日本一4連覇のカギは「外野」にあり?鷹の数少ない野手ドラ1・佐藤直樹にかかる期待

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2019年12月05日 14:34  ベースボールキング

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ソフトバンクのドラフト1位・佐藤直樹
◆ 「ドラ1社会人野手」は42年ぶり

 なにかと“令和最初の〜〜”が話題になった2019年。プロ野球界では、パ・リーグの福岡ソフトバンクホークスが“令和最初”の王座に就いた。これでソフトバンクは3年連続で日本シリーズを制覇。2010年代・平成の終盤に圧倒的な強さを見せたチームが、元号をまたいで日本一連覇の記録を繋いだ。


 昨年に続いてリーグ制覇はならなかったものの、2年続けてクライマックスシリーズを勝ち上がって頂点へ。来季こそはリーグを奪還し、日本一4連覇を目指していくというなか、このオフは補強にやや特徴が出ているように思う。その特徴というのが、「外野手」に重きを置いた姿勢だ。

 今季の外野手事情を振り返ってみると、柳田悠岐や中村晃、上林誠知といった主力選手が相次いで離脱。その度にフレッシュな選手が出てきて奮闘を見せる選手層は流石だが、年間を通してベストオーダーを組むことが難しくなり、あと一歩のところでリーグ優勝に手が届かなかった背景には、そんな苦しさがあったのではないか。

 その教訓を生かし、10月のドラフト会議では1位で高校生スラッガーの石川昂弥(東邦)を指名。“令和の怪物”こと佐々木朗希(大船渡)を狙うのでは…というのが大方の予想だっただけに、この時点でもサプライズではあったのだが、さらにその石川を抽選で外した後の再指名でも、社会人の佐藤直樹(JR西日本)を指名。即戦力の外野手を確保したのだ。

 ソフトバンクが1位で野手を指名したのは、2010年の山下斐紹(習志野高/現・楽天)以来で実に9年ぶりのこと。社会人出身となると、“ソフトバンク”となって以降では初めてで、さかのぼってみると南海時代の中出謙二(新日鉄堺)が最後。1977年以来、なんと42年ぶりのことだった。

 ドラフト会議終了後、工藤公康監督は「走攻守揃った選手。即戦力の右打者ということで」とコメント。やはり社会人出身のドラフト1位というだけあって、来年からという期待は高い。


◆ ホークスのドラ1野手といえば…?

 上述した通り、野手をドラフト1位で指名することが少なかったソフトバンク。前身を含めた“ホークス”としてもさほど数は多くなく、今回の佐藤が15人目になる。ただし、武藤一邦(秋田商/1976年)と元木大介(上宮高/1989年)の2人は入団を拒否したため、実際にプレーをしたのは12人ということになる。


 なかでも成功した選手と言えば、現在ロッテで監督を務めている井口忠仁(青山学院大/1994年/現在の登録名は井口資仁)と、城島健司(別府大付高/1996年)の2人が特に目立つ。

 ともにダイエーの低迷期に入団した後、王貞治監督のもとで中心選手へと成長。日本で実績を積み上げ、2人とも海を渡ってメジャーリーグにも挑戦した。ともに日本復帰は古巣ではなく別のチームとなったものの、帰ってきてからも活躍を見せ、惜しまれつつもユニフォームを脱いでいる。

 また、現役でも松田宣浩(亜細亜大/2005年[希望枠])と今宮健太(明豊高・2009年[高])の三遊間コンビが主力として活躍を見せており、このオフにチームを去ることが決まった福田秀平(多摩大聖ヶ丘高/2006年[高])も、ドラフト1位指名からキャリアをスタートさせた選手だ。


 まとめると、球団の歴史上、ドラ1の野手は数が少ないものの成功例はある。一方、“社会人出身”に絞るとそのサンプルはさらに減り、未だに成功例はない、ということに。工藤監督からの期待も高い佐藤直樹は、初の成功例として球団史に名を残すような選手となれるだろうか。

 加えて、即戦力選手の加入は所属選手のモチベーションにも良い影響を生む。ただでさえ福田がFAで去ったということもあって、今がチャンスと来季にかける若手は多い。そんな中で新たなライバルが入団してくるとあって、今季キャリア最多となる86試合に出場した釜元豪は「負けるわけにはいかない」と闘志を燃やしている。

 ほかにも、佐藤と同じ右の外野手では、期待されながらも伸び悩んでいる真砂勇介がいる。彼らのお尻に火をつけるという意味でも、佐藤の加入はチームにとって大きなプラスとなることだろう。

 そして極めつけが、ヤクルトを自由契約となったウラディミール・バレンティンの獲得に積極的な姿勢を見せているという点。9年間通算で288発を放った大砲と契約間近という報道も出ており、外野争いの激化は必至だ。

 課題は的確な補強と、その波及効果で解決する。ソフトバンクの外野の陣容はどう変わるのか、今から新シーズンが楽しみだ。


◆ ホークスのドラフト1位野手

▼ 1966年(第2次)
中村之保(法政大/内野手)
168試 率.185(135−25) 本0 点9 盗塁11

▼ 1968年
富田 勝(法政大/内野手)
1303試 率.270(4028−1087) 本107 点451 盗126

▼ 1976年
武藤一邦(秋田商高/外野手)
※入団拒否

▼ 1977年
中出謙二(新日鉄堺/捕手)
95試 率.194(67−13) 本1 点9 盗0

▼ 1978年
高柳秀樹(国士舘大/外野手)
592試 率.249(1149−286) 本48 点177 盗7

▼ 1989年
元木大介(上宮高/内野手)
※入団拒否

▼ 1994年
城島健司(別府大付高/捕手)
1323試 率.296(4756−1406) 本244 点808 盗72

▼ 1996年
井口忠仁(青山学院大/内野手)
1915試 率.270(6512−1760) 本251 点1017 盗176

▼ 1998年
吉本 亮(九州学院高/内野手)
149試合 率.227(238−54) 本1 点34 盗1

▼ 2005年(高校生ドラフト)
荒川雄太(日大高/捕手)
一軍出場なし

▼ 2005年(大学生・社会人ドラフト)
松田宣浩(亜細亜大/内野手)
1636試 率.270(6056−1638) 本274 点891 盗128
☆現役

▼ 2006年(高校生ドラフト)
福田秀平(多摩大聖ヶ丘高/内野手)
696試 率.235(1087−255) 本24 点120 盗79
☆現役

▼ 2009年
今宮健太(明豊高/内野手)
1056試 率.248(3567−886) 本66 点350 盗65
☆現役

▼ 2010年
山下斐紹(習志野高/捕手)
111試 率.206(204−42) 本5 点15 盗0
☆現役(楽天に所属)

▼ 2019年
佐藤直樹(JR西日本/外野手)
☆背番号「30」に決定


※成績は2019年終了時点/NPB通算成績

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  • 外野手:中村(病気)、柳田(手術明け)、長谷川(足故障)、コラス(2軍)、上林(骨折明け)、デスパイネ(五輪予選)、水谷・釜元・真砂(2軍)。支配下は故障持ち
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