BLACKPINKはライブを重ねるたびに進化していくーー東京ドーム公演に感じた自信と貫禄

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2019年12月11日 13:52  リアルサウンド

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BLACKPINK

 ガールクラッシュ的な魅力を振りまいて絶大な支持を得る4人組・BLACKPINKが2019年12月4日、ワールドツアー『BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA』の東京公演を開催した。場所は5万5千人を収容できる東京ドーム。アリーナ席から天井近くの客席までファンで埋めつくされた光景は圧巻だ。ワールドワイドな人気を誇る存在とはいえ、これほどまでの動員力があるガールズグループはそういないだろう。飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女たちがどんな華麗なパフォーマンスを見せてくれるのか――。そんな期待が膨らむ中、注目のステージは幕を開けた。


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 開始予定時間を少し過ぎ、場内をくっきり照らしていたライトが落とされると、涼しげな音色が鳴り響く。オープニングのナンバーは、代表曲のひとつである「DDU-DU DDU-DU」だ。「BLACKPINK!」のシャウトとともに立ち上がる火柱で、会場内は一気にヒートアップ。淡いピンク色に輝くライトスティックを一生懸命に振るファンの姿を見たメンバーたちは、その熱い反応に応えようとアグレッシブなダンスを披露する。


 続く「FOREVER YOUNG」ではトライバルな香り漂うサウンドを展開。穏やかなアコースティックナンバー「STAY」で場内を一旦クールダウンさせた後は、キレのいいボーカルとラップがスリリングに交差する「WHISTLE」でオンリーワンの魅力を見せ、観客を彼女たちの世界へと引き込んでいく。


 メンバーがそれぞれ洋楽のカバー曲やオリジナル曲などを歌ったスペシャルコーナーを終え、再びグループのステージへ。マーチングバンド風の重たいリズムに導かれるように「Kill This Love」が始まると、歓声がひときわ大きくなった。4月にオリジナルバージョンが配信され、10月に日本語バージョンをリリースしたこの曲は、BLACKPINKの(日本を含む)海外での人気を不動のものにしたキラーチューンだ。それゆえに盛り上がるのも当然だ。


 さらに「Don’t Know What To Do」でファンの興奮は高まっていく。愛する人への切ない想いをしっとりと歌い上げるEDMナンバーだが、バンドの生演奏によってよりパワフルなサウンドに仕上がった。このようにソフト&メロウかつアリーナでも映える曲を持っているのが、BLACKPINKの強みのひとつだろう。


 ライブが順調に進むにつれて、徐々にリラックスしたムードに。「REALLY」のイントロが流れると、にこやかな表情で客席を見つめながら動き回るメンバーたち。間髪を入れずに始まった「SEE U LATER」では、8人のバックダンサーとともにエスニックなサウンドに乗って楽しげに踊った。そんな姿を通して伝わってくるのは、夢をあきらめずに常にがんばってきた4人の自信と貫禄だ。


 BLACKPINKはビジュアルやサウンドをはじめ、いたるところからガールクラッシュらしさを感じ取れるが、「Kick It」は特にその傾向が強い。今回のステージでも凜とした表情で〈迷いはない/見つけに行こう 自分を〉と力強く歌う彼女たちを、多くの女性ファンが憧れのまなざしで観ていた。


 約1年ぶりとなる注目のワンマンライブもいよいよ終盤へ。「残り2曲です」とのアナウンスにどよめきが起きた直後、人気曲「BOOMBAYAH」と「AS IF IT’S YOUR LAST」を披露すると、東京ドームはいきなり巨大なパーティー会場となった。ピンクの光が揺れる中、「ブンバヤ!」と5万5千人が叫ぶと、バンドの演奏もさらに熱く激しくなっていく。その勢いはアンコールステージまで続き、一向に冷める気配がない。


 ラストの1曲は「Hope Not」。アコースティックギターと4人のボーカルによるシンプルなバラードを最後に、メンバーたちはファンとの別れを惜しみながら舞台から消えていった。


 だが、終演後も客席の興奮は収まらない。「とてつもなく凄いものを観た」。会場を訪れたほとんどの人たちがそんな気持ちになったのだろう。BLACKPINKは今年4月、世界最高峰の野外フェスティバル『Coachella Valley Music and Arts Festival 2019』(以下、『コーチェラ 2019』)に初参加したが、このときはバンドによる生演奏で従来のダンスポップの枠に収まらない多彩なパフォーマンスを繰り広げた。今回の公演も基本的には『コーチェラ 2019』と同様のアプローチだったものの、奏でるサウンドはさらに迫力を増し、今まで以上に各メンバーの一挙手一投足に引き込まれた。


 ライブを重ねるたびに進化していくBLACKPINKは、やはり最新の姿が常に「最高」なのだ。今回の公演を観た誰もがそれを痛感したことだろう。早くも2020年1月4、5日の京セラドーム大阪と、2月22日の福岡ヤフオク!ドームの公演が待ち遠しくなってくる。(まつもとたくお)


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