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他球団には悲報 原巨人がFA戦線でフラれても強くなっちゃう大きな理由

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2019年12月09日 16:00  AERA dot.

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写真打撃力アップ請負人の石井琢朗コーチ(C)朝日新聞社
打撃力アップ請負人の石井琢朗コーチ(C)朝日新聞社
 今年は原辰徳監督の復帰で、5年ぶりにセ・リーグ優勝を成し遂げた巨人。このオフはFA選手獲得など大掛かりな補強こそなかったものの、来季に向けてコーチ陣の刷新を行なった。なかでも“目玉”と言えるのが、今シーズンまでヤクルトの打撃コーチを務めていた石井琢朗野手総合コーチ(49歳)の就任だろう。

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 現役時代の石井コーチは、大洋(現DeNA)入団4年目に投手から野手に転向して、2012年に広島で引退するまでに歴代11位の通算2432安打を記録。最多安打2回、盗塁王4回のタイトルのほか、5度のベストナイン、そして4度のゴールデングラブ賞も獲得しているが、輝かしいのは選手としての実績だけではない。

 現役引退後は広島の内野守備走塁コーチを経て、2016年から打撃コーチに転身。すると打率リーグ5位だったカープ打線は翌年から2年連続で打率、得点ともに断トツ1位の強力打線に変貌し、チームも37年ぶりのリーグ連覇を達成している。

 2018年にヤクルトの打撃コーチとして招聘されると、前年はチーム打率でリーグ最下位だった打線が、一転してリーグNO.1の数字をマーク。青木宣親の復帰というプラス要素もあったにせよ、得点は473から658と200点近くもアップし、チームも前年の最下位から2位に躍進した。

 実はこの「得点」こそが、石井コーチが最もこだわっていたものだ。それはヤクルト1年目の春季キャンプを前に、こんな話をしていたことからもわかる。

「とにかく得点にこだわっていきたい。チームとして年間何点取れるか、そのためにはどうしたらいいかっていうところを考えながら、なんとか点を取れる打線をつくっていければいいなと思っています。『点を取るには』っていうところをこんこんと、しつこく選手に植え付けたいですね。まずは意識をどうやって持っていくか。そこありきで入っていけば、結果だったり形っていうのは、僕は後からついてくるものだと思ってるんで。意識が変わるだけでだいぶ変わると思いますよ」

 シーズンが始まると、その“意識”は確実にヤクルトの選手たちに根付いていった。実際、当時の小川淳司監督(来年から球団GM)も「(変わったのは)選手の意識じゃないですか。つなぎの意識だったり、野球に対する考え方だったり……。意味のある凡打というか、そういうところもですね」と話している。

 意味のある凡打──。これは、この年からヤクルトの選手たちがしばしば口にするようになったフレーズだ。凡打に倒れたとしても走者を先の塁に進め、時にはホームにかえす。たとえアウトになっても、そうしたケースではベンチに戻ってきた選手をナインが総出で迎え、ミーティングで石井コーチがあらためて称えることもあったという。

「(『意味のある凡打』は)去年から言ってましたけど、僕は今年はかなり意識してます。もちろん2点、3点入ったほうがいいに決まっているんですけど、最低限というか(内野ゴロで)1点でも取れるんであれば、ホームランやヒットよりもゴロを打つほうが難易度は低いわけですから。凡打を怖がらずっていうか、凡打ではダメと思わずにやるようにしてます」

 今年のシーズン序盤、そう話していたのは主に5番を打っていた雄平である。特に4月は24試合の出場で18打点を挙げ、「打点が多いのはそこの意識があるからだと思います」と話していた。

 2013年にはシーズン60本塁打の日本新記録を樹立したウラディミール・バレンティンも、ここ2年はたまのリップサービスを除けば目標としてホームランの数を挙げることもなくなり、口を開けば打点、打点になった。

「点を取らなきゃ試合には勝てない。だから、それ(走者をかえすこと)がオレの仕事だよ。内野ゴロでも点が入る(状況)なら、自分を犠牲にしてでもランナーをかえす。それがチームの勝ちにつながるなら、それでいいじゃないか。イシイ・コーチともそういう話をしている」

 バレンティンは昨年、60本塁打を放った2013年に記録したキャリアハイに並ぶ131打点を挙げ、自身初の打点王に輝いているが、こうした意識とも無関係ではないだろう。

「(バッターは)どうしてもキレイにヒットを打ちたい、ホームランを打ちたいっていうところに走りがちなんです。いかに1点1点を積み重ねていくかっていうところを目標に、個人個人じゃなく8人、9人が打線としてつながりを持って、どうやって束になっていけるかっていうところを選手に意識させていきたいですね」

 石井コーチはヤクルト入団当初からそう語っていたが、雄平やバレンティンの話からはそうした考え方がチームにしっかりと根付いたことがうかがえる。昨年の2位から今年は最下位に転落し、チーム打率もリーグワーストの.244に終わったヤクルトだが、それでも656得点はリーグトップの巨人とわずか7点差の2位。これも「琢朗イズム」のなせる業だろう。

 もっとも、石井コーチの素晴らしさはそれだけではない。広島時代にも“同じ釜の飯を食った”ヤクルトの河田雄祐外野守備走塁コーチが言う。

「情熱があるよね。キャンプでもシーズン中でもそうだけど、早出から長い時間、継続して(選手と)練習できるっていうのが、タクちゃんの一番すごいところかな。オレもいろんなバッティングコーチと一緒にやってきたけど、あそこまでの人はいない。群を抜いてるよ」

 その情熱で、ヤクルト2年目の今年も若手、ベテランを問わず、シーズンを通して熱のこもった指導を行っていた。とにかく指導方法の引き出しが多く、ティー打撃1つ取っても何をさせるかは選手によってさまざまである。

「石井コーチはそれぞれの特徴を分かってくれた上で、すごく熱心に取り組んでくれました。僕の場合は『お前は左手の使い方が下手だから』っていって、ノックのような練習もしてました」という4年目の山崎晃大朗は、ティー打撃でトスされたボールを打つのではなく、左手の使い方を意識しながら自らボールを上げて打つ練習を続け、8月には3割を超える打率を残した。

 また、高卒2年目の村上宗隆に対しては、彼の最大の魅力である長打力を消してしまわないようにとの思いから「今年は打率と三振は気にしなくていい」と言い続け、どれだけ三振しようとも「何でも一番を目指せ」と逆にはっぱをかけた。結果的に打率はリーグワーストの.231、三振はリーグ新記録の184を数えた村上だが、10代の選手としては歴代最多の36本塁打、96打点で、見事に新人王に輝いている。

 今年のセ・リーグのチーム打率No.1は中日の.263で、「石井コーチが在籍する球団」の打率トップは4年連続で途切れた。巨人はその中日に次いでチーム打率2位だったが、得点は前述のとおりチーム打率最下位のヤクルトと7点しか違わない。打撃コーチとして広島の連覇を支え、ヤクルトの2位躍進を後押しした男は、今度は野手総合コーチの肩書で、セ・リーグのディフェンディングチャンピオンをどのように進化させていくのだろうか。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004〜08年『スカパーMLBライブ』、16〜17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

このニュースに関するつぶやき

  • 巨人には山下という超有望株おるからな
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  • 今の巨人の課題は、得点力よりも投手力だと思うけど…確かに若林とかにはいいコーチだろうけど…
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