Little Glee Monsterが語る、Earth, Wind & Fireとの共作で得た自信「自分たちが目指すところはこれなんだ」

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2019年12月13日 12:12  リアルサウンド

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 Little Glee Monsterが、5th Celebration E.P.『I Feel The Light』を12月11日に発売した。同シングルには、Earth, Wind & Fireとコラボした表題曲をはじめ、コカ·コーラのウィンターキャンペーン2019ソングに起用されているクリスマスソング「愛しさにリボンをかけて」などの全5曲が収録されている。


参考:


 Little Glee Monsterは、2017年にEarth, Wind & Fireの来日公演のサポートアクトを務め、2018年『コカ・コーラ』イメージソング「世界はあなたに笑いかけている」でさらなるブレイクを果たした。今までのキャリアに繋がる楽曲、デビュー前に歌ったアカペラ曲「You Don’t Know Nothin’」まで収録される同作は、まさにリトグリのスタートから現在に至る軌跡が詰まった一枚に。


 年末には『NHK紅白歌合戦』3年連続出演、『第61回輝く!日本レコード大賞』では優秀作品賞で名前を連ねるなど、5年でひとつの到達点に達したといえるLittle Glee Monster。今作には、そんな彼女たちのどんな思いが詰まっているのか。Earth, Wind & Fireとの制作の舞台裏から、最新ツアーで初めて経験したというアカペラの怖さ、そして2020年へ向けての意気込みも聞いた。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】


■お互いがお互いをカッコいいなと素直に思えた(かれん)


ーー8月3日からスタートした全国ツアー『Little Glee Monster 5th Celebration Tour 2019 〜MONSTER GROOVE PARTY〜』も、11月1日から3日の国立代々木競技場 第一体育館3DAYS公演をもって無事終了しました。僕は昭和女子大学人見記念講堂でのツアー初日と11月3日のツアーファイナルを観させていただきましたが、正直セットリストがあそこまでガラッと変わるのか! と驚かされました。


MAYU:そうですよね(笑)。


芹奈:ホールツアーの時点で内容的にはけっこう完成されていたので、代々木では何を見せるのかについてはみんなで何度も話し合ったし、だいぶ悩んだりもしました。そもそも、改修後のこけら落とし公演ですしね。それで、話していくうちに「私たち、オープニングで映像とか使ったことなくない?」って話になって。ほかのアーティストの方のライブを観ていると、本人が登場する前に映像が流れていることが多いですけど、リトグリはそういう演出を使ったことがなかったので、「だったら、今回は壮大に登場してみる?」ってことで代々木では映像を新たに使いました(笑)。


かれん:ホールツアーのラスト(10月27日の北海道カナモトホール)から代々木までそんなに日数もなかったですし、自分たちが混乱しないようにというのもあったので、セットリストの入れ替えはあったけど選曲自体はそこまで大きく変えることなく、そのうえで見せ方を変えたりとかして、私たち自身も大いに楽しみました。


ーーオープニングから「ECHO」の迫力にやられましたし、改めてああいった大会場で歌うべき曲だなと実感させられました。特に今回のツアーでは、皆さんのソロコーナーが本当に個々の特色が表れたものになっていて。前回のインタビュー(※参照:Little Glee Monsterが語る、『ECHO』で追求した“力強さ”と5周年迎えるグループのこれから)ではツアー中だったので詳細には触れられませんでしたが……皆さん、やりたい放題でしたね(笑)。


全員:(笑)。


芹奈:やっぱり1人ひとりが全然キャラが違うし、やりたいこともそれぞれ違うものを持っているので、5周年のタイミングにあのソロコーナーを設けたことは私たちにとってもすごく大きかったなと思います。


かれん:それぞれ個々に進めていたので、実際ほかのみんなが何をやるのかもリハーサルで合わせるまではお互い知らなくて。でも、そこで初めて観たときにお互いがお互いをカッコいいなと素直に思えたし、そう思える関係性が本当に素敵だなと再確認できました。


ーーあの5人の色が濃厚に表出したソロコーナーがあったからこそ、再び5人が揃って「書きかけの未来」を歌うときの頼もしさが、より強く表れていたと思うんです。僕はあの瞬間こそが今回のツアーの肝だと思ったくらいですから。


manaka:そう言っていただけて、本当にうれしいです。


褒めて自信をつけてくれるやり方は初めての経験(芹奈)
ーーツアー終了から間髪入れずに、5曲入りの5th Celebration E.P.『I Feel The Light』が12月11日にリリースされます。タイトル曲はツアーでもメドレーの一部として披露されましたが、またまたすごい曲が完成しましたね。


