岡氏といえば、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」会長としても知られるが、慰安婦問題否定派の中心人物でもあり、今年3月には『でっちあげの徴用工問題』(草思社)なる本を著している極右論客だが、『反日種族主義』日本語版の巻末には「編集協力」として、産経の久保田氏とともに西岡氏の名前がクレジットされているのだ。



 これはどういうことなのか。実は、西岡氏がとある講演のなかで語るところによれば、李栄薫氏の弟子で同書の著者のひとりである李宇衍(イ・ウヨン)氏は「私の友人」なのだという。李宇衍氏というのは、『反日種族主義』のなかで徴用工問題を〈当時の朝鮮の青年たちにとって日本は、一つの「ロマン」でした〉などと言って「強制性はなかった」と主張している人物だ。



 李宇衍氏は、モラロジー研究所と関係の深い「歴史認識問題研究会」(会長・西岡力)なる団体の機関誌に『でっちあげの徴用工問題』の書評を寄せている。また、今年10月には同団体が主催するシンポジウム(司会・高橋史朗明星大教授)へ西岡氏とともに登壇予定だった(李氏の体調不良によって登壇中止)。さらに言えば、西岡氏の『でっちあげの徴用工問題』の内容は、李宇衍氏が『反日種族主義』で展開するロジックとよく似ている。日本の歴史修正主義陣営の最右翼である「安倍首相のブレーン」が『反日種族主義』の編集に関与している事実は、小さくない意味を持つだろう。



●櫻井よしこは『反日種族主義』を中立と言うが、著者は韓国「ニューライト」の中心人物



 そのうえで改めて指摘しておこう。『反日種族主義』には、明らかに学術的研究を超えた特定の政治的意図が込められている。“極右の女神”こと櫻井よしこ氏は「週刊新潮」(新潮社)の連載で〈李氏は経済史の専門家としてずっと数字や事実に拘り続けてきた。フィールド・ワークから導き出される事実は政治的偏りとは無縁である〉と同書の「中立性」を強調しているが、実際には、李栄薫氏らのスタンスは「政治的偏り」そのものだ。



 李栄薫氏は韓国経済史を専門とする元ソウル大学教授で、いわゆる韓国の「ニューライト」の中心的人物である。「ニューライト」というのは、簡単に言えば、「南北統一」などの革新系政治に反対し、「日本による植民地時代が韓国近代化の礎を築いた」なる「植民地近代化論」の論陣を張ることが多い保守系グループだ。その政治思想的傾向から日本の右派と極めて相性がよい。事実、以前から韓国のニューライト運動については、産経新聞らが繰り返し好意的に取り上げてきた。



 もう少し解説しておこう。そもそも、戦後に日本による植民地支配から解放された朝鮮半島は、少なくとも政治の水面下においては、長らく日本の右派との協調的関係を築いてきた。初代の李承晩政権が学生運動で倒れたのちも、朴正煕が軍事クーデターで実権を握り、この間の韓国軍事政権と日本の自民党政権は“蜜月”とすら言えた。なにより、韓国の軍事クーデターにお墨付きを与えたのが、米国とその手下である日本だったからだ。とりわけ「安倍晋三の祖父」である岸信介と「朴槿恵の父」である朴正煕が「親友」であったことはよく知られている。日韓基本条約(および日韓請求権協定)をまとめ締結したのも、岸の後を継いだ池田勇人、佐藤栄作と朴正煕政権でのことだ。



 韓国で「ニューライト」が登場するのは民主化以降、1998年に金大中が初めて革新系大統領となってからだ。創始者の一人である安秉直・元ソウル大教授は『反日種族主義』編著者・李栄薫氏の師にあたる。「ニューライト」は李承晩を「自由主義的建国の父」と崇め、新自由主義的経済政策を掲げながら、日本植民地時代を肯定的に評価する「代案教科書」運動などで、革新(進歩)系政府とその歴史認識を徹底批判した。つまり、金大中・盧武鉉と続いたリベラル系政権へのカウンター運動である。



●日本の極右論客と韓国ニューライト論客が結託しリベラル系文在寅政権を攻撃



 その後、「ニューライト」運動とその指導者たちは、保守系である李明博・朴槿恵政権の屋台骨となった。実際、朴槿恵は国定教科書策定計画で「ニューライト」系の学者らを重用している。いわば、近年の韓国保守系政権におけるステークホルダーだったのだ。その「ニューライト」系の学者である李栄薫氏らから見れば、当然、9年ぶりに復権した革新(進歩)系政権であり、李明博・朴槿恵など脈々と続いてきた保守政権の「積弊清算」を掲げる文在寅大統領は、まさしく“目の上のたんこぶ”以外の何者でもない。



 ようするに、安倍政権を熱烈に支持する日本の極右界隈にとって、「ニューライト」は“敵の敵は味方”どころか、戦前回帰的な歴史修正主義においても“最適のパートナー”なのである。事実、すでに極右雑誌で大宣伝されているように、日本のリビジョニストたちは『反日種族主義』を大いに政治利用している。



 たとえば前述の李宇衍氏は、今年7月、国連欧州本部で開かれたシンポジウムに出席し、徴用工問題に関して「強制性はなく、賃金差別もなく、奴隷労働というのは嘘である」という趣旨の発表をおこなったが、実は、李宇衍氏を国連に連れて行ったのは、あのテキサス親父日本事務局長・藤木俊一であったことがわかっている。ハンギョレ新聞(8月27日付)によると、藤木氏は李宇衍氏のジュネーブへの往復航空運賃と5泊6日の滞在費用も負担したという。



 いずれにせよ、「韓国で異例のベストセラー」「韓国人が“反日”を糾弾、韓国の嘘を暴いた」などと持ち上げられている『反日種族主義』だが、その実、出版計画には当初から安倍政権に近い日本の極右陣営が関与し、その内容も、歴史修正主義者や安倍首相をバックアップしていることは事実だ。同じ手口は、これからもどんどん繰り返されていくだろう。それこそ、日本極右のヘイト本の言説を韓国の「ニューライト」が展開し、逆輸入的に日本に持ち込まれるという可能性も低くない。政治的策謀と欺瞞に満ちた「日韓右派」の連携を注視すべきだ。

(編集部)


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