アウディスポーツ代表、モータースポーツ完全電動化に否定的「馬を使った競技のように生き残る」

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2019年12月09日 18:31  AUTOSPORT web

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DTMを運営するITR.e.Vが発表したハイブリッド燃料電池コンセプトの近未来スタディ
アウディスポーツ代表のディーター・ガスは、DTMドイツ・ツーリングカー選手権のハイブリッド導入やモータースポーツの完全電動化に対してコメント。「馬を使った競争が残っているように、内燃機関を使った競争は続くはず」との意見を述べた。

 DTMを運営するITR.e.Vは11月7日、バッテリーや水素によるフューエルセル(燃料電池)を持ち、1000馬力以上のハイブリッド車両で争うツーリングカーレースのスタディモデルを発表。一部の欧州メディアでは2021年からのハイブリッド導入を検討していると報じられてもいる。

 また欧州圏では排ガス規制や温室効果ガス削減の動きなどから、市販車の電動化が進んでいる。この電動化シフトの波はフォーミュラレースではフォーミュラE、ツーリングカーではETCR、二輪レースではMotoEなど、モータースポーツ界にも及んでいる。

 この流れもあり、フォルクスワーゲン・モータースポーツはワークス体制で今後内燃機関を使ったレース活動は行わないと発表したばかりだ。

 11月末に行われたスーパーGT×DTM特別交流戦の際に来日したガス代表は「DTMのハイブリッド化についてコメントするのは時期尚早だ」としながらも「進む方向性としては興味深いものである」と述べた。

「電気自動車技術は急速に広がり、さまざまな可能性を秘めていることは確かだ。しかし、長期的に考えたとき、市販車の分野でどんなパワーユニットが主流になるかはまだ分からない」

「ただ、今回のコンセプトはDTMがシリーズの今後をしっかりと見据えているとわかるビジョンだと思っているよ」

「フォルクスワーゲンの発表には、個人的に少し驚かされた。DTMやスーパーGT、F1、カスタマーレーシングなど、まだ内燃機関エンジンを使いながら成功しているカテゴリーは多いからね」

「確かに市販車に目を向ければ、内燃機関エンジンは終焉へ向かいつつあるかもしれないが、モータースポーツでも終焉を迎えるとは思わない」

「公道での移動手段が自動車に変わったあとも馬を使った競争は続いている。これと同じことが起こるんじゃないかと思っているよ」

 また、DTMではアストンマーティンで参戦しているRモータースポーツがエンジンサプライヤーであるメルセデス系のHWAとパートナーシップを解消。2020年に向けて搭載するエンジンを探している状況だ。

 RモータースポーツはBMWにエンジン提供を打診したようだが、契約には至らなかったとみられている。Rモータースポーツに残された選択肢が限られてきたなか、ガス代表は「Rモータースポーツにエンジンを供給することは可能だと思う」とコメント。また一時シリーズで検討されていた共通エンジンについても言及した。

「仮にエンジンを供給する場合、販売ではなくリースという形になるだろう。異なるブランドのクルマに我々のエンジンが載るという状況は、なかなか想像しづらいがね」

「以前、DTMに共通エンジンを導入する話があった。我々のエンジンをベースとして実現させるべく、かなり長い間議論を主導していたんだ。そういう意味では他ブランドへエンジンを供給すること自体にはオープンだよ」

「今、DTMはあらゆるパーツが共通化されているが、クルマを形作る部品のなかでもっとも高価な部分については内製しなければならない。今後さらにコストを削減していくのであれば、次のステップとしてエンジンに手を付けることになるだろう」

「我々はつねにできるだけコストを削ろうと努力している。ただ、現状のレギュレーションを冷静に分析すれば、これ以上コストを削減できる部分はほとんどないことも分かるだろう」

「だから、論理的に考えれば、次はエンジンということになる。ただ、シリーズには複数メーカーが参戦している。そしてエンジンというものはクルマにとってDNA、心臓のようなもので、そこを共通化したくないという考えもある」

「この考えは私も理解できるよ。アウディのレーシングカーにはアウディのエンジンが載っていてほしいからね。ただコスト削減という点だけを論理的に考えれば、共通エンジン導入こそコスト削減でもっとも効果的な施策でもある」

このニュースに関するつぶやき

  • 我々の趣味も乗馬レベルの金持ちのお遊びになっていくんでしょうかねぇ。あ、もう、すでにそうか。(笑)
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