BTS、PENTAGON、GOT7、ATEEZ、SEVENTEEN……K-POPはヨーロッパに根付くのか? 現地での様子から考察

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2019年12月09日 14:01  リアルサウンド

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K-POPはヨーロッパに根付くのか?

 2019年は、BTS、BLACKPINK、MONSTA Xを始めとした多くのK-POPグループがワールドツアーを行った。特にBTSは数万人規模のスタジアムツアーでどの公演も完売。そんな多くのグループがワールドツアーが行う中、筆者もその流れにのってK-POPグループのヨーロッパ公演に参加した。


 以前、リアルサウンドで「BTS、BLACKPINKらK-POPグループのワールドツアー相次ぐ 欧米での公演が盛り上がる背景」というコラムをアメリカ在住のファンの声などを参考にして書いたが、今回は実際に行って感じたことを元に、ヨーロッパにおけるK-POPの人気について考察してみたいと思う。


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■BTS、MONSTA X、GOT7……続くヨーロッパ進出


 筆者が行ったのは、10月に開催されたPENTAGONのワールドツアー『2019 PENTAGON WORLD TOUR<PRISM>』のヨーロッパの都市2公演だ。彼らは今年初めてワールドツアーを行ない、5月のソウル公演を皮切りに、9月からアジア、アメリカを回った後、ヨーロッパ公演を開催。筆者が参加した2公演は、完売にはならずともどちらの会場も後方まで客席が埋まり、大盛況に終わった。


 PENTAGONが公演を行った会場は1,200人規模のライブハウスだったが、同じ時期にヨーロッパツアーを行っていたGOT7は、ベルリンのメルセデスベンツアリーナという16,000人規模の会場で開催。また、ヨーロッパで人気を得ているATEEZは、来年3月のベルリン公演ではメルセデスベンツアリーナでパフォーマンスする。さらに、SEVENTEENも初のヨーロッパ単独公演を予定している。


■ヨーロッパのファンたちは「K-POPというジャンル」が好き?


 筆者がPENTAGONのヨーロッパ公演で現地のファンたちに会って感じたのは、彼女たちは「特定のグループ・メンバーのファン」ではなく、「K-POPのファン」であるということだ。筆話を聞いたり、様子を見ていると、同じ都市で公演を行った他のグループのコンサートにも行ったという人も多く、会場に来ているファンたちは様々なグループのグッズを身に着けていたり、待ち時間には他のグループの曲を流して歌い踊っていた。


 こうしたことは、ヨーロッパのファンの間では「当たり前」のことのようだ。つまり、いわゆる“DD(誰でも大好き)”が多いのだ。


■遠い国から来た手の届かないアイドルへの熱い期待値


 以前のコラムでも触れたが、遠いアジアの国のアイドルはヨーロッパのファンたちにとっては物理的にも“遠い存在”。インターネットの普及により、簡単に動画や音源で間接的に触れられるようになったが、あくまでモニターの中の存在。ヨーロッパまで来てくれた遠い韓国のアイドルに“会える”ことに、大きな期待とあこがれを持っているようだった。


 ヨーロッパのコンサートは熱い!と聞いていたが、その盛り上がりは想像以上。コンサート前からボルテージが上がっているうえに、始まったら大きな悲鳴と歓声で彼らの歌が聞こえないくらいだ。その盛り上がり方は韓国や日本とは大きく違い、恋焦がれた憧れのアイドルが目の前にいることに興奮し、感動しているようだった。それはアジアに暮らす私たちが、遠い欧米のバンドやアイドルに会えた時の感覚に似ているのかもしれない。


■K-POPはヨーロッパではニッチなジャンル


 では、K-POPがヨーロッパの国々でメジャーなジャンルなのか? というとそうではなく、知る人ぞ知るまだマイナーなジャンルだ。実際、ドイツに暮らす友人たちに話を聞くと、K-POPはよく知らないという答えが返ってきた。つまり、盛り上がっているのはごく一部なのだろう。前述したように、多くのヨーロッパのファンはK-POPのコンサートならグループに関係なく行く傾向がある。そうした一部の“K-POPオタク”がコンサートをいくつもはしごしているのだ。


 また、K-POPのファンにはアニメなども好きな人が多く、K-POPはヨーロッパにおけるオタクジャンルの一部になっている。以前、日本のヴィジュアル系がヨーロッパで人気が出た時も、ヴィジュアル系ファンとアニメファンが重なっていることも多かったが、そのファン層とよく似ている構図だ。ヴィジュアル系のブームと違うのは、K-POPは動画やSNSといった国境のないインターネットツールを巧みに使って世界中へファン層を広げていったというところだろう。


■K-POPはヨーロッパに根付くのか?


 先日とある旅番組で、ポーランドの女子高生たちが路上でK-POPのダンスを踊っている場面が放送された。彼女たち曰く「K-POPファン」なのだという。以前からいわゆる“オタク層”を中心に少しずつ浸透してきたK-POPは、今や中高生などの若者にも支持を集めている。


 実際、あるヨーロッパの都市の街角でたまたま入ったタピオカミルクティーのお店ではK-POPが掛かり、高校生たちがその曲を当たり前のように口ずさんでいた。街中で韓国語で歌われるK-POPが流れているのにも驚いた。


 現在のヨーロッパのK-POPファンは中高生が中心だ。偏見も垣根もなくK-POPというジャンルを素直に受け入れてファンになっているのは、現在の日本での第3次ブームと少し似ている。ただ、前述したように、ヨーロッパにおいてはまだニッチなジャンルであることは変わりはなく、そのラインを越えて、音楽ジャンルとして定着できるのかが今後のキモになる。BTSが欧米諸国に対してK-POPの認知を大きく広げてくれたとはいえ、大衆も聞くようなジャンルになるにはまだ時間が必要そうだ。多くのグループたちが細かく来欧し、ツアーを行うことで広く知られるようになれば、少しずつ大衆に浸透していくかもしれない。(西門香央里)


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