芹奈:ふふふ(笑)。Earth, Wind & Fire(以下、EW&F)と一緒に。


ーーEW&Fは1970年代から第一線で活躍するアメリカのR&B/ファンクバンドで、この手のジャンルを志すアーティストにとって避けては通れないレジェンド的存在です。リトグリは2017年5月のEW&F日本武道館公演で共演を果たしていますが、あれからもう2年半も経ったんですね。


芹奈:まさか、またこうやってご一緒できて、しかも一緒に作品を作れるとは思ってもみなかったので。あの日を最後にもう会えないんじゃないかと思ってましたし、こうやって一緒に曲作りできたのは本当に夢のようですね。


ーーレコーディングは今年の6月にLAで行われたそうですが。


かれん:LAに行ったことは明かしていたんですけど、なんのために行ったのかは発表していなくて。ファンの皆さんは「なんでリトグリはLAに行ったんだろう? 遊びに行ったのかな?」って、めっちゃ気になっていたと思うんです(笑)。


ーーこのコラボレーションは、そもそもどういう経緯で決まったものなんですか?


かれん:2年前の武道館でサポートアクトをさせてもらったときに、フィリップ(・ベイリー)がポロっと「一緒に曲を作れたらいいね」みたいなことを言ってくれたんですけど、私たちは本当にそれが実現するとは思ってなくて。


芹奈:お世辞じゃないですけど、その場のリップサービスで言ってくれたのかなと思ったら、本当に実現して。


かれん:しかも、最初は日本で私たちが歌を入れて、LAで行うバックトラックのレコーディングを観に行くって話だったんですけど、フィリップが歌詞を書いてくれるってことになったことで当初の歌詞から変わったので、私たちもLAでレコーディングすることになったんです。私たちと同じ目線で真剣に接してくださって、なおかつめちゃめちゃフレンドリーで優しくて。すごく恵まれた経験でした。


ーー海外レコーディングもこれが初めてでしたよね。日本でのレコーディングとの違いは感じました?


芹奈:エンジニアの方がどのテイクに対しても「最高!」とか「めちゃめちゃ良かったよ、今の!」とか、絶対に褒めてくれるんですよ。


ーー逆に日本だと「もっと良くなるんじゃない? もっとできるんじゃない?」と言われることが多い?


芹奈:はい(笑)。そうやって褒めて自信をつけてくれるのは、本当に初めての経験で。実はレコーディング前に、フィリップの奥さんから「君たち、全然自信がないね。もっと自分がランウェイで歩いているようなスーパースターだと思って歌ってみて」と何度も言われていたんです。だから、どのテイクに対しても「最高だ、すごくパーフェクトだ」と自信をつけてくれるやり方は、日本と全然違うなって思いました。


■レジェンドの方たちが対等に向き合ってくれたことがうれしくて(MAYU)


ーー気持ちよく歌うことで、さらにいいテイクが生まれることを知っているんでしょうね。アサヒさん、MAYUさんはいかがでしたか?


アサヒ:スタジオの空気感も日本とは全然違っていて、最初は緊張でガチガチだったんですけど、現地のスタッフさんが私たちに合うマイクを調達してくださって。今まではそこまでこだわったことがなかったので、とにかくすべてが新しい挑戦でした。


MAYU:私はまずLAに行くこと自体がプレッシャーすぎて、そういう緊張を抱えたままLAに向かったんですけど、現地では自分たちが生まれる前からのレジェンドの方たちが自分たちと同じ目線で、対等に向き合ってくれたことがすごくうれしくて。レコーディング中に直接指導してもらうことも含めて、何もかもが初めてだらけだったので、全部がいい経験になったと思うし、この先の自分たちにとって自信につながるのかなと思っています。


ーーそういう新鮮さがたくさんあったと。manakaさんはどうでしょう?


manaka:フィリップの奥さんがボイスコーチとして、体を動かすところから一緒にレッスンしてくれて、そこからレコーディングに入っていったんです。そこで最初に「こんな感じで」と「I Feel The Light」のサビを歌ってくれたんですけど、パワフルとか声量がとかそういうことじゃなくて……仮歌として軽く歌ったくらいなのに、ものすごい迫力で。個人的には「I Feel The Light」をこの感じで歌えたら最高にカッコいいなっていう、まさにお手本みたいな歌だったんですよ。ラフに歌ってくれた時点で、私の中で120点みたいなクオリティで返ってきたことで、自分たちが目指すところはこれなんだなって気づかされて。


ーーそういうことを気づけただけでも、大きな経験だったと。


manaka:そうなんです。自分はこう歌いたいという目標があったらどんどん頑張れるタイプなので、LAでフィリップの奥さんがパッと歌ってくれたあの瞬間は、本当にかけがえのないものになりました。


