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花粉症対策は11月からがベスト! 被害ゼロのための「タイムライン」

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2019年11月22日 08:00  AERA dot.

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写真写真:森林総合研究所提供
写真:森林総合研究所提供
 今や日本人の4人に1人が発症する「国民病」とも言われる花粉症。その被害の深刻さ、広範さは、もはや自然災害の一つといっても過言ではない。だから対策も災害レベルで考えたい。AERA 2019年11月25日号では、「花粉症タイムライン」を特集した。

【図解】ベストなタイミングで対策を!「花粉症タイムライン」はこちら

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 アレルギー疾患のエキスパートで、花粉症治療の先駆者である日本医科大学の大久保公裕教授(60)は、専門医を受診するのは「11月がベスト」と言う。

「花粉が飛ぶ季節が近づくほど、治療の選択肢が狭まってしまいます。自分がどんな治療法を選択したいのか、専門医に相談して今のうちに治療方針を立てるのがよいでしょう」

 とりわけ今春、薬の服用だけでは十分な効果が得られず、仕事や生活に支障が出るほど花粉症に苦しんだ人は、来シーズンに向けた治療開始のタイミングを逃さないよう注意が必要だ。大久保教授は言う。

「花粉の飛散が植物の生体運動であることを考えれば、花粉症は一種の自然災害です。自然の働きに対して事前に予想を立てるのは困難ですが、最悪の状況をイメージして被害を最小限に食い止めるのが大事です」

 アエラは今回、花粉症を災害の一つと捉え、被害を最小限に食い止め、できることならば完全に逃れるための「タイムライン」を作成した。11月、12月、1月、2月、そして本番の3月。それぞれのタイミングでベストの対策をとることで、来年の花粉症との闘いで被害を受けないことが最終目標だ。

 それでは、タイムラインを順に追っていこう。

 現在、事前に花粉症に備えられる治療法は、3種に大別される。1日1回、スギ花粉の抗原エキスを舌の下に1〜2分間入れてから飲み込む「舌下免疫療法」。レーザーで鼻の粘膜を一時的に凝固させる「レーザー療法」。さらに来シーズンに向けて健康保険適用が始まる見込みの「抗体療法」だ。厚生労働省の専門家部会は10月31日に重症の花粉症患者の治療薬として、抗IgE抗体製剤「ゾレア」(一般名:オマリズマブ)を了承。近く正式承認されることが内定した。従来の治療法では効き目が不十分だった重症患者にも効果が期待できる。

 このうち舌下免疫療法は、スギ花粉が飛んでいない時期に始めることが必須。できれば11月に、遅くとも12月中には抗原エキスの服用を始める必要がある。

 舌下免疫療法は、スギ花粉から抽出した「抗原」を毎日少しずつ体内に取り込むことで、「花粉は悪者ではない」と認識する体質へ徐々に変換させ、くしゃみや鼻水などの「防御反応」が起きないようにする治療法だ。2014年から健康保険の適用対象になった。副作用もなく、近所の開業医で気軽に処方してもらえる。

 12月からの服用開始でも、翌春の効き目が確認されている。きっと効くと期待して春を待ちたいが、根治には2年以上かかるとされる。また、治療の効果が出ない人も全体の3〜4割いるとされ、長期間服用を続けても根治に至らず再発するケースもあるのが難点だ。昨年、一昨年に舌下免疫療法を始めたものの、効き目を実感できなかった人は、どう判断すればいいのか。

「累積の抗原量が十分ではない可能性があり、2、3年続けないと効果の有無の判断は困難です。そうした場合、別の治療法を加えるか、投薬とセットで治療していく方法もあります。そうした治療方針を医師と相談して今のうちに決めておくべきでしょう」(大久保教授)

 レーザー治療は12〜1月上旬に施術を受けておく必要がある。

 レーザーで焼いた粘膜は、やけどのあとのような状態に変化し、アレルギー反応を起こしにくくなる。しかし施術後、2週間ぐらい経つまでは粘膜が荒れた状態にあるため、その時期に花粉を吸いこむと症状が悪化しかねない。このため、遅くとも花粉が本格的に飛び始める2週間前の「1月上旬」が施術のタイムリミットになる。大久保教授は「レーザー照射は通常1回で済みますが、効果が十分でない場合、施術が2回必要な患者さんもおられます。このため、12月中に受けておくのが無難でしょう」とアドバイスする。

 12月よりも前に治療を受けても、花粉が飛散する肝心の時期に効果を得られない。レーザー治療は、施術後3〜4カ月で粘膜が元の状態に戻ってしまうためだ。もう一つ注意したいのは、鼻水が出ている状態では治療を受けられないこと。12月はインフルエンザや風邪が流行する時期でもある。鼻水が治まらないとレーザーで患部を照射できなくなるため、12月に入る前から体調を整え、鼻水が出ていないタイミングで治療する必要がある。

