苦しい11月を経て…負けられないダービーに臨むマンC、必要なのは攻守における“らしさ”

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2019年12月06日 19:23  サッカーキング

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7日にホームでのダービーを迎えるマンチェスター・C [写真]=Getty Images
マンチェスター・Cにとって、11月は非常に苦しい1カ月だった。2日に行われたプレミアリーグ第11節サウサンプトン戦で逆転勝利(2−1)を収めたものの、その後の公式戦5試合でわずか1勝(2分け1敗)。チェルシーとの大一番には勝利(2−1)したが、リヴァプールとの首位決戦(1−3)に敗れて彼らとのポイント差がさらに拡大してしまった。

 さらに痛恨だったのは、11月のラストゲームとなったニューカッスル戦だろう。ケヴィン・デ・ブライネが82分に決めたスーパーボレーは、嫌な流れを払しょくするのに十分すぎる一発だった。しかし、その6分後に再び失点して2−2のドロー。リヴァプールとの勝ち点差はついに二桁(11ポイント)に開いた。

 ニューカッスル戦後、「選手達のパフォーマンスには一切不満がない」と振り返ったペップ・グアルディオラ監督だが、“らしくない”のは明らかだろう。サウサンプトン戦、リヴァプール戦、そしてチェルシー戦と、3試合連続で先制点を献上。昨シーズンは、プレミアリーグで先制された試合が3つしかなかったが、今シーズンはすでに5試合で先制点を許している。試合開始から主導権を握って先にリードを奪うと、相手が攻勢をかけてきたところでカウンターを発動し息の根を止める――。それが得意の勝利パターンだが、そうした状況に持ち込みづらくなっているのが現状だ。サウサンプトン戦やチェルシー戦のように、それでも逆転勝利を収めるところが王者たる所以だが、被カウンターであっさりと失点を許す光景はこれまでのマンチェスター・Cにあまり見られなかったものである。

 守備の脆さは数字にも表れており、ここまでの被ゴール期待値(相手に与えたチャンスの質)は「15.00」。数字が大きければ大きいほど失点の可能性が高いことを示すが、昨年11月末時点の被ゴール期待値(8.46)と比較すると、2倍近く増えている計算になる。ちなみに、マンチェスター・Uの被ゴール期待値は「14.50」。実はマンチェスター・Cを抑えてリーグトップだ。

■エース不在で期待がかかるのは…



 マンチェスター・Cの守備が上手くいかない理由はいくつか存在する。現地でも、最終ラインのリーダー格であるアイメリク・ラポルトの長期離脱、アンカーを本職とするフェルナンジーニョのセンターバック起用の弊害、ペップ体制4年目によるチーム全体の緩みなどが指摘されているが、どれか一つが原因ではなく、それぞれが複合的に絡み合っているからこそ、修正もそう簡単ではない。

 そんな中で迎えた12月3日のバーンリー戦は、4−1と快勝。久々にマンチェスター・Cらしいサッカーを見せた。内容に見合う勝利を挙げたことで、ベストではないものの、ベターな状態で宿敵マンチェスター・Uとのダービーマッチに臨むことができる。

 中でもファンを喜ばせたのは、2ゴールを奪ったガブリエル・ジェズスの活躍だろう。エースのセルヒオ・アグエロは大腿部の負傷のため、ダービーの欠場が決定的。チーム得点ランク2位のラヒーム・スターリングもこれまでマンチェスター・U相手にゴールを決めたことがなく、22歳のブラジル代表FWに寄せられる期待は大きい。これが本拠地エティハド・スタジアムでのダービー初先発となるが、「ピッチに立ったときはいつもゴールを決めたい。セルヒオ(・アグエロ)はそうやってきた。僕もそれを狙っている」と語る“背番号9”に気負いはない。

 彼を含めた攻撃陣は盤石だ。スターリングが入る左ウイングはもちろんのこと、右ウイングも加入2年目で真価を発揮しているリヤド・マフレズと今シーズンも好パフォーマンスを見せているベルナルド・シウヴァのどちらが務めても遜色ない。インサイドハーフでは、ダビド・シルバとデ・ブライネの両司令塔が変幻自在にポジションチェンジし、高精度のパスや強烈なシュートで相手守備陣に脅威を与える。

■攻守において“らしさ”が必要



 アグエロが不在とはいえ、相手はプレミアでのクリーンシートがわずか2試合、9月14日のレスター戦以降は10試合連続で失点を喫しているマンチェスター・Uである。ホームチームが無得点で終わる可能性は限りなく低いと言えるだろう。

 だからこそ、まずは守備が大事になってくる。試合開始からボールを支配するのはマンチェスター・Cであることが容易に想像でき、マンチェスター・Uはカウンター攻撃に勝機を見出す可能性が高い。攻守の切り替えは相手の狙い目であり、ボールを奪われた瞬間の“一歩目”が遅れると致命傷になりかねない。ロドリゴ・エルナンデス、フェルナンジーニョ、イルカイ・ギュンドアン、ジョン・ストーンズらは決して足の速い選手とは言えず、マーカス・ラッシュフォード、ダニエル・ジェームズ、アントニー・マルシャルら相手の俊足アタッカーたちと「ヨーイドン」の状況を迎えることは絶対に避けなければならないだろう。

 実際のところ、マンチェスター・Uは相手にボールを握られた方が強さを発揮する。今シーズンここまでプレミアで勝利を挙げた5試合のうち4試合は、ボール支配率が50%を下回っていた。直近のトッテナム戦(2−1)もボール支配率は46.3%。また第9節のリヴァプール戦(1−1)も、ボール支配率はわずか32%ながら、欧州王者をあと一歩まで追いつめている。

 だからといって、マンチェスター・Cの戦い方が変わるはずもないが、丁寧で素早いボール回しを行い、適切なポジションを取り続けること。そして先制点を奪うことが、いつも以上に重要になってくるだろう。つまり、攻守においてマンチェスター・Cらしさをフルに発揮すること。それがダービーで勝利を挙げるカギであり、奇跡の逆転優勝に向けて求められる姿勢だ。

(記事/Footmedia)

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