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口臭ケアは間違いだらけ。本当の原因から正しい歯磨き法まで/医師監修

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2019年12月03日 16:02  日刊SPA!

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 打ち合わせ中、後輩の女性が急に間合いをとったり、おもむろにハンカチを口元にあてたとき。それは、彼女なりの「口、くさいです!」のメッセージかもしれない。

 自分の口臭がくさいと知るのは恥ずかしいしつらい。が、気づかないままでいれば、職場の人間関係に亀裂が入る可能性すらある。それほどに、口臭はおそろしい。

 口臭はどうして起こるのか? どうしたら、口臭は改善できるのか?
『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)の著者で内科医の桐村里紗氏監修のもと、口臭のにおいの原因と対策を探る。

◆気づかない口臭、大きな原因は「歯周病」

 軽い症状の人も含めると35歳以上の日本人の約8割が、口臭の原因となる歯周病だという(※1)。歯周病は国民病とも言われる所以だが、ある調査(※2)では、日本人の約9割が「自分は歯周病ではない」という回答をしている。

 また、この調査では、在日外国人100人を対象に「日本人の口臭にガッカリした経験はありますか?」という質問もしていて、その結果は72%の在日外国人が「YES」。さらに、7割強の人が「日本人にオーラルケアを徹底してほしい」と答えている。
「日本人は身だしなみがきれいで清潔」といわれるが、こと、口臭については残念な国民だと思われているのかもしれない。

(※1)歯周組織に所見(歯石や歯周ポケット)がある人の割合(平成28年・厚生労働省・歯科疾患実態調査)
(※2)歯ぐきの健康を通じたカラダ全体の健康を推進する団体『オーラルプロテクトコンソーシアム』が2015年に実施。

 口臭が厄介なのが、自分自身では気づきにくいということ。その家特有のにおいに住人が気づかないように、人は日常的にかいでいるにおいに「順応」する。
 歯周病などで慢性的に口臭が出ていると、そして、においが強烈であればあるほど、順応してしまう。なにせ、口と鼻はつながっている。本人は24時間、そのにおいを嗅ぎ続けているわけで、完全にマヒしてしまうのだ。
 かくして、周囲の不快感をよそに、本人は気づかずに悪臭をばらまき続けるということになる……。

◆口がドブくさい…病気が隠れた口臭も

●生理的口臭は誰にでもある

 唾液は口の中で食べかすや余分な菌を洗い流したり、細菌が増え過ぎないようコントロールするなど、大切な役割を果たしている。
 寝起きや空腹時、あるいは緊張しているときに口臭が出やすいのは、唾液の分泌量が減るため。また、ニンニクやアルコールをとったときにも当然、におう。これらは「生理的口臭」と呼ばれ、誰にでもあるものだ。

●病的口臭は、口腔内や内臓のトラブル

 一方で、問題なのが「病的口臭」だ。その8割が歯周病や虫歯など口腔内のトラブルが原因だが、体調不調によって呼気が悪臭化することもある。
 
▼腐った肉のにおい――歯周病
▼硫黄のようなにおい――虫歯
▼腐ったたまごのにおい――胃腸障害
▼カビやドブのようなにおい――肝機能障害
▼アンモニアのにおい――腎機能障害、末期の肝機能障害

 口臭に限らず、においは健康のバロメーター。上記のようなにおいがしたときは、からだからのサインだと心得るべし。

◆ケア不足の口内は便よりも細菌だらけ

 口の中は基本的に、菌だらけだ。しかし、健康な状態であれば常在菌は悪さをすることなく、むしろ、病原微生物から体を守ってくれる。しかし、清掃が足りなかったり、動脈硬化が出たり、歯茎の炎症がでたり、口の中の環境が悪くなると、その菌が急に悪い顔つきになる。たとえるなら、町の治安が悪化して、若者が半グレ化して暴れ出すイメージだ。

 常在菌は食べかすをエサに繁殖し、歯にかたまってこびりついてプラーク(歯垢)となり、ほおっておけば何層にも重なりはじめる。その細菌濃度は、なんと便よりも高くなるという。
 最初は歯肉の腫れや出血程度だったのが(歯肉炎)、炎症は歯を支える歯槽骨へと広がり歯周炎となり、歯周ポケットに歯周病菌が大繁殖。口臭はさらにきつくなり、歯がぐらついて、いずれ抜けてしまうことにもなる。

 歯周病は菌だけが原因ではない。加齢によって唾液腺が萎縮するため、唾液が出にくくなるし、動脈硬化で血管が固くなると血流が悪くなる。唾液の質も分泌が悪くなり、菌が増殖、長年のケア不足も影響して悪臭となる。口臭がきつい中年男性が少なくないのは、加齢の問題でもあるのだ。

【関連記事】⇒
●“おっさん口臭”になる危険年齢は?歯医者に10年行ってない人は要注意
●食後の口臭が一番クサイのは?「ラーメン vs 焼き肉 vs 中華」

◆スマホも口臭の原因になる!?