ーー2019年は「君に届くまで」でJ-POPのど真ん中に挑戦したかと思えば、「ECHO」ではロック色の強いパワフルな楽曲にチャレンジし、今回の「I Feel The Light」ではLAでEW&Fというレジェンドとともに王道のファンクミュージックにトライした。リトグリがこの5年で積み重ねてきたものをいろいろ放出した1年になりましたね。


かれん:本当にそうなりましたね。ここまで色の違う曲を出せたことは、私たちにとっても大きな手応えになったと思います。


1人ひとりのパートを解体して聴いてもらいたいぐらい(manaka)
ーーEPにはこのほか、すでにコカ・コーラのウィンターキャンペーンソングとしてオンエア中の「愛しさにリボンをかけて」も収録されています。こういう形で再びコカ・コーラのCMソングに携わることができるのも、昨年「世界はあなたに笑いかけている」で積み重ねた実績があったからこそですよね。


manaka:本当にそうですね。実はこの曲、コーラスがめちゃくちゃ複雑なのでレコーディングにものすごく時間がかかったんですよ。音と音がぶつかる箇所も多いし、レコーディング中で自分がどこを歌っているのか不明になるくらい複雑で、「どう重なり合うんやろう?」みたいに不安になることもあったんですけど、いざ完成したらすごく綺麗なコーラスに仕上がって、同じ20代前半の女性グループでこれだけ複雑なコーラスを歌っているのって、世界中探しても少ないんじゃないかと思うくらいの内容になったと思います。で、レコーディング後にライブで披露するためのリハーサルを始めたんですけど、それがもう壮絶で……。


アサヒ:本当に難しくて(苦笑)


manaka:個々が華やかでいい曲なんですけど、できることなら1人ひとりのパートを解体して聴いてもらいたいなって思うくらいです(笑)。


芹奈:本当にね。聴いた人が「あの子ら、ほんまに頑張ってんねんな」って絶対に思うんじゃないかな(笑)。


manaka:100人中ひとりは絶対に泣いてくれると思う(笑)。


かれん:それくらい大変なんですよ。


芹奈:しかも、レコーディングは厚みを出すために5声だけじゃなくていろんな声を加えたりしているから、そのぶん時間もかかったし。


MAYU:今までの「世界はあなたに笑いかけている」や「君に届くまで」も“実は大変シリーズ”楽曲だったんですけど、これが第3弾として新たに加わりました(笑)。


芹奈:しかも、難しさが更新されてるし!


MAYU:そう! 更新されているから困るんですよ(笑)。けど難しいぶん、完成したときの達成感はたまらないんですよね。特にDメロ部分はリトグリにしかできないコーラスの表現だと思うし、歌えるようになるとめちゃめちゃ楽しいんですよ。


アサヒ:それに、こういうクリスマスソングってリトグリにはこれまでなかった気がするので、これからの季節にじっくり聴いて、心から温まってほしいです。


芹奈:同年代の人たちのとっての、クリスマスソングの定番になってほしいですね。


■「アカペラはこういう怖さがあるんだよ」(アサヒ)


ーーさらに、このEPにはグループの原点でもある「You Don’t Know Nothin’」も収録されています。この曲は90年代に活躍したアメリカの4人組R&Bグループ For Realのアカペラナンバーで、先日のホールツアーでもアンコールで披露されていました。以前のインタビューでも、皆さんがリトグリのオーディションで課題曲として歌ったとおっしゃっていましたが、デビュー5周年というこのタイミングに正式にレコーディングしたことは皆さんの中にも感慨深いものがあったんじゃないでしょうか。


かれん:本当にそうですね。オーディション当時は難しすぎて全然歌えなかったですし、すごく悔しい思いもしたんですけど、こうやって5年以上経った今、成長した姿で皆さんの前で歌えて、しかもツアーで仕上がった状態のまま一発録りで音源として残せたのは、すごくありがたいことですよね。


ーーこれ、一発録りなんですか!


かれん:そうなんです。5人別々のレコーディングブースに入って、一斉に歌ったので、ツアーで蓄積していったものがギュッと詰まったテイクになったんじゃないかな。私たち自身も好きな曲であり思い出の曲でもあり、大切な曲でもあるので、5周年のこのタイミングに歌うことにはすごく大きな意味があると思います。でも、実はツアー中に一回だけ、この曲の途中で止まってしまったことがあって。


ーーえっ?


かれん:全員の時が一瞬にして止まりました(笑)。そこでもう一回最初からやり直したんですけど、それぐらい危険と隣り合わせの難しい曲なんです。


芹奈:あれってどこの公演やったっけ?


