藤森慎吾、「男は引く」発言の問題点――女性が「避妊具を買いに行こう」と提案するのは当然

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2019年12月06日 00:02  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「男からしたら引いてしまいます」オリエンタルラジオ・藤森慎吾
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(12月1日、テレビ朝日系)

 男性芸能人がわいせつ事件や暴行事件を起こしたとき、必ず「女性側に非がある」という意見が持ち上がる。

 例えば、2018年に当時TOKIOの山口達也が、女子高生に強制わいせつを働いた事件。番組で共演していた被害者の女子高生が、友人と共に山口のマンションを訪れたところ、無理やりキスされたという。この事件に対し、デヴィ夫人は自らのオフィシャルブログ内で、「厳しすぎ、騒ぎすぎでしょう! 山口達也氏のTOKIOの仲間の方達は、許されない行為と言っているけれど、本当にそうでしょうか。泥酔男性のKiss位で? この女の子達は山口達也氏の所だから行ったんでしょう」とつづっていた。

 デヴィ夫人のように、「女性側に非がある」と唱える人は、よく「男の部屋に自らの意志で行った」ということを主張する。つまり、男の部屋に自らの意志で行くというのは、性的合意がなされている、そういう女とのセックスは強姦ではない……そんなふうに考える人がいるということだろう。

 目をパチクリさせる若い人が多いと思われるが、今から20〜30年前の性的合意とは、「密室空間に2人きりでいること」だったように思う。青年向け雑誌には、「女の子と密室で2人きりになれば、セックスオッケーの印」といったことが、平然と書かれていた。この理論で言うと、仕事中に会議室で打ち合わせをしたり、車に乗るなどして、2人きりになったら「強姦されても文句は言えない」ということになってしまう。しかし、当時は誰もそのあたりをつっこまなかった。

 性犯罪において「合意があったかどうか」は、裁判の大きなポイントになるが、その合意がどのようになされるかについて教わった経験がある人は少ないだろう。映画やドラマでは性的同意がなされなくても「どちらからともなく、自然と安全なセックス」が始まることは多い。性的同意を知らずに育った世代は、これらを見て、「セックスにおいて合意を交わし合う必要はない」もしくは「女性自ら、逃げられない場所に行った場合、それは性的合意」と認知をねじ曲げていくのではないだろうか。

 性的同意同様、避妊に対する意識の低い人は、少なくないのではないだろうか。12月1日放送の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で、オリエンタルラジオ・藤森慎吾が元AKB48・西野未姫の「恋愛」はなぜしくじったのか、独自の目線で解説していた。

 もともとは年上の男性に恋心を抱いていたものの、相手にされなかったという西野。そんなとき、LINEで同い年の彼に猛アプローチされる。しかし、結局、年上の人からはフラれ、同い年の彼からもLINEが来なくなっていき、不安になった西野は「(同い年の)彼のことが好きかも」と気になり始めたという。

 こうして彼と初めてのデートをすることになったが、会って10分で、部屋に誘われた西野は「行く」と即答、さらに「お風呂入る?」と聞かれ「入る」と返したそうだ。そして「俺と付き合って欲しい」と告白された後にキスをし、2人は布団に倒れこんだものの、彼は「軽い男と思われたくないから 今日はやめておこう」と行為を中止、そのまま何もせずに寝ることになった。しかし、眠れない西野は、彼に「ゴム買いに行く?」と声をかけ、避妊具を求めて共にコンビニに向かった。この後、西野は彼に22時以降しか会ってもらえなくなり、早朝5時に帰される、LINEも3日未読スルーというように、都合のいいオンナ扱いされ、交際は4カ月半で終わったという。

 藤森は、この恋愛がうまくいかなかった原因を、西野が「初日にがっつき過ぎたから」だと言っていた。交際スタートという記念すべき日に、西野は“しくじり”を連発していたといい、そのポイントは、

1.出会って10分で彼の家に行った
2.初日に彼の家の風呂に入った
3.初日に「ゴム買いに行く?」と言った

の3点とのこと。特に「ゴム買いに行く?」は「言ってはいけない言葉」とし、その理由を「非常に男が引いてしまいます」と解説していた。つまり藤森は、西野が自分から避妊具を買いに行こうと誘ったことにより、男性の気持ちが離れていったと考えているのだろう。

 しかし、本当にそうだろうか。西野の元カレが最初から体だけの関係を望んでいる可能性もあるわけだから、避妊具を買いに行こうと言っても言わなくても、セックスの時しか会わず、ぞんざいに扱われる可能性はあるだろう。

 それに、避妊のことを口にすると男が引くと言うのなら、女性は男性に“されるがまま”になっておけということなのだろうか。近年、性感染症である梅毒が爆発的に流行しており、中でも20代女性の罹患率が突出しているそうだ。避妊具を使うことと、不特定多数と性交渉をしないことが予防法だという。また避妊具を使わずにセックスをすれば、望まぬ妊娠をする確率も上がる。病気や望まぬ妊娠となれば、女性は自分の体を痛めることになるわけだから、避妊を求めるのは当然のことではないだろうか。

 ましてや、藤森はあまたいる芸能人の中でも、特に避妊に気をつけなければならない“前科”がある。2012年、藤森はTBSアナウンサー(当時)・田中みな実との熱愛を「フライデー」(講談社)に報じられたが、これは藤森がクラブで知り合ったモデルを妊娠・堕胎させ、350万円を支払った事実を隠すためのバーターだと「週刊文春」(文藝春秋)が報じている。「文春」によると、女性はべろべろに酔っていた藤森を部屋まで送っていったところ、押し倒されて、関係を持った。藤森は避妊具を持っておらず、「絶対中には出さないでね」と女性は訴えたそうだが、すでに射精した後だったという。この女性の言うことが真実ならば、藤森には性的合意も、避妊する意識もなかったということだろう。

 今の時代だったら、問答無用で引退に追い込まれるスキャンダルだろうが、そういった脛に傷を持つ藤森も、避妊への意識に特に変化はないようだ。藤森はチャラ男、もしくはモテているポジションから恋愛の解説者にノミネートされたのかもしれないが、私は年長者として、避妊の話をしたくらいで引く男なんてやめておけと声を大にして言いたい気分だ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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