 スマホが口臭の原因になるなんて、そんなバカな?と思うかもしれないが、問題はスマホを見ている姿勢にある。

 ゲームなりSNSなりスマホに夢中になっているとき、頭は下を向き、やや前屈みの猫背になりがちだ。このとき、あごの下や耳の下にある唾液腺が圧迫されてしまう。
 また、猫背の姿勢になると口を開く筋肉が優位に働く。口が半開きになって、口呼吸になり、口の中が乾く。電車の中を見回してみると、口を開けてスマホに夢中になってる人は少なくない。
 また、スマホに夢中になっているときは交感神経が優位に働く。これもまた唾液の分泌を低下させ、口臭の原因となる。

 スマホを見るときは姿勢よく。1日の中でリラックスする時間をつくることも大切だ。

◆口臭対策:口臭チェッカーで測ってみる

「自分は大丈夫」と思いつつも不安な人は、一度、口臭チェッカーを使ってみるのも手だ。タニタなどが発売している口臭チェッカー(ブレスチェッカー)は、数千円程度。アプリと連動して管理できるタイプには、コニカミノルタのkunkunbodyがある。口臭の原因となるガスを検知して口臭レベルを測定するものだが、チェックするタイミングやストレスなどの有無によっても変わるので、上下があるのが普通。高いときには、「ケア不足だった」「体調がよくないのかも」という判断にも使える。

 もし、いつ測っても高い値のままという場合は、歯周病などがかなり悪化している可能性がある。歯科や口臭外来へ急ごう。

◆口臭対策:間違いだらけの歯みがき法

 日本では、小学生までの虫歯ケアは念入りだが、以降、口腔ケアについて指導を受ける機会がほとんどない。そのためか、日本人の歯みがき方法には勘違いが多い。

●食後すぐ磨く必要はない

 毎食後、歯を磨きなさいと言われてきたが、じつは、歯みがきのベストタイミングは「就寝前後」。細菌がもっとも増えるのが、唾液が減少する睡眠中から起床直後まで。起き抜けの口がクサいのはこのためで、ここで細菌を増やさないことが大切。
 食後すぐは、食べ物と唾液の流れによって細菌は少ない。歯垢は食後8時間くらいから作られはじめ、48時間程度からがっちりと固定されはじめる。食後に焦って歯みがきをする必要はなく、口をすすぎ、歯間ブラシやデンタルフロスで菌のエサになる食べかすを取り除くことをしっかりと。

●舌苔は無理にこすらない

 口臭を気にして、歯みがきのついでに舌を磨いていている人もいるだろう。しかし、これはNG。無理にこすることで粘膜を傷つけてしまい、味覚障害やさらなる口臭悪化を引き起こす可能性がある。
 極端に舌苔が多い場合を除いて特別なケアは不要だ。どうしても磨きたい人は専用のブラシやガーゼなどでやさしく。舌苔が多い人で1日1回。そうでない人は週1程度で十分。

●歯磨き粉はなくてもいい

 歯磨き粉には基本的に発泡剤がはいっている。泡立つことで磨いた気になってしまうし、長時間、磨いていられないため、磨き残しがでてしまう。
 また、歯を白くするための研磨剤や界面活性剤入りの歯磨き粉でこすりすぎると、歯の表面が削れ、着色汚れやにおいの原因になるほか、知覚過敏になってしまうことも。研磨材や発泡剤が配合されていないゲル状のものを、ちょこっとだけつけて磨こう。なんなら、つけなくてもいいほど。歯みがき粉は使えば使うほど、口の中がきれいになるというものではない。

●歯間ブラシやフロスでの歯間ケアは必須

 歯ブラシだけで落とせる歯垢は、6割程度。デンタルフロスや歯間ブラシを使うと、これを8割にあげることができる。が、歯間ケアを日常的に行っている人は少ない。

 おすすめは、口腔水流洗浄器。水流によって歯間や歯周ポケット内を洗い流してくれ、適度な水圧がマッサージにもなる。1週間も使えば、歯肉の状態がよくなり、口臭は改善される。
 日本では温水洗浄便座が文化として根づいているが、お尻を洗っても健康にはならない。口腔内を洗えば、におい対策にも健康対策にもなる。お口だって洗ってほしい。

◆歯周病や虫歯はがんや認知症のリスクを高める

 口の中のトラブルが引き起こすのは口臭だけではない。歯周病菌は炎症を起こし、歯ぐきの細胞を破壊して血液中に侵入。全身をめぐって病気のリスクを高める。多くの研究結果が、全身病と口腔内のトラブルとの関係を示している。

・ 歯周病の男性は、そうでない人と比べて膵臓がんのリスクが64%高い
・ 1日2回以上歯を磨く人は、1日1回の人よりがんの罹患率が3割低い
・ 歯周病菌のなかのフソバクテリウム菌は、食道や大腸の細胞に侵入するとがん化を引き起こす
・ 歯周病菌がつくりだす毒素が、脳内の免疫細胞を刺激して炎症を引き起こし、アルツハイマー病を誘発、悪化させる

 疾患自体の原因であるか、一つの発症や悪化の要因であるかはまだ確定的ではないが、口腔ケアをおろそかにするということは、こうした病気のリスクを高めることなのだ。

【監修:桐村里紗 先生】
内科医・認定産業医。1980年生まれ。テレビや書籍などで、分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学などをもとにしたヘルスケア情報を発信。治療よりも予防重視のアドバイスを行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)など

<取材・文/鈴木靖子>

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  • 糸ようじ使うとたまに下水道みたいな臭いがする
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