『ひるおび!』と恵は菅官房長官応援団だった! 「桜を見る会」問題のなか大擁護特集 恵は会食の噂を裏付ける露骨なヨイショ

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2019年12月13日 14:50  リテラ

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リテラ

12月6日『ひるおび!』で菅擁護を連発した恵俊彰

 先日、田崎史郎氏がワイドショーに出なくなった結果、安倍応援団番組『ひるおび!』(TBS)までもが、まともな安倍政権批判ができるようになっているとお伝えしたが、訂正しなければいけなくなった。やはり『ひるおび!』は『ひるおび!』だった。



 12月6日の放送で、「鉄壁の菅官房長官 説明に苦心 揺らぐ政権の“屋台骨”」として一連の「桜を見る会」での菅義偉官房長官の対応について特集したのだが、これがなんと菅官房長官大擁護大会だったのだ。とくに、MCの恵俊彰の無理やりな菅擁護は、ジャーナリズムとして以前に、テレビ番組の進行としてもちょっとありえないくらい不自然なものだった。



 あらためてその異常な中身を振り返ってみよう。番組はまず例の「バックアップデータは行政文書じゃない」というトンデモ発言が菅官房長官の口から飛び出した会見をVTRで紹介するところから始まった。VTRを受けて政治アナリストの伊藤惇夫氏や共同通信社論説委員の柿崎明二氏、岩井奉信日本大学教授といったコメンテーターが経緯や今後の見通しを解説していると、唐突にMCの恵がこんなことを言い出す。



「その菅官房長官、なんと今日お誕生日でした!」



 で、モニターには菅官房長官の顔写真とともに、「鉄壁の官房長官」「1948年12月6日生まれ」という文字が映し出されたのである。



 この謎展開に、スタジオ観覧者からも失笑の声がもれていたが、恵はお構いなし。誕生日話を続け、記者会見で誕生日を祝われた菅官房長官が返した言葉まで紹介し始める。



 それは、「政権発足以来、総理のリーダーシップのもとに何をなすべきかということを明確に掲げて、ひとつひとつの課題に全力で取り組んだ結果として、7年近く過ぎたのかというのが正直な気持ちであります」というおもしろくもなんともない定型のセリフなのだが、番組はご丁寧にフリップまで用意し読み上げたあと、実際に菅が話している映像まで流した。菅官房長官の会見を報じる番組は数あれど、こんな場面をわざわざ流したの、『ひるおび!』くらいだろう。



 このあと、恵が「ここのところ、そのなんか『追い込まれてるんですか、菅官房長官』という目線でちょっと今日、お伝えしようと思うんですが」と言い出したので、ようやく「桜を見る会」問題に話が戻るのかと思ったら、さにあらず。八代英輝弁護士に向かってこう話を切り出した。



「菅官房長官というと、八代さん、ビシッと答えてらっしゃるという(イメージ)……」



 八代も「安定のガースーって言われるぐらいですからね」と阿吽の呼吸で答える。



 さらに恵は、曜日コメンテーターの三田寛子にもこう話を振る。



「ですから、伊藤(惇夫)さんに聞いたんですけれども、記者会見も多いじゃないですか。資料に自分で付箋を入れて、質問に対して的確に答えていくというのが菅官房長官という、三田さん、そういうイメージですか?」



 八代へのフリに続き、菅を褒めるコメントが欲しいというのがミエミエだろう。



 しかし、三田はこれに同調せず、「淡々といろんなピンチみたいなことがあっても乗り越えられて、冷静にすっとお話しされるイメージがあったんで、今回、見てて、モヤモヤ、不安っていうか、気もしますよねー」と、逆に最近の菅に対して「モヤモヤ」「不安」を感じるという国民の声を代弁。続いて、曜日コメンテーターでマーケティングアナリストの原田曜平氏からも「起きている出来事がめちゃくちゃレベルが低い」「バックアップできないとか破棄しちゃったとか、普通の会社だったら叩かれて終わり」「言い訳なんてほんとはない」と手厳しいコメントが発せられた。すると、恵はどちらの発言もまったく掘り下げず、スルーしてしまったのである。



 続いて、番組では、答えに窮した菅官房長官が官僚から何回もメモをもらい、多くのメディアが「異変」「ほころび」と報じた4日と5日の会見について取り上げるのだが、これについては恵自身が露骨な擁護コメントを連発した。菅官房長官が混乱してメモをもらっているシーンのVTRが流れると、恵はこんなふうに解説したのだ。



「非常に慎重な菅官房長官です」

「こういうことはあまりないんですよ」

「ですから、菅官房長官、とくに公文書のことになると、岩井さん、ちゃんと資料(見て)、ちゃんと言わなきゃいけませんからねと、言葉を選んでらっしゃるように感じるんですけれども」



 あの日の菅官房長官は「桜を見る会」について支離滅裂な言い訳をしているうちに混乱して答えに窮しただけなのに、「慎重」「ちゃんと資料見て、言葉を選んでらっしゃる」って、いったいどこまで菅に甘いのかという話だろう。