アサヒ:仙台(9月22日の仙台サンプラザホール)だったよね。


manaka:今までそんな危機を感じたことはなかったですし、歌っていて「気持ちいいな、楽しいな」って感覚だったのに、急にどこを歌っているのかわからなくなってピタッと止まってしまったという。


MAYU:あの瞬間、何が起こったかわからなかった(苦笑)。


manaka:私たち、こんな危険なことをやってるんだ! って初めて思った(笑)。


アサヒ:MCで言ったもんね、「アカペラはこういう怖さがあるんだよ」って(笑)。


芹奈:「みんなに知ってほしかったんだよ」ってごまかして(笑)。で、ライブ後にTwitterを覗いてみたら「やっぱりアカペラって怖いものなんだって知りました」って声が多くて。


manaka:みんなネタにしてたよね(笑)。


かれん:でも、中には「2回も聴けてうれしかった」という声とか「新鮮でした」と言ってくださった方もいて。改めて「ライブはナマモノ」だということを理解してもらえたのかなと。


manaka:でも、5年以上やってきて初めてだったよね、アカペラが途中で止まっちゃったの。


芹奈:今でも怖いし、もう嫌(苦笑)。「えっ?」っていうみんなの顔を思い出すもん。


MAYU:今話していても、鳥肌立ってきた(苦笑)。


ーーこのほかに、去年の横浜アリーナ公演から「YOU’VE GOT A FRIEND-Live on 2018.02.03-」、先日のツアーから「Monster Groove Medley-Live on 2019.09.18-」と2つのライブテイクも収録。「YOU’VE GOT A FRIEND」はしっとりと大人っぽいアコースティックアレンジが印象的です。


芹奈:横浜アリーナ公演ではあのアコースティックパートがすごく好きで、個人的には音源として形に残せたらいいなと心の片隅で思っていたので、こうして収録できて本当にうれしいです。


ーー同公演はDVDやBlu-rayとしては発売済みですが、映像だと絵のほうに意識を持っていかれ気味なので、CDだとまた感じ方が異なりますよね。


芹奈:そうなんです。私は特に後半の、サックスとmanakaとかれんのセッションが最高に気に入っていて。あそこは本当にアドリブだから、ぜひ音だけで楽しんでもらいたいですね。


manaka:改めてそう言われると、恥ずかしい(笑)。


かれん:私、自分がどういうふうに歌ったのかを全然覚えてなくて。久しぶりに聴いたら「こんなふうに歌ってたんや」って、すごく恥ずかしくなりました(笑)。


ーーメドレーの音源も、現時点ではここだけでしか聴くことができない貴重なものですし。


manaka:今回のツアーはメドレーからライブが始まったんですけど、初めて披露した日、〈I Feel The Light〜〉と歌った瞬間に私たちが舞台に上がって照明が当たるという演出で「あ、ステージにいる!」って気持ちが高まったんですよ。「I Feel The Light」から始められてよかったなって、歌いながら感じられためっちゃ思い出深い曲なので、こうしてEPに収録できたのはうれしいですね。


■「まだやってない」ことに今、まさに挑戦しかけている(芹奈)


ーーそういえば、年末には『NHK紅白歌合戦』3年連続出場と『日本レコード大賞』優秀作品賞と、おめでたいことが続きます。改めておめでとうございます。


全員:ありがとうございます!


ーーすごいですね、ふたつの大きな年末の風物詩に関わることができて。しかも、レコ大の優秀作品賞は初めてですよね。


かれん:そうですね、去年は「世界はあなたに笑いかけている」で作曲の丸谷マナブさんが作曲賞を受賞されて。自分たちが一番びっくりしています。


ーーデビュー5周年のタイミングにこういう形で評価されたことこはありがたいと同時に、気持ち的に引き締まるものもあるかと思います。すでに「大賞を狙うぞ!」という意欲も芽生えているんでしょうか。


芹奈:いえいえ(笑)。


かれん:あの場で歌えることだけでも光栄なことです。


ーーそのほかにも年末は『COUNTDOWN JAPAN 19/20』への出演(12月28日)もあり、翌日からは紅白のリハーサルやレコ大があって、大晦日に紅白本番。慌ただしい年末になりましたね。


芹奈:それこそ5年前の私たちは、年末は実家に帰るのが当たり前になっていたから、こうやって忙しくなるのはすごくうれしいです。特にタイミング的にもこの1年を振り返る時期でもあるので、改めて気合いも入りますし、と同時に来年も年末は忙しくしていたいなってすごく思いますね。


ーー最近は楽曲的にもいろんなタイプに挑み、技術的にもより難しいことにチャレンジし続けていますが、デビュー6年目のリトグリはここからどんな曲に挑戦していくんでしょうね。


芹奈:「これはまだやってない」というものに今、まさに挑戦しかけているので、次の発表を楽しみに待ちつつ、この先もリトグリのことを見守っていてほしいなと思います。(西廣智一)


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