アニソンシンガー・YURiKA、この1年の経験を進化に変えた新譜を語る

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2019年12月10日 18:02  マイナビニュース

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●“足踏み”のように感じた1年間で、彼女の中に生まれたもの
これまで『宝石の国』や『はねバド!』など、数々のTVアニメの主題歌を歌唱してきたアニソンシンガー・YURiKA。彼女の約1年ぶりとなる待望のニューシングルは、TVアニメ『BEASTARS』のEDテーマに起用された「Le zoo」。

ミドルポップを優しく温かく歌うそのボーカルは、今まで以上に心にスッと沁み渡るものに進化していた。今回は、2種リリース・全5曲の新曲についてはもちろん、その進化の原動力についても語ってもらった。
○■この1年、YURiKAが目指してきた”ひとつのもの”とは

――シングルのお話の前に、先月のバースデーライブのお話をお聞かせください。オリジナル曲でのワンマンライブは2月以来でしたね。

今回は『BEASTARS』で約1年ぶりにアニメの主題歌をうたわせていただけるということで、新しいYURiKAを魅せたいという意味で”UPDATE”というタイトルをつけたんです。実際にライブが終わって自分でも進化を感じられた部分もありましたし、実際にライブの中でも、事前に意味を持って考えてきたことを実現できて。お客さんにも、イメージしていたことを伝えられたんじゃないかなと思っています。

――まさに、ライブ全体を通して歌声が”UPDATE”されていた印象を受けました。

ただ、実はこの1年は、私自身としては足踏みしているような感覚があったんです。

――足踏みですか?

はい。今回の『BEASTARS』の主題歌のお話自体は今年のはじめ頃にはいただいていたんですけど、そこまでの過程は自分たちで作り上げていくしかなくて。こういう経験は初めてだったので、すごく長く感じていました、逆に言うと、この1年は「『BEASTARS』につながるように」ということを考えながら、ライブとかの活動をさせてもらっていたんですよ。

――その間の経験が、実際に先日のワンマンや「Le zoo」の制作に生きた部分もありましたか?

ありました。特に大きかったのは、Keyさんのカバーライブやカバーミニアルバム『ただいま。〜YURiKA Anison COVER〜』ですね。他の方の人気曲をお預かりして歌わせていただくので、必然的に楽曲の幅も広くなってくるじゃないですか? それを自分の歌声にいちばん合うように表現するにはどうすればいいのかな?と考えたことは、とても勉強になりました。それに、元々は表題曲を通じて「元気で明るい」みたいな印象を持っていただくことも多かったんですけど、いろんな曲をカバーさせていただくうちに「ファルセット、いいね」と言っていただくことも多くなって、自信も付いてきて。新たな武器にしていきたいなと思うようにもなったんです。

――では、続いて、アニメ盤収録の3曲がすべてEDに起用されている『BEASTARS』への印象をお聞かせください。

ひと言でいうならば「オシャレでかっこいいな」という感じですかね。物語自体は肉食動物と草食動物が共存する世界のお話なんですけど、たとえば肉食から草食に対してのコンプレックスが、読者にも共感できるような形で葛藤としてしっかり描かれていて。しかも学園モノでもあるので、学生としての葛藤もあり、いろいろなことを考えるきっかけになるたくさんの魅力が詰まった作品だと思います。

○■今だから挑戦できた、優しくて温かな曲という新境地

――そんな『BEASTARS』のEDですが、まず「Le zoo」は表題曲としてはもちろん、今までのYURiKAさんの持ち歌自体にないようなジャンルの曲ですね。

作品を読んだときには、ED曲を「眠れる本能」みたいな「ちょっとアッパーでオシャレな大人っぽい曲が来るのかな?」と勝手に予想していたのもあって、最初に聴いたときは「温かい曲だなぁ」と思って。ちょっとカントリーみたいで優しく包み込むような感じのする、”ぬくもり”を強く感じられる曲なんですよ。なので、そのときから無理にはかっこつけず、等身大で歌えたらいいなと思っていました。

――おっしゃるように、非常に温かくて優しい曲になっていますが、レコーディングのときにもそういった要素を重視して歌われたんでしょうか?

