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錦秋の京に根付を愛でる 江戸時代から続く伝統美が一堂

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2019年12月13日 05:41  OVO [オーヴォ]

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写真詩仙堂=京都市左京区、11月23日
詩仙堂=京都市左京区、11月23日

 秋の京都といえば、紅葉に尽きるだろう。全国各地や、欧米・アジア地域から大勢の観光客が、1年に1回の期間限定の、あちこちに描かれた自然の「絵画」を見にやってくる。それは、「錦秋」という言葉がぴったり当てはまる。

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 そんな季節を迎えた京の街で、紅葉狩りの喧噪(けんそう)を離れ、江戸時代から続く伝統芸術の一つである、根付(ねつけ)を愛でるため、2007年9月にオープンした公益財団法人「京都清宗根付館」(京都市中京区)を訪ねた。

 清宗根付館には、京都府向日市に本社がある佐川印刷の木下宗昭・代表取締役会CEOが若い頃から収集した、5000点を超えるコレクションから、約400点を常時展示している。ここには、根付の歴史について研究し、大阪芸術大で博士号を取得している、高円宮妃久子さまも時々、訪れているという。

 清宗根付館は、幕末に京都の治安維持のため活躍した新選組ゆかりの寺、壬生寺(みぶでら)の東側にあり、JR京都駅からタクシーで約15分のところに位置する。江戸時代後期に建てられた京都市指定有形文化財の武家屋敷「旧神先(かんざき)家住宅」を修復し、根付の美術館として開館。武家屋敷は、京都市に現存する唯一のものといい、これだけでも一見の価値があるだろう。

 そもそも、根付とは何か? 実は私たちの生活にとても身近なものだ。スマートフォン全盛の現代はあまり見られなくなったものの、「ガラケー」と呼ばれる従来型の携帯電話にぶら下げていた、キャラクターなどが付いたストラップの元祖が、根付なのだ。

 清宗根付館の伊達淳士・主任学芸員によると、根付は江戸時代、大名から庶民まで、主に男性の間で流行したおしゃれ小物で、印籠(いんろう)やたばこ入れと組み合わせて、着物の帯にぶら下げていた。ひもを帯に挟んで、腰から下げた印籠などを落とさないようにした。江戸根付、京都根付、石見(いわみ)根付など、全国各地方に根付いていたという。

 根付は象牙、鹿の角、つげ、陶器、金属などを素材とし、日本人独特の手先の器用さで精巧な彫刻が施されている。江戸時代に作られたものが「古根付」「古典根付」、明治から昭和初期までの作品が「近代根付」、昭和18年以降のものが「現代根付」とそれぞれ呼ばれている。明治以降、国内にあった多くの根付が、欧米を中心に猯出瓩靴拭H術品としての高い価値を認めた海外のコレクターが積極的に買い求めたためだ。

 さて、実際に根付を触らせていただこう。

 伊達さんから特別な許可を得て、まずは、「現代根付」の素材となる象牙を持たせてもらった。「意外に軽い」というのが第一印象だった。この4分の1ほどにカットされた象牙に、作家たちが下絵を丁寧に描く。緻密な彫刻の作業を進めながら、最終的に色をつけ、作品に仕上げる。

 「作品は、手のひらで味わうように触ります」と伊達さんはアドバイスしてくれた。特に江戸時代に作られた「古根付」は、爐覆讚瓩鯡わうという。年月が経過することで変色したり、使い込まれたことで、すり減ったりした状態をなれといい、根付の愛好者にはたまらない魅力だという。

 ただ、根付の素材となる象牙について、国際的な問題が浮上している。象牙や象牙製品の国際取引を禁止しているワシントン条約だ。日本国内での象牙売買は認められているものの、日本の巨大な市場の存在が違法な国際取引などを招くとの批判も出ている。今年8月にスイスのジュネーブで開かれたワシントン条約締結国会議では、国内市場の閉鎖も議論されたが、結局は見送られた。

 清宗根付館の代表理事を務める木下宗昭館長は「象牙問題という国際的な大きな流れに対応していくことは大切なことです。一方で、江戸時代から現代に連綿とつながる根付という伝統美術に価値を見いだすことも、われわれ日本人として重要なことではないでしょうか。私は根付がより高い芸術として認められるためにも、作家を育てていきたいし、この分野の学術研究を支援していきたいと考えています」と話す。

 江戸時代中期の絵師・伊藤若冲しかり、浮世絵しかり、版画家・棟方志功しかり…、日本美術作品の多くは、まず海外のコレクターらに評価され、その後、日本に犁嬪入瓩気譴襪箸いΨ晃がみられる。それは、近代以降の根付についても同じ歴史をたどっている。私たちは美術品への自分の鑑識眼を鍛えるためにも、今こそ、根付館に立ち寄ることが必要なのではないだろうか。

「京都清宗根付館」

・午前10時〜午後5時(最終入館は午後4時30分まで)

・休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌日火曜日を休館)、夏季(8月13日〜16日)および年末年始(12月29日〜1月5日)

・入館料(消費税込み) 一般1000円 小学・中学・高校生 500円

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