堂本剛、V6、亀梨和也、Kis-My-Ft2……『2019 FNS歌謡祭』第2夜出演ジャニーズに見る“覆す力”

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2019年12月11日 06:01  リアルサウンド

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堂本剛

 今夜放送の『2019 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)第2夜。世代を超えて愛されるジャニーズアイドルたちが多数出演する中で、堂本剛、V6、亀梨和也、Kis-My-Ft2のベテラン勢に注目したい。長年、第一線で活躍してきた彼らの歩みを振り返ると、共通して“覆す力”が見えてくる。


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■アイドルの可能性を広げていく堂本剛


 ジャニーズ=キラキラな王子様なイメージを、いい意味で覆したのがKinKi Kidsだった。明るくてフレッシュなジャニーズソングが歌われる中で、マイナーコードの楽曲が似合う憂いを帯びた歌声。バラエティでは気怠げな言動で笑いを誘い、コンサートでも甘いセリフやファンサービスよりも、まるで漫才のようなファンいじりで盛り上がる。「世間には僕だけがよく“変わってる“って取り上げられるけど、もともとKinKi Kidsがジャニーズ事務所の中で浮いている。浮いてるということはオリジナリティがあるということだから、とても光栄なことなんですけどね」と、雑誌『音楽と人』のインタビューで堂本剛も語っている通り、ジャニーズにおいて彼らの存在はまさに唯一無二だ。


 2002年より、KinKi Kidsという枠に収まらない個性を、さらにソロ活動で広げてきた2人。堂本剛は、より感覚を楽しむ音楽へと掘り下げ、FUNKというジャンルに出会う。「TUTUTU……」と口ずさむうちに出来上がったという「TU FUNK」を筆頭に、ガチガチになった頭や、頑なになった心を、ぐんにゃりとさせてくれる作品も多い。そんな堂本剛が、今夜のステージでは生放送中にオリジナルソングを制作するというから興味深い。


 Gakushiなど信頼をおくミュージシャンから、ジェニーハイのくっきー!、ゆりあんレトリィバァなど、ユニークなメンバーで結成された「堂本剛FUNK同好会」との化学反応も予測不可能だ。


 昨年9月に『SONGS』(NHK総合)でも、大泉洋に捧げる即興FUNKを披露した堂本剛。バンドメンバーや観客とリズムに乗りながら、「oh spring YO、mojya mojya」と楽しげに制作していく姿が印象的だった。何が飛び出すかは、音を出してみないとわからない。脳みその中では答えのでない何かにぶち当たっている人にこそ、堂本剛のライブは必見だ。


■デビュー25周年を目前に控えたV6


 1995年のCDデビュー以来、メンバーの入れ替わりがなく歩んできたV6。変化の激しい芸能界で、本当に稀有なグループだ。『学校へ行こう!』(TBS系)で人気を博し、学生たちの“先輩的お兄さん“というイメージが強かったからか、坂本昌行(48歳)、長野博(47歳)、井ノ原快彦(43歳)、森田剛(40歳)、三宅健(40歳)、岡田准一(39歳)と今一度彼らの年齢を聞いて、驚きを隠せない。たしかに、舞台やミュージカル、ドラマ、映画、バラエティと、各方面で活躍する彼らは大御所と呼ばれるにふさわしい域にいる。だが、6人集まるとキャッキャッと実に無邪気で、その姿はデビュー当時から変わらないのだ。


 俳優として大ブレイクした岡田も、V6の中ではいつだって手のかかる末っ子だし、情報番組『朝イチ』で絶大な信頼を得た井ノ原も、V6の中では朝からハイテンションで騒がしい兄ちゃん扱い。坂本と長野が父と母、井ノ原を筆頭に4人兄弟のような関係図がずっと変わらない。だからこそ、親戚を見ているような身近さに通じているのかもしれない。歌っても、踊っても、喋っても……いつだって安定感があるV6のパフォーマンス。彼らはいつだって当たり前のように、飄々とこなしてしまうから、日頃はなかなかその凄さを感じることは少ない。それに気付かされたのは、2015年の歌番組『ベストアーティスト』での全員バク転を披露したときだった。改めてその衰えを知らない身体能力に、拍手喝采が上がったのを覚えている。


 アイドル=少年たちの瞬間的な輝きという概念を覆し、長い人生を共に楽しむものへ。結婚などのライフイベントにおいても、ファンと喜び合える仲へと昇華させたのも、彼らの偉業と言えそうだ。今夜のライブでも、キレのあるダンスにトーク、そして三宅健がラジオで予告した「わかる人にはわかるやつ」というアイドルサインも飛び出すだろう。その安定感抜群のパフォーマンスの凄みを、改めて感じてほしい。