そうですね。レコーディングには作編曲してくださった神前暁さんもいらっしゃってディレクションしていただいたんですけど、地声でも出るけれどもあえてファルセットを使ってみるような歌い方もしたんですよ。自分の声質が、普通に歌うと突き抜けてしまいがちなので、サウンドの力も借りながら歌い方も変えて、曲全体を丸くしてもらった感じはあると思います。

あと、最後の「オワオ」っていうコーラスは、神前さんをはじめいろんな方々に歌ってもらっていて(笑)。そこからも「みんな違ってみんないい」じゃないですけど、いろんな人がひとつのものを作っているっていう感覚を味わうことができました。歌いやすいメロディだと思うので、ライブではぜひみんな一緒に歌ってほしいです!

――また、歌詞のなかで気に入られた部分はありますか?

ところどころ「吠える」とか「檻」みたいに動物を感じさせる部分もあるんですけど、その中にある「おはよう おやすみ お揃いの言葉を」っていうフレーズって、草食と肉食が共存している世界だからこそ言えることだと思うんですよ。そう考えると、本当に深い歌詞ですよね。あと、歌詞は実は、最初から完成形まで変わっていく過程も見させていただいていたんですよ。すごく珍しいことだと思うんですけど、自分的にはとてもありがたいことで。おかげで、より歌詞も大事にしたいなという思いも生まれました。

――そして、「Le zoo」ではMVも撮影されました。

はい。今回はレゴシが演劇部というのもあって、MVの中で私も芝居を作る裏側を演じたりしていまして。美術をやり、メイクも大道具も衣装もやり、役者もやるという(笑)。

――台本を持ちながらのシーンもありますからね。

そうなんです! あれ、作中の新歓公演の主役・アドラーになろうとしているんですよ。あと細かいんですけど、上から垂れ下がっている星のオブジェはED映像にも似たようなものが出てきますし、頭につけている花飾りのところにはヘアメイクさんのアイデアでちっちゃい動物をつけてもらって……いろんな人が「作品と寄り添う」という私のスタンスを大事にしてくれているなって、改めて思いました。

――終盤の、ドレスを身にまとった夜のシーンの雰囲気も、また素敵なものでした。

ただ、落ちサビのあたりで階段を下りてくるカットは、ヒールが高くて最初ちゃんと歩けなかったんです。しかもその日は小雨交じりの天気だったので滑りやすかったうえに、暗かったのではじめは一段ずつ確認しながら歩いていたんですよ。そうしたら、監督から「そこは堂々といきましょう!」と言われ(笑)。でも完成版を観たらすごく素敵な雰囲気の映像になっていたので、よかったです。

●アニメ盤のカップリング2曲にも、新たなYURiKAが
○■歌い方自体を変えて、セクシーにアプローチした「眠れる本能」

――ただ、2曲目の「眠れる本能」がまたガラッと違う雰囲気なんですよね。

そうなんです。アニメによっては複数ED自体はあっても、違うアーティストさんが歌っていることが多いじゃないですか? なのに、テイストの違う曲をひとりで3曲も担当できるなんてなかなかないことだと思うので、これを機会にいろいろ吸収できたらいいな、という思いでそれぞれの曲と向き合っていきました。

――なんだか、この1年間に培ったものの披露でもあり、新たな勉強の場でもあるシングルのようですね。

本当にそうですね。体当たりじゃないですけど……(笑)。特に「眠れる本能」は、歌い方自体も結構変えていまして。今までは語尾を上げていたんですけど、この曲は初めて尻下がりに落ちていくんです。

それに、息多めで大人っぽく、それこそ抜きめでとか、ここはビブラート強めで、みたいに……「Le zoo」は自分的には、あまり考えずに等身大で歌っていたんですけど、「眠れる本能」は「自分的にはこうしよう」って結構キメキメで、カチッとカッコつける感じで歌いました。歌詞もかなり挑発的というか攻めている曲なので、声は抜きつつ、でも言葉とか音的には攻めている……っていうバランスの楽しさを感じながら歌っていきましたね。

――その他、レコーディングで気をつけられたのはどんな部分でしたか?

