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羽生結弦、心の中に“気になる存在” 「『まだまだだろ』と言われている感じ」

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2019年12月06日 17:00  AERA dot.

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写真NHK杯のフリーの演技を終えた羽生結弦選手 (c)朝日新聞社
NHK杯のフリーの演技を終えた羽生結弦選手 (c)朝日新聞社
 圧倒的な演技でNHK杯を制した羽生結弦。ショートではあわや連続ジャンプ失敗の場面を即座に修正、見事に回りきるなど、危うい場面を乗り切る「引き出し」の多さも見せた。GPファイナルではライバルとなるネイサン・チェンとの勝負が予想されるが、羽生の心の中にはそれとは別の“気になる存在”がいるという。AERA 2019年12月9日号の記事を紹介する。

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 羽生はフリーでも、新しい「引き出し」を開けた。本番直前に与えられた、6分間練習のときだ。演技冒頭に跳ぶ4回転ループの練習に集中していたが、練習終了直前に跳んだループは回転が解けてしまった。

「ループ計5本ですかね。アクセルもルッツも練習しなくて、4回転ループだけに集中しようと思ってやっていました。最後もちろんパンク(回転が解けてしまう意味)はしてしまっているんですけど。でも、曲の入り方で1回パンクできたので、こういう間違いが出るなっていうのを確認できたのがよかったと思います」

 練習でうまくいかなくても悲観せず、本番でもう一回できると前向きにとらえた。そして迎えたフリーの演技では、冒頭の4回転ループ、続く4回転サルコーも成功した。得点源と位置づけるこの二つのジャンプがそろって決まるのは、2シーズン目を迎えた「Origin(オリジン)」のプログラムで、初めてだ。

「とにかく今回の試合はループとサルコーを決めたいという気持ちが強かった。オリジンの1発目のジャンプがずっと決まっていなかった。そういう意味ではかなり前進したと思っています。最初のループはかなり得点源ですし、そこを降りてこそのプログラムだと思うので。NHK杯に行くにあたって、最初のループを降りる、サルコーをしっかり決めるというのが一番大事だと思ったので」

 課題をきっちり克服してNHK杯を制し、GPシリーズで2連勝。12月5日から始まるイタリア・トリノでのGPファイナルへの出場権を得た。13−14年シーズンから、16−17年シーズンまで前人未到の4連覇を果たした思い入れのある舞台。覇権奪回に向けて最大のライバルとなるのは、昨季の世界選手権覇者で、羽生を上回る5種類の4回転ジャンプを跳ぶアメリカのネイサン・チェン(20)だ。だが、心の中には常に、気になる存在が一人だけいる。

「9歳の自分とずっと戦っているんですよ。9歳で初めて全日本ノービスを優勝したときの、自信しかない、自信の塊みたいな自分がいて。そのときの自分にずっと『おまえ、まだまだだろ』と言われているような感じがしてるんですよね。だから、本当はそこまで行きたいんです。子どものころって、ただやりたいことをやっていて、ただ自分自身が心から好きだなって思うことや、自信があることに、すごく素直でいられたと思うんです。それが、一番強いときの自分なんです。小さい頃の、何でもできると思っていたころの自分と、今の自分が融合したら……。それが理想像なんです」

 純真にスケートを楽しんでいた9歳の自分と、豊かな経験を積んだ24歳の自分が合わさったら、完全無欠のスケーターになれる。究極を目指す羽生結弦の旅は、まだまだ途上にある。(朝日新聞スポーツ部・山下弘展)

※AERA 2019年12月9日号より抜粋

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