つながることで高まる「患者力」とは−VHO-net20年の活動

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2019年12月02日 19:30  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

病気や障害、立場の違いを超えてつながっていく

 ファイザー株式会社は11月27日、ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会(VHO-net)の、20年間の活動のあゆみを紹介するプレスセミナーを開催。”つながることで高まる「患者力」”と題した同セミナーでは、20年におよぶVHO-netの活動紹介とともに、VHO-net全体の活動の企画・運営を務めてきた「中央世話人会」による、資金調達、PPI、ピアサポート等についての講演が行われました。

 VHO-netは、全国のヘルスケア関連団体のリーダーや保健医療福祉関係者が、病気や障害、立場の違いを超え、フラットにつながっていくことを目指し2001年にスタートしました。より良い医療の実現や生活の質の向上を目指し、体験や知恵、情報を共有するヘルスケア関連団体のリーダーの学習の場です。

 公益社団法人やどかりの里 常務理事の増田一世さんは「VHO-netそれはモデルのない活動」と題し、横浜市立大学医学研究科看護学専攻・医学部看護科の松下年子教授は「VHO-net PPI学習会について」と題し、公益社団法人日本オストミー協会横浜支部副支部長の山根則子さんは「VHO-netピアサポート倫理ガイドライン策定と今後の取り組み」と題し、それぞれ講演しました。


公益社団法人やどかりの里 常務理事の増田一世さん

 増田一世さんは、VHO-netの活動に関して次のように話しました。「VHO-netの活動は、モデルのない活動でした。そのため、当初は”話し合い”を大事にしてきました。この会でなければできないことも考えました。20年間の蓄積の中で、VHO-netだからできることとして、”資金調達”もその1つでした。資金調達は、単にお金を集めることではありません。「良い活動をするため」に、資金を調達することなのです。ここから理解者が広がり、自分たちの使命や、社会にどう伝えればいいのかも明確になってきました」


横浜市立大学医学研究科看護学専攻・医学部看護科の 松下年子教授

 松下年子教授は、医学研究・臨床試験における患者・市民参画の取り組みであるPPI(Patient and Public Involvement)に関して、次のように話しました。「日本ではまだ、医学研究・臨床試験に関して、患者や市民が研修できる体制は整っていません。研究者向けの研修さえ、まだ十分ではありません。臨床試験に協力いただける患者さんは、被験者として研究の一部に関わっています。しかし、それだけでは患者さんが、研究者と対等な立場で対話するという発想には至りません。そこで、患者・市民参画に特化した「学ぶ機会」として、今回VHO-netでPPI学習会を開催するに至りました。患者と医療者が協働するということは、本来自立したもの同士が対等な立場で主体的に相手に要望やSOSを求めることだと認識しています。PPIはまさにこうしたことを具現化したもので、より良い医療の在り方を保証する枠組みだと思っています」


公益社団法人日本オストミー協会横浜支部副支部長の 山根則子さん

 山根則子さんは、VHO-netが考えるピアサポートとピアサポートの将来像に関して、次のように話しました。「ピアサポートとは、当時者ならびに当事者を取り巻く人々が、お互いの体験を尊重し、広くフィードバックを受けて、エンパワーメントを実現し、将来にわたり発展していく活動です。VHO-netが目指すピアサポートの将来像は、ここでなら安心して話せること、よりその人らしく生きることを支えること、双方の笑顔と幸せを目指すこと、社会から信頼されること、社会資源となることの5つです。この将来像に向かってさらにVHO-netのピアサポートが充実するように考え合っていきたいと思っています」

 VHO-netの第1回ワークショップは、22団体47人の参加でしたが、現在は91団体187人が参加しています。病気や障害、立場はそれぞれ違いますが、つながることで「患者力」を高めることを実現してきました。その患者力は医療者と協働する元となり、よりよい医療に貢献していくさらに大きな力となっていくと期待されます。(QLife編集部)

VHO-netの、6つの理念と6つの活動指針

6つの理念

1:ヘルスケア関連団体のリーダーの会です。
2:お互いの体験を尊重しあい、創り合う会です。
3:疾病や障害を越えてつながり、問題を共有し解決を目指す。
4:地域での取り組みを大切にします。
5:企業や他団体との協働を大切にします。
6:誰もが生きやすい社会を目指します。

6つの活動指針

1:主体的に参加し、お互いの経験から学び合うことを大切にしましょう。
2:一人ひとりが運営に関わることを目指します。
3:お互いの発言を尊重しましょう。批判や避難はしません。
4:大切な時間をシェアしましょう。一人が長く話しません。
5:プロセスを大切にして、楽しみながら学習しましょう。
6:VHO-netでの学びを自分の活動に持ち帰り、活かしましょう。

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