私の場合、いつも結構はきはき言ったり歌ったりしちゃうんですけど、今回はそれを抑えて「カチカチしないように」っていうのは意識しました。でもこの曲、言葉数自体は多いんですよ!(笑)。なので、何を言っているのかわからないようになってもいけない。そこのさじ加減は難しかったですね。

あと、結構わかりやすくアクセントをつけたり、逆にあえてかすれさせたりささやくように歌ってみたり……そういうふうに、今まであまりしてこなかった歌い方にもトライしたので、そこは楽しさを感じたところでもありました。あと、後奏のエレピのアドリブがすごくかっこいいんですよ! これ、私めっちゃ好きなので、ぜひみんなにもフルで聴いてほしいです!
○■「マーブル」はとにかく綺麗に、儚く聴かせるナンバーに

――また、もうひとつのED曲「マーブル」は、非常に優しいバラードで。

はい。「Le zoo」ともまた違う優しさのある曲です。この曲のテーマは「分かち合い」で、一人称こそ”僕”なんですけど、私はその優しさからウサギのハルちゃん目線を感じたんです。私、ハルちゃん本当に好きなんですよ。

――あれ? 今のネイルにもハルちゃん要素ありません?

そうなんです。ハルちゃんと、普段のレゴシとちょっと本能の出たレゴシで構成していまして。これは完全に、ファンとしての行いなんですけど(笑)。ハルちゃんは、女の子特有の「私わかっています」っていう背伸び感もありつつ等身大さもある子で……レコーディングでも、そういうハルちゃんの思いを勝手に乗せた部分があるといいますか。

「わかりあいたくてもわかりあえないけど、そばにいたいよ」っていう気持ちをぽんって置く感じで歌いました。なのでこの曲は歌詞も含めて、じっくり聴いてほしいです。それこそ、放送が終わったあとの深夜に(笑)。

――そのうえで、とてもきれいな曲という印象もありました。

私もその印象があります。TVサイズでは聴けないんですけど、2番の頭の間奏には三声のコーラスがあって。それもやらせてもらったんですけど、そのコーラスをはじめ本当に”綺麗な曲”なんですよね。あとこの曲は元々もうちょっとキーが低くて、キーチェックで高くしたんですけど、おかげで歌声の中の儚さがより際立たったのかなと思っていて。優しいメロディで、歌詞にもちょっと寂しさや儚さのある曲なので、その両方を込められるように歌っていきました。

●進化を続けるYURiKAの、今の目標とは
○■ライブ映え間違いなし! 今の思いを叩き込んだ「baby baby flow」

――一方、アーティスト盤にはまた異なるカップリング曲2曲が収録されています。まずは作詞を田淵智也さんが、作曲を黒須克彦さんが手がけられた「baby baby flow」ですが。

アーティスト盤のカップリングは、2曲ともアッパーでライブ映えするような曲にしたいという考えが元々軸にあったんですけど、これはもう「みんな好きだろうな」って思うようなロックチューンになりました(笑)。

――おふたりには、それに加えてどんなテーマを伝えられたんですか?

「いろいろ大変な時期を乗り越えて、ここからまたやっていくんだ!」みたいな強い部分を見せたいんです……とお伝えしました。自分的には『ゆりかの番です-反撃編-』って言っているんですけど(笑)。そうしたら、まるで普段の私の心境そのままのような歌詞をいただけて! あと、歌詞のデータに「for YURiKA」って書いてあってびっくりしました。なんだか「YURiKAへ」みたいに言ってもらっているようで……。

――かっこいい……!

