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あの“東大特任准教授”は最年少か 東北大、大阪大、広島大の最年少は27歳

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2019年12月07日 10:00  AERA dot.

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写真2018年度「最年少准教授」一覧(1)
2018年度「最年少准教授」一覧(1)
「中国人は採用しません」。東京大学大学院情報学環・学際情報学府特任准教授、大澤昇平氏によるツイッターのこの発言は多くの批判を受けた。明らかに差別発言だからである。情報学環・学際情報学府の責任者がホームページ上で謝罪し、寄付講座に出資する企業が撤退するなど、大きな波紋を広げた。

【「最年少准教授」京大の年齢は?一覧はこちら!】
 
 その後、大澤氏はツイッターでこう謝罪し、発言を取り消している。

「この度は当職による行き過ぎた言動が、皆様方にご迷惑、不快感を与えた点について、深く陳謝します」「二度と特定の人々に悲しい思いをさせぬよう、諸先輩方のお力添えを受けつつ、人権、歴史、社会について勉強をし直す所存です」(12月1日)

 しかし、東京大大学院情報学環・学際情報学府はこのままで済ませようとはしていない。「あまりにも常軌を逸した発言を繰り返しており、我々教員は強い憤りを覚えるとともに、このような方が短い期間とはいえ我々と同じ職場にいるという事実を強く恥じています」と非難し、「大学当局による本人への処分が厳格に行われることをきちんとモニターすることをお約束します」と宣言している(いずれも情報学環ウェブサイト、11月29日)。

 さて、大澤氏の発言でもう一つ注目されたことがある。メディア、SNS上で彼が紹介される肩書、「東大最年少准教授(特定短時間勤務有期雇用教職員)」である(ツイッターでの自己紹介欄から)。1987年生まれなので今年で32歳になる。東京大で最年少の准教授というのは、秀才、天才の誉れ高き優秀性が示されていると言っていい。「特任」の准教授なので、正規の教員とは異なる方法で採用されたとしても、東京大は「このような方」の若い才能を高く評価したことには変わりない。

 大学准教授の最年少は、何歳ぐらいなのだろうか。

『大学ランキング2020』(朝日新聞出版)では、全国の大学を対象に最年少の教授、准教授が何歳かを調査し、一覧で掲載している。2018年時点の調査結果を表にまとめた。

 東京大は30歳となっている。大澤氏の31歳で最年少准教授が正しいかどうかは判断できない。18年5月現在で30歳なので、同年に31歳となれば19年には大澤氏と同じ年齢で最年少となるが、この准教授が特定されないためわからない。また、19年採用で大澤氏より若い人が准教授として採用された可能性もある(なお、特任と正規を一緒にするのはおかしいという意見もあるが、これは特任という雇用形態への偏見につながる)。

 30歳前後の准教授というのは、圧倒的に少ない。

 国は国立大学教員の年齢構成を調査している(2013年度)。これによると、准教授の年齢階層別の割合は、30歳未満0.1%、30歳以上40歳未満20%、40歳以上50歳未満54%、50歳以上60歳未満22%、60歳以上4%だ。

 おもな大学の最年少准教授の年齢を見てみよう(『大学ランキング2020』から)。

27歳 東北大、大阪大、広島大
28歳 神戸大、大阪市立大
29歳 北海道大、千葉大、北九州市立大、上智大
30歳 東京大、京都大、岡山大、大分大、鹿児島大、琉球大、首都大学東京、大阪府立大、立命館大、関西大 など
31歳 筑波大、横浜国立大、名古屋大、九州大、青山学院大、法政大、早稲田大、南山大、近畿大 など
32歳 秋田大、東京農工大、新潟大、金沢大、慶應義塾大、立教大、同志社大 など

 20代後半で准教授になるには、次のようなケースが考えられるだろう。

(1)学部3年で大学院に飛び入学、大学院(修士、博士)での5年の課程を3年で修了すれば、通常より3年短縮できて24歳で博士号を取得し、すぐに助教に採用される。そして、優れた研究業績が評価され、1〜2年後、准教授に昇格する。

