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新幹線と同じ線路を走る!?「ミニ新幹線」区間の在来線電車とは

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2019年12月09日 10:00  AERA dot.

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写真奥羽本線との単線並列区間である秋田新幹線の大曲〜秋田間では、SLのイベント走行時に新幹線と並走するシーンが見られることも(写真/PIXTA)
奥羽本線との単線並列区間である秋田新幹線の大曲〜秋田間では、SLのイベント走行時に新幹線と並走するシーンが見られることも(写真/PIXTA)
 山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」は、在来線に乗り入れる新幹線電車として運行され、一般には「ミニ新幹線」とも呼ばれている。一方で、新幹線電車乗り入れ区間を走る在来線電車もあり、新幹線電車が行き交うなか地域輸送に徹している。そんな新幹線路線の普通列車とはどのような列車なのだろうか?

【「ミニ新幹線区間」で難所越え!普通列車ダイヤはこちら」

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■ミニ新幹線の正体は在来線特急!?

 山形新幹線「つばさ」は東京〜福島間で東北新幹線を走ったのち、福島以北は在来線である奥羽本線に乗り入れて新庄を目指す。この方式は「ミニ新幹線」とも呼ばれ、1992(平成4)年7月にデビューした山形新幹線「つばさ」が最初である。

 下り「つばさ」は福島を出発するとただちに高架から地平に降りて在来線と合流するが、最高速度275キロで快走してきた「つばさ」も、「山形新幹線」区間では半分以下の130キロが最高速度となり、乗り心地にも変化が見られるところだ。

「こまち」も同様で、「秋田新幹線」区間となる盛岡〜秋田間は、在来線の田沢湖線(盛岡〜大曲間)と奥羽本線(大曲〜秋田間)では130キロが最高速度となっている。山深く曲がりくねった単線の線路を走り、小さな駅や信号場でさえ行き違いの停車をする新幹線電車。「こまち」の東北新幹線内での最高速度は320キロで、同じ列車とは思えない劇的ともいえる変貌をみせているのであった。

 これは、「山形新幹線」区間と「秋田新幹線」区間が在来線であるためで、新幹線を名乗りながらも実際には在来線特急として走っている。

 ただし、これらの区間がほかの在来線と異なるのは、レールとレールとの幅(軌間)がJR在来線で一般的な1067ミリメートルではなく、標準軌と呼ばれる1435ミリとなっていることだ。言うまでもなく、新幹線電車を走らせるにあたり軌間を変更したわけで、新幹線電車が東北新幹線との間で直通運転をする一方で、そのほかの列車は他線との直通ができない。言い換えると、この区間では専用の列車が走っていることになるのだが、それらはどういう車両を使用しているのだろうか。

■ミニ新幹線区間だけで活躍する専用電車

 山形新幹線区間にあたる福島〜新庄間と秋田新幹線区間にあたる盛岡〜大曲〜秋田間では、「つばさ」「こまち」のほかに普通列車が運行されている。このうち、秋田新幹線の大曲〜秋田間は従来の狭軌(1067ミリ)とミニ新幹線用の標準軌(1435ミリ)がそれぞれ単線で並ぶ「単線並列」という方式が取られており(一部区間は線路が3本引かれた三線軌条)、「こまち」と狭軌用の列車が並んで走ることもある。それ以外の区間では専用の標準軌電車の出番となる。

 山形新幹線で活躍しているのは719系5000番台電車と701系5500番台電車。前者はJRグループ初の在来線標準軌用車両として1991年にデビュー。外観は東海道本線などを走る211系と似ており、ステンレスボディーにグリーンとオレンジ色のラインが施されている。3扉車の2両編成が基本で、車内にはセミクロスシートを配置、1両はトイレつきとなっている。後者は東北本線北部や奥羽本線などに幅広く投入されてきた701系電車の標準軌タイプで、帯色は719系5000番台と共通。特色としては、急勾配対策にディスクブレーキや砂撒(すなまき)装置を備えていることだが、車内はすべてロングシートになっている。

 秋田新幹線には同じ701系グループの5000番台が充当されている。こちらは座席の一部をクロスシートとしているが、通路を挟んだ片側をロング、片側をボックス席とする「千鳥状」配置となっているのが特徴だ。車体にはパープル、白、ピンクの帯を巻いている。

■「青春18きっぷ」泣かせの区間?

 この両区間を、あえて普通列車に乗ってみるのも面白い。筆者も何度か乗ったことがあるが、新幹線電車とはまったく異なるローカル線の味わいが堪能できるなど、好きな鉄道シーンのひとつでもある。

 山形新幹線の福島〜米沢間には鉄道における難所のひとつとしても名高かった板谷峠があり、「つばさ」でさえ速度を落としているが、各駅に丁寧に停車していく普通列車で足跡をしるしながら行くのもまたオツなものだ。かつてスイッチバック駅だった赤岩、板谷、峠、大沢の各駅のうち、赤岩を除く3駅には雪避けのシェルターが設置されており、途中下車をしながらかつての鉄道名所を探訪するという楽しみ方もある。

 また、この沿線には“秘湯”ともいえる温泉もあるので、季節によっては足を延ばしてもいい。米沢〜新庄間では、軌間の違いがあるほかはとりたてて特徴はないが、山形〜羽前千歳間は左沢線と仙山線、南新庄〜新庄間は陸羽東線と並行する区間で、異なる軌間のレールが並ぶ様子が見られる。

「こまち」が走る田沢湖線も難所続きの山岳路線だ。とりわけ赤渕〜田沢湖間は顕著で、この18.1キロの区間には大地沢と志度内という2カ所の信号場が設置され、列車の行き違いが日に数回実施されている。これは「こまち」であっても例外ではなく、人跡に乏しい山あいの信号場で停車するひとときは味わい深いものがある。普通列車と「こまち」とで片道ずつ体験してみたい区間といえるだろう。

 これらの峠越え区間は、普通列車の運転本数の少なさも特筆できる。福島〜米沢間で板谷峠を越えて走る列車は1日に6往復。日中は上下とも4時間前後の空白時間帯がある。田沢湖線の雫石〜田沢湖間はさらに少なく、1日4往復に絞られている。下りで9時間2分、上りで9時間12分にも及ぶ空白時間帯があり、“18きっぱー”泣かせの区間ともいえそうだ。

 ちなみに、「青春18きっぷ」を使い東京駅を7時07分発の宇都宮行き普通列車でスタートすると、福島発12時51分の米沢行きに乗り継げ、さらに乗り継げば秋田到着は20時12分、大館到着は22時14分で普通列車だけの乗り継ぎで日着できる。

 田沢湖線は東京発の普通列車乗り継ぎだと盛岡発18時13分の大曲行きに乗れるものの、これからの季節では車窓は闇のなかとなってしまう。逆に、秋田発5時54分の新庄ゆきでスタートすると、大曲で7時01分発の盛岡ゆきに乗り継げ、普通列車リレーで新宿には20時12分(土休日は東京着20時10分)など都心への日着も可能だ。冬の「青春18きっぷ」シーズンにチャレンジしてみてはいかがだろうか。(文/植村誠)

○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。

このニュースに関するつぶやき

  • 山形新幹線のあの塗装なんとかならないか?シルバーに戻してもらいたいもんだ。
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  • 新庄までは「つばさ」が走る故に標準軌。その先は狭軌である為、新庄駅では必ず乗り換えが必要になる。大曲駅の構造上、「こまち」は日本で唯一「スイッチバックする」新幹線。
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