●菅官房長官の「桜を見る会」問題ボロボロ対応にも「安心感」「慎重」と



 このあと、番組は恵の「さあ、菅官房長官、いま追い込まれているのか、実はそうではないのか。そこらへんをちょっと見ていきましょうかね」というフリで、次のテーマに映るのだが、これまた唖然とする展開だった。



 菅官房長官が追い込まれているというのがテーマのはずが、蓮見孝之アナが紹介したパネルには「“令和おじさん”からポスト安倍へ“鉄壁官房長官”」なるタイトル。しかも、蓮見アナは、「菅官房長官は1948年に秋田県で農家の長男として生まれました。集団就職で上京し、段ボール工場に就職したそうです。また1973年、学費を稼ぎながら法政大学法学部を卒業、一度民間企業に就職するんですが……」と、菅官房長官の立志伝を滔々と述べたあと、4月に地方で応援演説した際のVTRを流しながら、“令和おじさん”としてのブレイク、人気をこう紹介したのだ。



「聴衆がおよそ1000人にまで膨れ上がりまして、菅さんの歩くところには人だかりができて、もみくちゃになっています。そして女性たちからも黄色い声があがりました。車の窓を開けて手を振っていました」



 まるで菅官房長官のプロモーション番組だが、この流れにさらに乗っかろうとしたのがやはり恵だった。VTRが終わると、恵は三田寛子にこう話をふったのである。



「三田さんが言ってたんでしたっけ? 安定感があるとか、安心感があるって」



 三田はそんなことまったく言っていないのだが、恵はどうしても「安心感がある」という褒め言葉を引き出したかったらしい。しかし、三田は今回も恵の希望には応えず「なんかそういうときもあったり、そうじゃないときもあったり」と苦笑しただけ。すると、恵はその発言をまったく無視して、「いや、でも縁の下の力持ち、支える方っていうイメージですけど、表に出てこられた1年だった」「ポスト安倍のなかに必ず名前があがる人になってきた」と持ち上げ始めた。



 さらに、八代弁護士が、総務大臣時代の菅官房長官が非常に怖かったらしいという話や、現役で空手をやっているというエピソードを紹介すると、恵は「怖いという話なんですか? 安心感があるんですか?」と、またもや“安心感”をもちだしたのである。



 その強引さは、誰かに「菅官房長官は安心感があると宣伝せよ」と指令を受けているとしか思えないほどだった。



 その後も、恵と『ひるおび!』の菅擁護・礼賛は続く。今度は「歴代官房長官のなかでも屈指の情報収集能力で、どんな質問にも完璧に答えることができる」というコメントをボードで紹介し、会見VTRを流すのだが、そこでクローズアップされたのは、菅が持っている資料に貼られた付箋だった。



「様々なキーワードが付箋に書かれていて記者から質問があったときにはさっとページをめくって答える」などと、菅がいかに周到に準備をして会見に臨んでいるか、を称賛し始めたのだ。



 ただ、ここでも菅を手放しで礼賛しようとしたのは、番組制作サイドと恵だけだった。



 恵が「どんな質問が来るかわからないから、それに対して備えるだけ備えるってことでしょう」と菅のことを大げさに感心してみせ、「原田さん、いかがですか、すごいですね」と原田氏にコメント求めたのだが、原田氏から返ってきたコメントは、「その脇のかたさをもってしても上手く立ち振る舞えないくらい、かなりレベルの低いことが起こってしまってるってことですね」という真っ当な指摘。



 そこで、今度は三田に「これだけのことを用意してるって、三田さん」と話を振るのだが、三田からも「ようするにこういう問題で、これだけボロが出てくるって、政府には、もっともっと私たちには知らない、すごいことがあるんじゃないかって逆に、すごい政治不信にならないかなと心配になりますね」と、逆に疑問を呈される展開になってしまった。



 しかし、それでも恵はめげない。こうした批判に一切同調しなかったのはもちろん、「ボロが出たっておっしゃいましたが、本当にボロなのか、慎重なのか。どっちなのか」と反論したのだ。



●「昭恵氏枠」をめぐる食い違い答弁でも、菅に話を合わせない官僚を批判



 さらに番組では、「桜を見る会」問題での「昭恵氏枠」をめぐって、菅官房長官が「ありません」と回答した直後に、内閣官房の大西証史・内閣審議官が「夫人からの推薦もあった」と回答した件を取り上げたのだが、ここでも、恵は驚きの主張を展開していた。



 なんと恵は「これだけの鉄壁な、菅官房長官がありませんって言って、その48秒後に推薦がありましたっていうのは。まず驚いたのは、官僚のみなさん方が菅さんの発言を否定したって印象にうつった」と、昭恵枠を認めた大西審議官を批判し始めたのである。



 これに同調したのが、安倍応援団の八代弁護士。八代弁護士は、「枠と推薦は違う」から菅官房長官の答弁は「ほころび」ではないと主張したうえ、「事前にここをすり合わせてどういうふうに答えるって決めていれば」問題はなかったのに、と完全に官邸側の視点で解説。



