風邪ウイルスは胎児の健康に影響を与える

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2019年12月10日 08:01  妊活・卵活ニュース

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妊娠期における風邪の危険性
メトロヘルス・メディカルセンター(米国オハイオ州クリーブランド)などの研究チームは、「PLOS ONE」にて、妊娠期の母親がRSウイルスによる風邪(一般的な風邪)をひいた場合、RSウイルス感染は胎盤の細胞まで移行し、子宮にいる胎児まで感染すると発表した。

妊娠期に母親がRSウイルスを原因とする風邪をひくことにより、RSウイルスは胎児の肺組織まで感染し、肺感染症の要因に成り得るという。なお、RSウイルスは、秋から冬に流行する一般的な風邪であり、乳幼児期の気管支炎・肺炎をも引き起こすといわれる。

胎盤細胞のRSウイルス感染
研究チームは、正期産に選択的帝王切開にて分娩した母親より提供された胎盤を用いて分析をしたところ、胎盤組織にある主要な細胞3種類(栄養膜細胞、胎盤間質の線維芽細胞、ホーフバウアー細胞)があり、RSウイルスと接触できることが確認された。

胎盤間質の線維芽細胞では、20%以上が96時間以内にRSウイルスに感染した。ウイルス感染を原因として細胞が死滅することはなかったが、特に、ホーフバウアー細胞は、RSウイルスが複製され、感染後30日以上の生存は不可能であった。72時間以内に感染の兆候が認められ、感染は胎盤の他部分まで広がり、胎児の組織まで影響した。

TNF-α、TNF-βなどサイトカインが発現し、ウイルスは複製されなかったものの、細胞間経路を通じて密接に接触し、上皮細胞まで感染した。一方、栄養膜細胞では、ウイルス複製は限られていた。

また、妊娠中期にRSウイルスに感染した母ラットから誕生した子ラットでは、全体として、胚組織40%にウイルスゲノムの存在が認められた。RSウイルス曝露は在胎期のみであるにも関わらず、成人期のラットのうち、四分の一にRSウイルスが存在した。

RSウイルスに感染したヒトでは、循環および末梢組織からRSウイルス抗原・遺伝子が検出された。妊娠後期にRSウイルスの風邪をひいた母親から誕生した子供は、生まれながらにしてRSウイルス感染症であり、臍帯血にある単核免疫細胞にRSウイルスの遺伝物質が確認された。

(画像はPLOS ONEより)

PLOS ONE

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