ですよね!? そのなかでも特にお気に入りなのが、まさに「やっていくぞ!」っていう気持ちが込められている、2サビの「逆境だと知ったって 険しいと知ったって 走れるよもっと」っていうフレーズなんですよ。

それに、今回のライブタイトルの「アップデート」って入れてくださっていて、「YURiKA、またここから頑張ります!」ってギアを入れてくれる1曲だなと思うので、「みんなに届けたい」っていう気持ちが今まででいちばん強い曲になっているかもしれないです。しかも、黒須さんが作ってくださった曲調自体も自分自身が好きなアッパーなロックというのもあって、歌っていてスカッとするんですよね。そこに今の気持ちを、そのまんま込めさせてもらいました。

○■自作詞曲「メイキット!」は、少し大人な観点からのエールソングに

――そしてアーティスト盤もう1曲のカップリングが「メイキット!」です。こちらは作詞もされていますが、ライブでは「エールソング」とおっしゃっていましたね。

「私、頑張る!」っていう曲が多かったので、ずっと聴いている人に向かってエールを送るような曲も歌いたかったんです。そこで、今回久々に作詞もできるということになったので、最初からこのテーマに決めていました。でも私、作詞に対してものすごくコンプレックスがあって……。

――そうなんですか?

勉強してないから、「私が書いていいんですか……?」みたいに思っちゃうんです。なのに私、今回1週間期間をいただいたんですけど、お話をいただいた2日後ぐらいにはいったん形になってしまって(笑)。ただ決して適当に書いたわけじゃなくて、言いたいことはちゃんと言っているんです! それこそ特に2番の歌詞は、自分のこの1年の経験をもとに書かせてもらいましたし……。

――どんな経験をもとに?

去年、それまでの夢がすごい勢いで叶ってしまって、逆にこの1年は「次の夢って、今あるかな?」みたいに考えたこともあったんです。そのなかで感じたのは、「夢がある人だけが、偉いわけじゃない」っていうことで。やりたいこととか夢を探している人たちもいっぱいいて、その人たちも頑張っていると思うんです。

だから、夢を見つけた人たち以外にも寄り添ったものにしたいな……ということは、ずっと頭にありました。もちろん提出後にも多少のやり取りはありましたけど、おかげでストレートに、聴いてくれている人を応援したいなという思いのこもった歌詞ができました。

――久しぶりにアニメの主題歌を担当した今、YURiKAさん自身は新しい目標などもお持ちかと思います。ご自身は、今後どういうものを目指して活動していきたいと思われていますか?

この1年を経て、今回の「Le zoo」ではアニメ盤でもアーティスト盤でもいろんな表情の曲を出させてもらったことで、改めてライブや歌うことの楽しさをすごく感じたんです。だから……やっぱり、ツアーをやりたいですね(笑)。アルバムを引っさげたりして、がーっと全国を回って……もちろん、一つひとつのアニメ作品と向き合えるのが私の強みだとも思うので、それぞれの出会いを大事にしながら歌っていきたいです。

あと、またKeyさんの歌もうたいたいですし(笑)、何度も言っているんですけど麻枝准さんの曲も歌いたい! こういう細かい夢はいっぱいあるので、ひとつずつ実現していけるようにこれからも頑張ります!

○●YURiKA「Le zoo」

価格:1,500円(税抜)
■アーティスト盤収録曲
「Le zoo」
「baby baby flow」
「メイキット!」
「Le zoo」(Instrumental)
「baby baby flow」(Instrumental)
「メイキット!」(Instrumental)
仕様
・アーティスト撮り下ろしジャケット
・ジュエルケース
■アニメ盤収録曲
「Le zoo」
「眠れる本能」
「マーブル」
「Le zoo」(Instrumental)
「眠れる本能」(Instrumental)
「マーブル」(Instrumental)
仕様
・アニメ描き下ろしジャケット
・ジュエルケース(須永兼次)

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