 最新の治療法として期待の高い抗体療法は、1月に開始するのがいいという。

 花粉の抗原が鼻の粘膜内に入ると、異物を認識する細胞が作用し、「IgE抗体」という花粉にぴったり合う抗体が作られる。抗体が抗原をつかまえて結合することで、くしゃみや鼻水など症状の原因となる物質が放出される。この結合を妨げる薬剤を投与することでアレルギー反応を抑制するのが抗体療法だ。ぜんそくなどに用いられてきた抗体治療を花粉症に応用するのは世界初になる。

 薬剤開発に携わった大久保教授は「抗体治療はインフォームド・コンセントが大事」と強調する。保険が適用されても1シーズンに数万円かかり治療費がかさむことや、抗体医療の薬剤は遺伝子組み換え技術が使われていることなどを、丁寧に患者に説明する必要があるからだ。

 薬剤の量は人によって異なるが、1〜4月までの3カ月間に、2〜4週間に1回の割合で数回にわけて注射で投与する。

 先んずれば花粉を制す。来春を快適に過ごすためには、今から1月までの時期にしっかりと治療しておくことが重要だ。

 1月になったら必ず注意したいのが、日本気象協会が発表する花粉の飛散状況。来春は全国的に飛散量が少なめと予想されている。油断は禁物だ。

「12月中から飛散予測に留意し、1月に入れば自分の住んでいるエリアの飛散状況をチェックし、万全の準備を整えるべきです」(大久保教授)

 重要なのは、いつもの薬物療法を、症状が出る少し前に始めることだという。これは「初期療法」と呼ばれ、多くの医療機関で奨励されている。

 では、いつ始めるのか。花粉は例年、1月上旬から飛び始める。花粉に極めて敏感な人は、このタイミングで開始する必要があるが、東京の場合、ほとんどの人は2月中旬、バレンタインデーあたりが薬物療法を始める目安だという。それより早い場合、医療機関で花粉症治療と認められず、薬を処方してもらえない可能性がある。

 くしゃみや鼻水といった花粉症の症状は、鼻や目の粘膜にある抗体に花粉が結合することで分泌されたヒスタミンなどの化学物質が、「受容体」に結合することで起きる。花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン薬は、この受容体に結合し、ヒスタミンと受容体が結合しないようにする仕組みだ。花粉が飛んでから服用した場合はヒスタミンと薬で受容体を奪い合うことになるが、事前に飲み始めれば、受容体をしっかりふさいだ状態で迎え撃てるため、効果が高い。

「最初にアタックしてきた花粉によってヒスタミンを分泌したとしても、抗ヒスタミン薬の服用によって既にヒスタミン受容体が薬で埋まっている状態になっていれば、症状が出にくくなります」(大久保教授)

 医療機関での治療以外にも、出来ることはまだまだある。大久保教授は「飛散量が多い時期に備え、生活や仕事の予定を可能な限り事前に調整しておくべきでしょう」と話す。

 都内のビジネスパーソンの場合、屋外で花粉にさらされる時間をどれだけ短くできるかがポイントだ。例年、花粉の飛散量が最も多いのは3月の第1週と第2週。1〜2月には、可能な範囲で事前に仕事を調整し、3月前半に外回りの仕事をできるだけ入れない予定を組みたい。

 花粉の多くは山林から飛来するので、都心では、朝早い時間帯は飛散量が少ない。勤め人の場合は早めの出勤を心がけ、どうしても外に出なければならないアポは午前中に組むことで、花粉に身をさらす時間を大幅に減らせる。

 アポ入れという点では、3月前半には不要な飲み会も入れないように調整したい。花粉の飛散が少ない夜でも、にぎやかな街では車道に積もった花粉が車が通るたびに舞い上がる。酒で粘膜が充血すれば、花粉が入り込みやすくなる。翌朝の早起きも難しくなるだろう。

 生活の乱れをただすことも、1〜2月にするべき重要な準備だ。年末年始は飲酒の機会も多く、規則正しい生活を守るのは難しい。そんな人も、正月明けからリセットする気持ちで朝方の生活に切り替えよう。体調を整え、免疫力を高めておくことが花粉症の予防には大事だ。

 花粉が飛ばない地域に「避難」するのも極めて有効な対策だ。実は、スギは本州から四国、九州以外にはほとんど存在しない樹木だ。つまり、北海道や沖縄、海外に行ってしまえば、スギ花粉から逃げ出せる。

 フリーランスだったり、有給休暇が消化し切れていなかったりしてまとまった休みを取れるという人は、3月前半の2週間、あるいはその一部だけでも、花粉のない世界へランナウェイしよう。もし前後にこれらの地域への出張があるなら、時期を3月前半に合わせられればベストだ。

 花粉症対策のために仕事を休むなんて──という声もありそうだが、それは大間違い。花粉症は、災害なのだ。

 そして3月。花粉の飛散シーズンになれば薬を使い、眼鏡やマスクで対策するしか手立てはなくなる。これまで見てきたとおり、朝型の生活を心がけること、不要な外出を減らすこと、眼鏡やマスクで対策を徹底することで、花粉の嵐を耐え忍ぼう。(編集部・渡辺豪)

※AERA 2019年11月25日号より抜粋

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