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え? そんな終わり方? プロ野球史に残る“珍ゲームセット”

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2019年12月08日 16:00  AERA dot.

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写真ヤクルト監督時代の野村克也氏(c)朝日新聞社
ヤクルト監督時代の野村克也氏(c)朝日新聞社
 プロ野球はストーブリーグに突入した。各チームの来季へ向けた補強戦略なども気になるところだが、シーズンオフとなり、プロ野球がない日々に寂しい思いをしている方も少なくないだろう。そこで、今回は「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏が懐かしの“B級ニュース”をお届けする。今回は「珍ゲームセット」編だ。

 サヨナラ勝ちが決まった直後、よりによって、サヨナラのホームを踏んだ走者が息も絶え絶えになって、本塁上で大の字にのびてしまう珍事が起きたのは、1990年9月1日の阪神vs広島(広島)だ。

 7対7の同点で迎えた9回裏、広島は2死一塁で代打・水上善雄が三塁線を抜いた。2死のフルカウントとあって、中田良弘の投球と同時にスタートを切っていた一塁走者・達川光男は、地元ファンの大歓声を受けて激走、また激走でサヨナラのホームイン。ここまでは思いきりカッコ良かった。

 ところが、ナインがベンチを飛び出し、大激戦を制した歓喜に浸るなか、達川はホームインと同時にバッタリと仰向けに倒れ込み、苦悶の表情を浮かべて、動くことができない。35歳のベテラン捕手にとって一塁からの長駆ホームインは相当こたえたとみえる。

 異変に気付いた山本浩二監督やトレーナーが駆け寄り、心配そうに様子を見守る。無理な激走がたたって、左太ももの裏側付近を痛めてしまったようだ。

 達川はつい4日前(8月28日)の中日戦(ナゴヤ)でも、試合中にコンタクトレンズを本塁付近に落とし、大捜索で試合中断というトンデモハプニングがあったばかり。でも、今度ばかりはレンズのように交換が効かないだけに、けがの具合が心配された。

 それでも2試合休んだだけで、同5日のヤクルト戦(神宮)でスタメン復帰。ベテラン捕手にとっても、地元ファンの温かい声援は、何よりの薬だったようで!

 本塁打が出れば一挙同点という9回無死満塁のチャンスが、あっという間にゲームセットになってしまったのが、96年7月26日の中日vsヤクルト(神宮)。

 8回に2点を返し、5対9と追い上げた中日は、9回にも先頭の代打・川又米利が四球を選んだあと、矢野輝弘、金村義明がいずれも左前安打を放ち、無死満塁のチャンス。終盤は完全な中日ペースとあって、ヤクルト・野村克也監督も胃がキリキリ痛むような思い。「筋書きどおりの逆転負け」を覚悟したほどだった。

 しかし、ここで伊東昭光が踏ん張り、次打者・鳥越裕介を二ゴロに仕留める。打球を処理した名手・辻発彦が二塁ベースカバーのショート・宮本慎也に送球して二封アウトを取ったあと、サード・ミューレン、捕手・古田敦也と転送され、三本間に挟まれた三塁走者・川又もタッチアウトで得点ならず。さらに古田から宮本に転送され、二塁走者・矢野も三塁付近でアウトになったことから、トリプルプレーで「まさか!」のゲームセット。

 この日の中日は、1回2死から投ゴロエラーをきっかけに先制点を奪われ、2回にも暴投や大豊泰昭のエラーなどで4点を追加され、守乱で自滅。攻撃でもヤクルトと同じ12安打を放ちながら、最後の最後で思わぬ大どんでん返しが待ち受けていようとは……。まさかの三重殺&ゲームセットに星野仙一監督もさぞかし怒り心頭かと思いきや、「信じられんことはないよ。今日のウチを象徴する場面だったから」と半ば自嘲気味だった。

 一方、相手の拙攻に助けられる形で幸運な逃げ切り勝ちを収めた野村監督は「まだツキがあるということや。中日にはようけ借金があるからなあ(この時点で6勝11敗)。10億円ずつ返さんといかん」と上機嫌で算盤をはじいていたが、その後、シーズン終了まで8連敗を喫し、7勝19敗と大きく負け越し。野球は本当に思惑どおりにいかないスポーツである。

 打者をまんまとピッチャーゴロに打ち取ったのに、思わず目が点になるような珍サヨナラ劇となったのが、97年6月14日のダイエーvs近鉄(藤井寺)だ。

 両チーム7本塁打が乱れ飛んだ大乱戦は、ダイエーが12対11と1点リード。9回裏、1点を追う近鉄は先頭の代打・山本和範が中前安打。1死後、中村紀洋の右越え二塁打と敬遠四球で満塁としたあと、水口栄二の右前タイムリーで同点に追いついた。

 だが、なおも1死満塁のサヨナラ機に、大村直之はカウント3−1から強い当たりの投ゴロ。ゲッツーで延長戦突入と思ったスタンドの近鉄ファンから思わずため息がもれる。

 ところが、ここでまさか!  まさか!  のハプニングが……。難なく打球を処理した斉藤貢は、余裕で本塁に送球しようとしたが、なんと、ボールがグラブに挟まってしまい、取り出すことができない。「こりゃ、いかん!」と慌てているうちに、三塁走者・礒部公一がサヨナラのホームを踏み、無情のゲームセット……。

「(ボールが)挟まって取れなかった。悔しい。情けない」(斉藤貢)

 結果的に珍サヨナラ劇を生んだ強攻策について、佐々木恭介監督は「大村に(3−1から)“待て”のサインでも良かったが、押せ押せのあの場面で“待て”はないよ」と結果オーライならぬ“結果ヨッシャー!”に大喜び。

 この回、先頭打者として反撃の狼煙を上げた山本も「オレも21年間野球やってきて初めてや。ピッチャーゴロのサヨナラ勝ちは……」と目を白黒させた。

 一方、先発全員安打、全員得点を記録したのにピッチャーゴロで敗れるという悪夢のような試合に、ダイエー・王貞治監督は、就任3年目で初めて報道陣に対して一言もコメントすることなく、球場をあとにした。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

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  • 野村監督時代の楽天での珍ゲームセット。一つは巨人戦で巨人の盗塁失敗でゲームセット。試合後に「バッカじゃなかろかルンバ」の歌を披露。もう一つはノムさんがトイレに行ってる間にサヨナラ勝ちw
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