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難病のFC岐阜前社長がJ3降格も「県に必要なクラブになった」とエール

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2019年11月22日 10:42  webスポルティーバ

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FC岐阜前社長・恩田聖敬
Jリーグクラブへの伝言 2019特別編
前編〜昇降格とクラブライセンス〜

『FC岐阜J3降格』。

 ついにこの日がやってきました。

 スポルティーバの読者の皆様、ご無沙汰しております。FC岐阜を運営する、株式会社岐阜フットボールクラブの前社長で、現在は株式会社まんまる笑店の社長を務める、恩田聖敬です。ALS(*筋萎縮性側索硬化症)を罹患しております。


『FC岐阜』と『降格』。この二つは一心同体のような関係です。具体的に歴史を振り返ってみましょう。

 J2リーグが今の形、つまり全22チーム42試合となったのは2012年シーズンからです。またこの年から、下部リーグ(2012年、2013年はJFL、2014年からはJ3)との入れ替え制度が始まりました。

 J2の下位2チームが降格対象となり得るのですが、制度が導入された後のFC岐阜の順位は、21位、21位、17位、20位、20位、18位、20位、そして今シーズンが最下位22位と、8年間で6度もギリギリの残留争いを演じています。社長が変わっても、監督・コーチが変わっても、選手が変わっても、残留争いをすることになるのは一向に変わりません。

 まずは、勝点について見てみましょう。サッカーにおいては勝ち=3点、引き分け=1点、負け=0点という方式で順位が決まります。FC岐阜が残留すれすれの20位となったのは3回ありますが、その勝点は43、43、42です。つまり42試合全て引き分ければ残留が可能です。毎年残留争いをしているので、残留への勝ち点ラインも熟知しています(笑)。

 ところで、一昨年まではJ2の最下位と下部リーグの1位は自動入れ替えで、J2の21位と下部リーグの2位は入れ替え戦を行ない、下部リーグのチームが勝てば入れ替え、というレギュレーションでした。しかし、FC岐阜は21位が2回もあったにも関わらず、入れ替え戦を戦わずしてJ2に残留しています。これにはいわゆるクラブライセンス制度が関係しています。

 Jリーグにおいて上位のリーグに上がるには、よい戦績を残すだけではダメで、各リーグに対してJリーグが定めた、各リーグにふさわしい練習環境やスタジアムの観戦環境を満たし、Jリーグから上位リーグのライセンスを発行してもらう必要があります。

 FC岐阜が21位だった時、下部リーグ上位2チームでJ2のライセンスを持ったチームはいずれも1チームだけだったので、ライセンスを持たないチームはJ2昇格、もしくは入れ替え戦を戦う権利を与えられず、運良くFC岐阜は残留します。

 私が社長に就任した2014年当時、FC岐阜はJ1ライセンスを持っていませんでした。結果を残したチームが上へ上がる権利を与えられない、そんな酷い結末はあり得ないと私は思いました。

 しかし、J1ライセンスを満たすための練習環境の改善やスタジアムの改修には何億単位のお金が必要で、当時ようやく債務超過を脱したFC岐阜にとてもそんな資金力はありませんでした。当時、ラモス瑠偉監督や川口能活選手をチームに迎え、岐阜県中がFC岐阜に注目している。私は今こそJ1ライセンスを取得する千載一遇のチャンスだと考えていました。

 今だから白状しますが、私は当時のラモス監督の3年契約を武器に行政をこう口説きました。「もし来年(2015年)チームが躍進してJ1に上がれる結果を残したとしても、J1ライセンスがなければラモス監督の3年目を、またJ2で戦ってもらうことになります。それは岐阜県の恥ではないでしょうか? 何としても来年中にライセンスを取るべきです!」

 また、同時に練習環境の改善を岐阜市に訴える署名活動も実施しました。岐阜市民40万人に対して、約16万人の署名を岐阜市長に提出して、ライセンス取得活動に弾みをつけます。

 こうして行政と岐阜県民の皆様の理解と協力を得た結果、2015年、FC岐阜はJ1ライセンスを取得しました。私が社長としてFC岐阜に残せた形ある遺産です。

 現在のJリーグはまさに群雄割拠で、どのチームがどのリーグに昇降格してもおかしくない状況です。上位リーグへの昇格条件を満たす結果を残せるチャンスは一握りです。その時、ライセンスが壁になるとしたら次のチャンスはいつになるかわかりません。

 地元の活力源となり、地域の誇りとなることがJリーグに関わるクラブの使命であり存在意義です。私は他のスポーツクラブも然りだと思います。今も全国で、そうした志を持って孤立無援で活動している方がいらっしゃいます。また、Jリーグのクラブにも上位リーグのライセンスを持たないクラブがまだまだあります。

 ライセンスを持たないクラブの行政及び地域の皆様、どうかクラブの夢を聞いてあげてください。そして、その夢が本物なら、一緒に夢を見てあげてください。少なくとも岐阜県にとってのFC岐阜の立場は、ここ数年で大きく変わりました。スポーツには地域を変える力があります。

 FC岐阜の降格は、奇しくも今シーズンのホーム最終戦で決定しました。しかし、試合後のセレモニーにおいて、トップスポンサー(ユニフォーム胸)である日本特殊陶業様は「来年もスポンサーを継続します!」とサポーターの前で宣言してくださいました。

 私に声を掛けてくださったサポーターは「また来年一緒に応援しましょう!」と、笑顔で帰っていきました。私自身も今シーズン同様、ホーム戦は全て観戦予定ですし、僅かながらですが、まんまる笑店はスポンサーを継続します!

 例えJ3になってもFC岐阜が消滅するわけではありません。そのことをみんなわかっているのです。FC岐阜は岐阜県にとってなくてはならないクラブとなりました。全国にそんなクラブが増えることを願ってやみません。

(後編〜真の『育成型クラブ』を目指して〜に続く)

【Profile】
恩田聖敬(おんだ・さとし)
1978年生まれ。岐阜県出身。京都大学大学院航空宇宙工学専攻修了。新卒入社した上場企業で、現場叩き上げで5年で取締役に就任。その経験を経て、Jリーグ・FC岐阜の社長に史上最年少の35歳で就任。現場主義を掲げ、チーム再建に尽力。就任と同時期にALS(筋萎縮性側策硬化症)を発症。2015年末、病状の進行により職務遂行困難となり、やむなく社長を辞任。翌年、『ALSでも自分らしく生きる』をモットーに、ブログを開設して、クラウドファンディングで創業資金を募り、(株)まんまる笑店を設立。講演、研修、執筆等を全国で行なう。著書に『2人の障がい者社長が語る絶望への処方箋』。2018年8月に、気管切開をして人工呼吸器ユーザーとなる。私生活では2児の父。

※ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて、力がなくなっていく病気。 最終的には自発呼吸ができなくなり、人工呼吸器をつけないと死に至る。 筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、運動をつかさどる神経が障害を受け、脳からの命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり筋肉が痩せていく。その一方で、体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通。発症は10万人に1人か2人と言われており、現代の医学でも原因は究明できず、効果的な治療法は確立されていない。日本には現在約9000人の患者がいると言われている。

このニュースに関するつぶやき

  • きついと思いますが、来季、長野パルセイロとともにJ2にあがりましょう
    • イイネ!6
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