Apple 川崎オープン、担当役員が語る「アップルストアのあるべき姿」

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2019年12月13日 18:22  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
12月14日の土曜日朝10時、JR川崎駅に直結する大型ショッピングモール「ラゾーナ川崎プラザ」に新しいアップルストア「Apple 川崎」がオープンします。どのようなコンセプトで店づくりをしたのか、Apple 川崎ならではの魅力はどこにあるのか、アップルストアを統括する米Appleのディアドラ・オブライエン上級副社長にインタビューした内容を交えつつ、チェックしていきたいと思います。

○天井は高くないが、アップルストアらしさはそのまま

高い天井や巨大なガラスウォール(ガラス製の外壁)を備えるApple 表参道やApple 福岡などの店舗とは異なり、Apple 川崎は大型ショッピングモール内に入居している店舗、という大きな違いがあります。でも、扉の中に足を踏み入れると、いつものアップルストアと同じ雰囲気に包まれました。オブライエン氏も「世界各国のアップルストアと同じインテリアデザインに仕上げました」と語ります。

特にオブライエン氏がアピールしたのが、新しいアップルストアの特徴となっている「フォーラム」の存在。木で作られたキューブ型の腰掛けや革張りの腰掛けをいくつも用意し、目の前にある大きなビデオウォールでToday at Appleのセッションを楽しめるようにしています。セッションが開かれていないときは、来店客がスタッフと相談する際などに使うほか、自由に休憩することも可能。人が集うスペースを店舗の中心に用意する、というお店作りはApple 川崎にもしっかり受け継がれていました。

○プログラミング講座を呼び水に家族をいざなう

都心部にあるApple 銀座やApple 表参道などの店舗に対し、Apple 川崎はベッドタウンに近く、週末に家族連れで訪れるショッピングモール内に立地している、という点が異なります。オブライエン氏も「ターゲットとする来店客は都心部の旗艦店とは異なる」と言います。

Apple 川崎がメインターゲットとしているのは、ズバリ子どもを持つファミリー層。子どもや祖父母も一緒に、家族全員で来店したくなる店作りにした、とオブライエン氏は語ります。

家族での来店を誘う呼び水としているのが、ストア内で毎日開催している「Today at Apple」のさまざまな無料セッションです。ほかのアップルストアでも、写真の撮り方や音楽の作り方、絵の描き方、プログラミングなどのセッションを実施していますが、Apple 川崎ではオープン直後の12月に特別なプログラムとして、コーディングが学べるプログラミング関連のセッションを大いに充実させたと胸を張ります。

内容も、iPad用の無料アプリ「Swift Playgrounds」を用いたAR(拡張現実)のプログラミング講座「[AR]Tラボ:拡張現実を体験しよう」や、3〜5歳の未就学児を対象としたコーディングの初歩講座「『Helpsters〜お助けモンスターズ』と学ぶコードの基礎」など、内容や対象の年齢層も幅広く用意しています。

2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されることが決定し、政治の世界でも「学校に1人1台のパソコンやタブレットを導入しよう」という声が上がっています。これを受け、子どもを持つ親もプログラミングへの関心が高まっているのは間違いなく、「今からプログラミングに慣れさせておきたい」と考える家庭も増えています。そのような親にとって、専門知識を持つスタッフがプログラミングのイロハを無料で楽しく教えてくれるToday at Appleのセッションは魅力的な存在となりそうです。

オブライエン氏は「コーディングは250以上のセッションを用意しており、とても多くの方に無料でコーディングの基礎を学んでいただけるようにしました。ぜひ、ご家族でいらしていただければと思います」と期待を寄せました。

ちなみに、Apple 川崎のロゴは、さまざまな形状のカラフルなパーツが「かわさき」の文字を作っています。これは積み木をイメージしており、店名をひらがな表記にしたのも子どもに親しみを持ってもらう狙いがあるとのこと。ここでも、ターゲットとする客層を如実に表しているといえるでしょう。

○ビックカメラがあるからラゾーナ川崎を選んだ?

Apple 川崎が入るラゾーナ川崎プラザには、家電量販店のビックカメラが入居しています。集客力の高いビックカメラの存在があるからラゾーナ川崎プラザを選んだのでしょうか? また、Apple 川崎ではToday at Appleなどの体験を重視し、製品やアクセサリーの購入はビックカメラに任せる、といったすみ分けを考えているのか、聞いてみました。

オブライエン氏の回答は、いずれも明確に「ノー」でした。ラゾーナ川崎プラザは、美しいショッピングモールにさまざまな世代の人が集まる点が魅力だとしています。また、アップルは人それぞれの考えを尊重しており、Apple 川崎に限らず自分が買いたいと思ったお店やオンラインショップで買うのが一番だと強調しました。そのうえで、「Apple 川崎をはじめとする直営店に来ていただければ、情熱を持った個性的なスタッフが豊かな体験をするお手伝いをさせていただきます」とアピールしました。
○2020年、日本への新たな出店計画は?

アップルはこの2年ほど、異例ともいえるペースで国内のアップルストアを拡充してきました。2019年は、9月にApple 丸の内を新規オープンし、同じ9月にはApple 福岡を移転し、旗艦店のApple 表参道も9月にリニューアルしました。12月のApple 川崎を含めると、4店舗を新規&リニューアルオープンしたことになります。2018年は、Apple 新宿とApple 京都を新規オープンし、Apple 渋谷をリニューアルしています。

オブライエン氏は「世界各国と比べても、この2年間の日本での出店ペースは突出していたのは間違いありません。日本で新しくストアをオープンするたびにワクワクさせられました。日本のチームは特に頼もしく誇らしい存在であり、今後も来店した方に素晴らしい体験をしていただけるよう関係作りを強化していきます」と語ります。

年が明けた2020年も、これまでのようなペースで日本への出店を続けるのかと尋ねたところ、「より多くの人に素晴らしいサービスや体験を提供できるよう、最適なロケーションを探し続けています」との回答にとどまりました。具体的に、日本で何店舗をオープンするといったコメントは得られませんでしたが、Apple 川崎のように都心部以外の店舗がオープンする可能性はありそうです。

Apple 川崎は、12月14日の午前10時にオープンします。当日、先着順でオリジナルトートバッグなどが入った記念品がプレゼントされる予定なので、早めに足を運んでみてください。Today at Appleのセッションは、すでに満員になった回もありますが、キャンセルが出た場合は飛び入りで参加できる可能性もあります。

ちなみに、来日したティム・クックCEOとオブライエン氏ですが、Apple 丸の内で開かれていた立教小学校のフィールドトリップに飛び入りで参加するというひと幕も。当初は後方で眺めていたクックCEOですが、おもむろに前方に空いていた席に移動して児童に声をかけつつ一緒にプログラミングのセッションを楽しむなど、終始リラックスした表情を見せていました。(磯修)
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