 すると、恵も我が意を得たりと同調し、そのあとしばらく二人でまるで官邸の反省会議のような会話を繰り広げたのだ。



恵「(官房長官が)『推薦ありません』って言った後は、『どうなんですか、審議官』って言われたら『すみません、調べます』とか」

八代「あるいは『官房長官が言われた通りです』とかが、普通じゃないですか」

恵「意見が違うようにまず見えないようにするべきだと思うんですが、ここ珍しい」



ようするに、恵も八代弁護士も「菅官房長官がそう言っているんだから、官僚も本当のことなんて話さずに、一緒になってちゃんと国民を騙せ」と主張していたのだ。



 いったい誰目線で政治を語っているのか、とつっこみたくなる会話だが、この日の『ひるおび!』は終始、こんな調子で、菅官房長官の立場に立って「桜を見る会」問題を取り上げ、菅官房長官を擁護しまくったのである。今回の「桜を見る会」問題では、これまでと違い多くの新聞やテレビが、菅官房長官の不誠実な答弁や食い違いを批判していた。そのなかで、ここまで無理やりな擁護と礼賛を展開するというのは、はっきり言って異常というしかない。



 しかも、その中心になっていたのはまぎれもなくMCの恵だった。本サイトはこれまでも『ひるおび!』が安倍応援団番組だと繰り返し指摘してきたが、今回の放送で、それは田崎史郎氏やネトウヨ的思想を持つ八代弁護士の問題だけではなく、MCの恵自身も安倍応援団だったことがはっきりしたと言っていいだろう。



 いや、安倍応援団というのは正確ではないかもしれない。実は恵については、前々から安倍首相よりも菅官房長官に近いという指摘がなされていた。



●「『ひるおび!』の恵と菅さんがご飯を食べた」と東国原英夫に暴露されたことも



 ご記憶の向きがあるかもしれないが、恵は、菅官房長官との秘密会食を公の電波で暴露されたことがある。2018年5月の『ゴゴスマ〜GOGO! Smile!』(CBCテレビ)のなかでいきなりコメンテーターの東国原英夫が「『ひるおび!』の恵と菅さんがご飯を食べた」と発言したのである。



 その後、本サイトが官邸関係者に取材したところ、この発言はかなり確度が高いこともわかった。



「安倍首相と違って首相動静に載らないため表面化していないが、菅さんが恵さんと会っているのはたしかでしょう。東国原さんが指摘するよりかなり前から、定期的に会食しているという情報が耳に入ってきていましたから。『ひるおび!』の番組関係者が同席したこともあったようです」



 実際、菅官房長官といえば、テレビのキャスター、コメンテーター、ジャーナリストへの会食による懐柔工作をはかっているというのは、有名な話だ。



 毎日新聞の主筆や『NEWS23』(TBS)アンカーなどを務めた故・岸井成格氏は、佐高信氏との対談本『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社)で菅官房長官の手口を証言している。これによれば、岸井氏は企業の幹部に話をするという勉強会を長く続けていたのだが、その場に菅官房長官が突然、やってきたというのだ。



「(菅官房長官は)黙って来た。誰かから聞いて知ったんだろう。最初から最後までいたよ。終わると『今日はいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました』と言って帰っていった。怖いよな」

「『どこで何を話しているか、全部知っていますよ』ということを見せているわけだ。『人脈も把握しています。岸井さんが動いているところにはいつでも入っていけますよ』というメッセージかもしれない」(『偽りの保守・安倍晋三の正体』より)



 岸井氏はそれでも菅官房長官と距離を取り続けたが、恵のほうはこうしたアプローチを受け、すっかり取り込まれてしまったということなのだろう。



 しかし、だとしても、恵や番組が自分たちから積極的にここまで露骨な菅擁護をやるというのは考えにくい。そんなところから、自民党周辺ではこの日の『ひるおび!』について、「また例のパターンで菅がやらせたんじゃないか」という見方も流れている。



「また」というのは、2018年夏、NHKのウェブサイト「政治マガジン」が「菅義偉、彼は何を狙うのか」というタイトルで大提灯記事を掲載した際も、同様の見方が流れたからだ。



「当時、安倍三選の予想が強まるなか、自民党総裁選の後に控える人事をめぐって、清和会が菅官房長官のすげ替えを要求していた。そこで、危機感を持った菅さんは官房長官留任の流れをつくろうとNHKを使ってヨイショ特集をやらせ、『安倍首相を最後まで支える覚悟』というアピールをしたという見方がもっぱらでした。今回も、菅原一秀前経産相や河井克行前法相など側近のスキャンダルで相当、追い詰められていたところに、あの『ひるおび!』ですからね。もともと永田町では、“『ひるおび!』は菅系”という見方がありましたから、当然のように『菅がやらせたとしか思えない』という声があちこちから聞こえています」(全国紙自民党担当記者)



 実際に菅がやらせたかどうかはともかく、6日の『ひるおび!』の内容と恵の進行が常軌を逸した露骨な菅擁護をおこなったことは間違いない。



 今後は『ひるおび!』を“安倍応援団番組”として単純に批判するだけでなく、菅官房長官の情報操作がそこかしこに入っていないかも、チェックする必要があるだろう。

(編集部)


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