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新生「OCN モバイル ONE」は格安SIMのシェア1位を奪還できるのか?

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2019年11月23日 06:12  ITmedia Mobile

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写真月額980円を打ち出した「OCN モバイル ONE」。OCN 光とのセット割引でこの金額になる
月額980円を打ち出した「OCN モバイル ONE」。OCN 光とのセット割引でこの金額になる

 MVNOサービスとして「OCN モバイル ONE」を運営するNTTコミュニケーションズは、11月20日に料金プランを刷新。「OCN光モバイル割」適用時に最低価格が月額980円(税別)になる、新たな料金コースを発表した。従来のコースも継続して申し込めるが、新コースでは同社の特徴だった1日ごとの容量が決まっていた「日別コース」を廃止。ドコモから借りる帯域も、新旧で分けていく方針だ。



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 一時はMVNOのトップシェアを誇っていたOCN モバイル ONEだが、競争の激化に伴い、シェアを徐々に失っていた。ユーザー層の変化に対応しきれなかったことも、失速の要因といえる。新コースではこうした状況を挽回し、シェアトップへの返り咲きを狙うという。



●シェア1位から転落したOCN モバイル ONE、直近ではシェア4位が定位置に



 一時はトップシェアを誇っていたOCN モバイル ONEだが、そのシェアは徐々に低下していた。調査会社のMM総研が発表している「独自サービス型SIMの事業者シェア」によると、2019年3月末での回線数は134.7万回線。シェアは10.3%で、楽天モバイル、UQ mobile、IIJmioに次ぐ第4位につけている。回線数は100万を超えており、改正電気通信事業法の対象になる大手MVNOだが、年々、その順位を落としていることも事実だ。



 2018年3月末は11%のシェアで第3位、2017年9月末は12.2%で2位と、シェアと順位がともに低下している傾向が見て取れる。同調査では、2017年3月末までOCN モバイル ONEが首位で、シェアも17%と高かった。こうした事実を踏まえると、2年前から失速傾向にあることが見て取れる。曲がり角に差しかかっているとの指摘はあるが、MVNO市場はいまだ成長市場。OCN モバイル ONEも、ユーザー数自体は拡大している。



 シェアや順位を落としているのは、競合他社が、それ以上のペースで伸びているからだ。逆の見方をすると、この2年のトレンドにキャッチアップできていないともいえる。2年間で急伸したMVNOは、楽天モバイルとUQ mobile。MM総研のデータには含まれていないが、「格安SIM」市場というくくりでいえば、Y!mobileも大きく成長している。他キャリアの展開するサブブランドの影響が、OCN モバイル ONEを直撃したといえそうだ。IIJmioも同様にシェアを落としているものの、3位はキープできているため、サブブランドとはすみ分けができている可能性がある。



 他の調査会社のデータも、ほぼ同じ傾向を示す。OCN モバイル ONEの発表会に登壇したMMD研究所の代表取締役の吉本浩司氏は、「OCN モバイル ONEはMVNOの中で、ここ数年4番目の位置をしっかりキープしている」と語る。同社の行った満足度調査を見ると、1位のmineo、2位のIIJmioに次ぐ3位につけている一方で、トップに挙がっている項目はgoo Simsellerによる「端末ラインアップ」や「端末のお得さ」のみ。コストパフォーマンスやデータ通信の品質・安定性といった部分では、他社の後塵を拝している状況がうかがえる。



●料金体系を整理し、お得感を分かりやすく打ち出す



 シェアを減らす現状に対し、NTTコミュニケーションズが出した答えが新コースだ。従来は1日あたりの容量を設定した日次コースと、大手キャリアに近い月次コースの2つに分かれていたが、新コースでは、月次コースに一本化した。データ容量は、1GB、3GB、6GB、10GB、20GB、30GBの計6種類。いずれも省令に従う形で、最低利用期間や違約金は設けていない。料金は1GBのプランで1180円だが、「OCN光モバイル割」が適用されると200円が割り引かれ、月額980円からとなる。3GB以上のプランには、データ専用SIMや、SMS対応データ通信SIMも用意される。



 旧コースにある日次コースは1日で容量のカウントがリセットされるため、データ量の変動が多い人には使い勝手がよく、「正直に言うと、一番売れているコース」(OCN モバイル ONE サービスプロデューサ 木藤暢俊氏)だという。売れ筋のプランをあえて廃止したのは、「業界としては、『ギガ』が一番分かりやすいところ。多くのユーザーに分かってもらうため、『ギガ』で勝負していきたい」(同)という理由からだ。



