『ニッポンノワール』最終回まで残された数々の謎 賀来賢人の覚醒と黒幕の正体とは?

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2019年12月15日 06:02  リアルサウンド

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『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』(c)日本テレビ

 『ニッポンノワール−刑事Yの反乱−』(日本テレビ系)が最終回を迎える。放送時刻の12月15日22時30分に合わせて物語がスタートする最終回では、張り巡らされた伏線が回収され、数々の謎が明らかになると予想される。そこで、これまでに提示された中から主なものを取り上げ、最終回『ニッポンノワール』の論点を整理してみたい。


参考:『ニッポンノワール』最終回を前に真犯人を予想 ガスマスクの男は工藤阿須加と井浦新?


■アルティメットプログムと新薬の行方
 12月15日22時30分は遊佐清春(賀来賢人)が「覚醒」する時間とされている。第8話で眞木(矢本悠馬)を倒したとき、清春の首筋には黒い血管のようなものが浮き出ていた。碓氷薫(広末涼子)が残したUSBには、ニッポンノワールが行った未成年の犯罪者への人体実験「アルティメットプログラム」に関する情報が記録されており、清春も同プログラムを受けていたことが発覚。また、薫はニッポンノワールの資金10億円を奪うだけでなく、アルティメットプログラムの効果を増大させる新薬の存在も突き止めていた。


 新薬を開発していたのは喫茶店「bonnaro」のマスター・深水(笹野高史)で、深水は娘の星良(入山法子)亡き後、組織と取り引きして研究を続けていた。深水のカレンダーには12月15日に〇印が付けられており、何らかの意図を持って清春と接していたと思われる。清春に飲ませていたのもただの栄養ドリンクではなく、身体に何らかの作用を及ぼすものだった可能性が高い。ただし、「新薬」そのものは10億円とともに東堂銀行に保管された一点だけと深水は語っており、その隠し場所を知っているのは死ぬ直前の薫と話した清春のみ。はたして、新薬はどこにあるのか? また清春の「覚醒」は何を意味しているのだろうか?


■ガスマスクの男の正体
 ニッポンノワールと10億円の行方を探る清春たちの前に立ちはだかるガスマスクの男。第4話で初登場すると、第6話で才門(井浦新)の命を奪い、第9話では碓氷政明(大和田伸也)とベルムズの元リーダー・陣内(落合モトキ)を射殺する。その正体については本サイトでも考察されているが(『ニッポンノワール』最終回を前に真犯人を予想 ガスマスクの男は工藤阿須加と井浦新?)、仮にガスマスクの男が名越(工藤阿須加)だとすると清春を狙った動機が気になるところだ。またガスマスクの男が2人いるとすれば、死んだはずの才門が生きていることになる点や、人体実験を主導した碓氷政明を殺していることから、ニッポンノワールの内部で何らかの動きがあると考えられる。


 記憶を取り戻した清春は、南武(北村一輝)と示し合わせて薫が殺された山小屋に真犯人をおびき寄せる。現れたのはガスマスクの男で、その狙いは薫が隠した10億円と新薬だった。生前の薫によれば、すべての計画を1人だけいる共犯者に打ち明けた、その場所がくだんの山小屋であり、ガスマスクの男は薫の共犯者ということになる。ただし、薫は何者かによって殺害されており、犯人はいまだ不明。ガスマスクの男かもしれないし、清春の可能性も捨てきれない。薫とガスマスクの男の間で何があったのか? 清春との直接対決から幕を開ける最終回の展開に期待したい。


■真の黒幕は誰?
 これまでに清春は、才門や深水、ガスマスクの男にニッポンノワールのマークを見せられることで記憶を取り戻してきた。何ものかに導かれるように過去の記憶を思い出した清春だが、そもそも誰が、何のために清春の記憶を操作したかは明かされていない。自身が殺されることを予期した薫が、清春がアルティメットプログラムの被験者であることを利用して、10億円と新薬の在りかを教えた後、清春の記憶を消し、才門や深水にそのことを伝えたとも考えられるが、薫がそこまでする目的が警察の悪事を暴くことなら、もっと直接的な方法があったはず。


 一方で、黒幕と目された元警視庁長官の碓氷政明は第9話で殺されており、アルティメットプログラムの目的が戦闘に特化した兵士を生み出すことだとすると、真の黒幕は警察の背後にいる権力という可能性が出てくる。もしそうなら、死の危険を感じた薫が真実を隠ぺいさせないために、いちばん安全な情報の隠し場所として、清春の記憶を利用したと考えることもできるだろう。「警視庁のガン」と呼ばれるほどタフなキャラクターとアルティメットプログラムの被験者という意外性、そして一度は自分が心を許した男性で、克喜(田野井健)の父親なのだ。最終回では、薫がつかんだ真の黒幕につながる手がかりも示されそうだ。


 もやがかかったような『ニッポンノワール』の世界で、視聴者も主人公の目線を追体験するかのように手探りで謎と向き合ってきた。不条理性を含む刑事ドラマとして画期的な作品となった『ニッポンノワール』はどのような結末を迎えるのか。最終回をぜひ目撃してほしい。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。


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