(2)海外で教育を受けて飛び級、飛び入学を繰り返した人(国籍を問わず)が20代前半で博士号を取得して准教授に採用され、そのまま日本でも准教授として活躍する。

(3)20代のうちに大学外(企業、研究所)で優れた業績を残し(世界を驚かせる論文を発表、画期的な商品を開発するなど)、准教授に採用される。

 2018年1月、31歳で教授になった研究者が話題になった。横浜市立大先端医科学研究センターに所属する武部貴則氏である。彼は2013年、26歳で准教授となっている。

 武部氏は、iPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基(肝芽)を作り出すことに世界で初めて成功した。また、肝芽の最適な培養・移植方法を見いだして、ミニ肝臓の大量製造も手がけている。横浜市立大はこうした実績を高く評価し、教授に抜擢した。大学はこう説明している。

「当該教員はこれまで数々の優れた研究成果を上げ、国内外からも高く評価されるなど、本学のプレゼンス向上に大きく貢献してきました。こうした実績を評価するとともに、そのアクティビティを後押しするため、本学の附置研究所である先端医科学研究センターの教授に任命したものです。今後、本学の『強み』である再生医学はもちろんのこと、より幅広い分野での研究の展開が期待されます」(記者発表資料から、2018年1月22日)

 日本における最年少准教授の年齢は26歳、というところだろうか。大学入学までに飛び級がない現在の教育制度(千葉大などごく少数を除く)では、どれほどの天才であったとしても、20代前半で准教授になることはできない。

 なお、かつて東京大法学部には卒業後に助手に採用し、そのまま助教授(現在の准教授)、教授になるルートがあった。このなかには、20代のうちに助教授となり、30代で教授に就任した俊才がいる。メディアでよく知られた学者たちは次のとおり(敬称略)。

 元東京大総長・佐々木毅(1942年生まれ)、東京大名誉教授・御厨貴(1951年生まれ)、早稲田大教授・長谷部恭男(1956年生まれ)、 法政大教授・山口二郎(1958年生まれ)、同・杉田敦(1959年生まれ)、東京大教授・牧原出(1967年生まれ)、首都大学東京教授・木村草太(1980年生まれ)。

 先の大澤氏はどのように「最年少特任准教授」になったのだろうか。彼のインタビュー記事をまとめると、高等専門学校(高専=5年制)を卒業してから、筑波大3年に編入学している。そして、東京大の大学院に進み、博士号を取得した。その後、彼の実績は情報学環・学際情報学府で評価され、特任准教授に採用されたようだ。

 大学受験を経ていないものの、大学卒までの年齢は高卒・現役で大学に入学した人のルートと変わらず、飛び級、飛び入学したわけではない。よほど優秀だったのだろう。

 大澤氏は大学受験の弊害について、こう話している。

「たとえプログラミングなど専門分野に才能がある子どもでも、高校2年、3年の時に受験勉強に専念すると、その間、まったく意味のない暗記などをしなければいけなくなります。せっかく詰め込んだ知識も、大学に入るとたちまち忘却されてしまいます。

 しかし、専門教育より学歴を重視する今のシステムでは、こうした『無駄』が正当化されてしまいます。これが日本の教育システムが抱える未修正バグ、『大学受験のジレンマ』であり、日本が技術大国としてのプレゼンスを失った最大の敗因だと思います。苦労して苦手科目を克服して東大に入った時には、疲弊していて、新しい研究をしようという意欲が薄くなってしまうわけです」(「デイリー新潮」2019年9月24日)

 大学受験によって子どもたちの個性、才能がつぶされてしまう、という見方は理にかなっており、それなりの説得力を持っている。それゆえ、なぜ、差別発言のような論理性に欠けた見方をするのか、理解に苦しむ。残念ながら、「最年少」という若き俊才を形容する肩書も、差別発言によって信用を失ってしまった。

 世界をあっと言わせるような若き准教授の登場を、だれもが待ち望んでいる。次なる世代の若き天才の登場に期待したい。そのためには飛び入学、飛び級で人材を育てる教育制度を作って、20歳そこそこの准教授を誕生させてもいいかもしれない。(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)

このニュースに関するつぶやき

  • 年齢とか性別とかどうでも良いんだよね。実力主義の世界だろ?そんなもんのを気にしてる奴らこそ差別主義者なんだよ。 https://mixi.at/ajtsF3U
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  • 言ってることがおかしくないか?詰め込んだ知識が忘却されるような人が大学教授になれるはずがないじゃん。専門性は確かに必要だけれど一般常識も知らないことが問題なんでしょ?
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