 背景には、MVNOのユーザーの裾野が広がっていることが挙げられる。NTTコミュニケーションズは、早くからMVNOに参入していたこともあり、「ギークやイノベーターの方にご好評いただいていた。当時はこんなに売れるのかというぐらい売れ、急きょ生産を増加したりもした」(同)。一方で、異なる単位の料金が並ぶと、どちらを選んだ方がいいのかが、直感的に分かりづらくなる。「大手キャリアに満足していた人が移行していく」(吉本氏)段階に入りつつある中、既存の料金ではお得感を打ち出しづらくなっていたというわけだ。



 木藤氏も、「品質や料金面で、多くのお客さまにご満足いただけなくなっていた」と反省する。多くのMVNOが収益性の悪い1GBの料金を廃止する中、あえてこれを残しつつ、3GBや6GBの料金も直接的な競合となるIIJmioより安く抑えた。強いて言えば、料金水準としてはソフトバンク傘下のLINEモバイルや、KDDI傘下のBIGLOBEモバイルに近い。グループ同士の競争という観点で見ると、OCN モバイル ONEの新料金は、NTTグループに足りなかった、サブブランドのポジションを明確にしたと捉えることもできそうだ。



●通信品質にも改善を図ったOCN モバイル ONE、今後の課題は?



 木藤氏は、料金と同時に、通信品質に対する反省も挙げていた。新コースでは、ここへの対策も取った。MVNOは大手キャリアから帯域をMbps単位で借り、それをユーザーが“シェア”する形を取る。そのため、帯域に対してユーザーが多いと、「パケットロスが発生し、通信が遅いと感じるようになってしまう」(NTTコミュニケーションズ OCN モバイル ONE テクニカルプロデューサー 藤原康行氏)。トラフィックのピークは通勤・通学の朝夕やランチタイムの12時台で、これらの時間帯はMVNOにとって“鬼門”になっている。



 OCN モバイル ONEも「トラフィックコントロール装置を自前で持ち、技術革新によって利用者全体の通信品質向上施策を行ってきた」というが、「まだまだ品質にご満足いただけないという声が上がっている」(同)という。そこで、新コースは旧コースと帯域を分け、設計を見直した。旧コースでは容量を使い切ったり、アプリで高速通信をオフにしたりすると、200kbpsで使い放題になっていたが、ここにも見直しをかけている。藤原氏によると、「新コースでは、ごく一部のお客さまの利用頻度が高い低速通信の利用に一部制限をかけることで、帯域の圧迫が起りづらい仕組み作りを行った」という。



 その中身はこうだ。例えば3GBコースを契約している場合、容量を使い切った後でも、1.5GBまでは200kbpsで通信できる。一方で、200kbpsでの通信が1.5GBを超えると、速度にはもう一段の制限がかかる。これによって、200kbpsで帯域を占有しているユーザーが減るため、全ユーザーの速度を底上げされるという。2段階目に制限する速度は非公表。「規制がかかった後のお客さまの声を踏まえ、変動させていく」(同)という。現時点では、「ブラウザでサクサクといろいろなものを見られる状況ではないが、LINEなどのコミュニケーションツールは使える」(同)レベルに抑えられているようだ。



 OCN モバイル ONEでは、「総トラフィックを見ると、10%のお客さまが50%ぐらいの帯域を占めている現状がある」(同)という。あえて高速通信を利用しない「節約モード」を頻繁に利用するユーザーも、5〜10%程度に上る。こうしたデータを踏まえると、新コースは、ユーザー同士がより公平に帯域を分け合って使える設計になっているといえる。



 料金と品質に改善を図り、NTTコミュニケーションズは「再び業界シェアでナンバーワンを目指す」(木藤氏)。楽天モバイルは今後、徐々にMNOへユーザーを移行させていくため、競合となるのは2社。UQ mobileとIIJmioだ。



 ただ、UQ mobileはKDDIの関連会社で、逆にWiMAX 2+をMNOとしてKDDIに貸しているため、帯域にコストをかけやすい構造がある。リアルなショップも拡大しており、一般的なMVNOより販路も広い。「リアルな接点は家電量販店やゲオと、かなり密にコミュニケーションを取っている」(同)というものの、Y!mobileやUQ mobileといったサブブランドと比べると、どうしても見劣りする。



 大手キャリアやそのサブブランド並みに販売網を整備するのは、コストがかかり、料金に跳ね返ってしまう恐れもある。それを補うフルMVNOやeSIMのような“MVNOらしさ”は、今まで以上に発揮していく必要がありそうだ。IIJを追う形で、NTTコミュニケーションズも2020年にフルMVNOのサービスを開始する予定だが、OCN モバイル ONEにその成果が生かされることを期待したい。


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