■今年、満を持してソロデビューした亀梨和也


 KAT-TUNは、ジャニーズ=優等生なイメージが定着していく中で、オラオラ系の立ち位置を作り出したグループ。2001年にグループを結成し、2002年には初の単独コンサートを実施。2006年にはCDデビュー前のアーティストとして初の東京ドームコンサートを成功させるなど、その活躍も彼らのヤンチャぶりに拍車をかけたのだろうか。スタッフや先輩たちにも叱られてばかりだったというエピソードが数多く語られている。


 かつて舞台で共演した堂本光一も彼らの様子を、お互いに若くて尖っていたと前置きしながら「幕が下りた後に“おい、お前ら!“と言ったことが、1度、2度、3度?ほどあります」と話す。上田竜也も当時を振り返り「光一くんの立場なら、絶対にぶん殴ると思う」と自らも大反省するほど。


 そんなギラギラしたメンバーが集まって、おとなしくアイドルをしているはずもなく、1人、また1人とグループを去っていった。前例のない不良スタイルを貫いてきたKAT-TUNだからこその苦悩。だが、そんな展開もまたKAT-TUNならではの不屈の精神で乗り越えた。充電期間を経て1人ひとりのキャラクターは確固たるものになり、メンバー脱退を率先して話題にするなど、他のアイドルグループにはないぶっちゃけスタイルも確立。彼らは立ち上がるたびに強くなっていくことを印象づけた。


 亀梨和也、中丸雄一、上田竜也の3人のKAT-TUNは、今までで一番強い何かを掴んでいるように見える。そのホームグラウンドが整ったのを見て、今年ソロデビューを果たしたのも、きっと意味があるはずだ。彼の人気と実力なら、いつだってできたはずなのだから。ソロ曲「Rain」は彼の中に蓄積されたものが、歌の雨になって心ににじむ。「前髪とかも目ぐわーっと隠して、とにかく内から出るもの、内から出るエネルギーを大事にレコーディングしました」とラジオで語っていた亀梨。KAT-TUNの亀梨和也としてのウェットな歌声とも、山下智久とのユニットで見せるアイドルらしい歌声とも異なる、深く、根強い、弱さ、大人の男の乾きを表現するソロアーティスト亀梨和也を、今夜も見せてくれるに違いない。


■数々の逆境をチャンスに変えたKis-My-Ft2


 Kis-My-Ft2は、常にピンチをひっくり返して成長してきたグループだ。長い長い下積み時代。後輩メンバーが次々とCDデビューを決めていく中で、鍛え抜かれた精神力からだろうか。ようやく掴んだ念願のデビュー後も、ネット検索で「Kis-My-Ft2」と入力すると「ブサイク」と多くヒットしてしまう世知辛さを経験。しかし、それをも逆手にとってバラエティ番組『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)をスタート。さらに、シビアなメンバー間格差さえもネタにした派生ユニット『舞祭組』で多くのファンの心を掴んでいく。


 まるでスポ根マンガのように、次々と彼らを試すような壁が立ちはだかってきたのが、Kis-My-Ft2の歴史だ。きらびやかなスター街道とは違う泥臭い彼らのアイドル人生。“成功するための唯一の方法は、成功するまで止めないこと“を地で行くようなスタンスは、効率を求めるがゆえに、回り道を避けがちな現代において貴重な輝きを放つ。荒波に揉まれ、がむしゃらに、ひたむきに、生きる彼らを誰もが応援せずにはいられない。それは芸能界の先輩たちも同じようだ。中居正広、濱口優(よゐこ)、サンドウィッチマンなど、数々のアニキたちが彼らの背中を押してきた。


 リアルな迷いや葛藤もエンタメにしてきた彼らだからこそ、最新曲「Edge of Days」を始めとしたハードなサウンドがよく似合う。また、逆境においても諦めずに続けることで、その先に光のような応援や共有する希望が待っていることも知っている彼らは、ハートウォーミングな楽曲もにこやかに歌う。ハードをハートに覆し続けるKis-My-Ft2のライブに、今夜も勇気を貰えそうだ。(佐藤結衣)


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  • Kis-My-Ft2も、ベテランの域に来たんだね。当たり前かもしれないけど、なにかと試されること多いのは確か、番組でね。新曲気に入ってるから、楽しみにしたい。
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