任天堂の『Switch』中国展開はゲーム市場をどう変える? 海外メディアは厳しい見方

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2019年12月10日 07:01  リアルサウンド

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 任天堂は、12月10日から中国でゲーム機『Nintendo Switch』を販売する。価格は2099元(約3万2000円)で、日米とほぼ同じだ。


(参考:Nintendo Switch Liteも米国で集団訴訟の対象に Joy-Conドリフト問題で新たな動き


 任天堂は過去2回、現地法人を軸に進出を図ったが、いずれも失敗し、ゲーム機の中国展開は2003年が最後になっていた。これまでも、ソフトの供給は行っていたものの、ゲーム機プレイの中国浸透を目指し、三度目の正直で万全を期して、中国のゲーム大手であるテンセント(騰訊控股)と販売代理店契約を締結した。


・プレイ可能なゲームは1つだけ
 この任天堂の動きには、海外メディアも敏感に反応している。『Slashgear』は「中国ローンチ時『Nintendo Switch』のゲームは1つだけ」という見出しで報じた(参考:https://www.slashgear.com/nintendo-switch-in-china-will-have-only-one-game-at-launch-next-week-04602240/)。


 中国内で正式販売の開始が承認されたこと自体はニュースだが、発売時にコンソールでプレイできるゲームが『NewスーパーマリオブラザーズUデラックス』1つしかないことを考えると、おそらく世界の販売数にほとんど変化はないだろう、と同メディアは予測した。


 中国は世界最大のゲーム市場だが、それはPCとモバイルに限ってのこと。コンソールは最近まで国から禁止されていたため、任天堂のようなその道を知り尽くしたベテランにとっても、中国市場への参入は困難を極める。だからこそ、中国の大手ゲーム会社テンセントと提携し、ついにその成果を目にすることができた。『Nintendo Switch Lite』も、販売に向け中国政府の審査を受けている。


 政府によって課された制限があったため『Nintendo Switch』が中国のゲーマーの体験をどれほど変えるかを観察することは実に興味深い。


 オンラインコンテンツとトランザクションには制限の可能性がある。世界の他地域の『Switch』とは非常に異なり、コンソールを伝統的に冷遇している市場のために、これだけの手間をかける価値があるかは、まだ分からない。


・一部で歓迎も大きな売り上げ増は予測せず
 『The Verge』も、任天堂の中国進出については慎重な意見だ(参考:https://www.theverge.com/2019/12/3/20994756/nintendo-switch-china-launch-release-date-price-tencent)。


 中国は世界最大のゲーム市場だが、『Nintendo Switch』の公式リリースは、必ずしも中国のゲーマーや任天堂にとって大きなことではない。中国市場は、PCゲームとモバイルゲームで占められているが、グレーゾーンの市場で輸入されたコンソールは広く入手可能だ。


 『Nintendo Switch』の1年間の保証と新たにローカライズされたタイトルは、中国の一部の人には歓迎されるが、任天堂でさえすぐに売り上げが増えるとは予測していない。任天堂の古川俊太郎社長は「中国でのビジネス展開は、当期(2020年3月期)の業績予想には見込んでいない。仮に当期に発売できたとしても、当期の業績に大きな影響を与える規模にはならないと考えている」と投資家に説明している。


 ゲームセンターに並ぶゲーム機への依存性を問題視した中央政府が禁止して以来、人々はPCやスマホに流れ、すっかり廃れてしまった中国のコンソール市場。任天堂は、そこで存在感を発揮することができるかが試される。


(Nagata Tombo)


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