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「アナ雪2」 ディズニー史上最も「男らしくない」姿こそ、進化の証だった!?

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2019年12月15日 11:30  AERA dot.

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写真劇場には子連れファミリーや若い女性、カップルと幅広い層の姿が。今作ではオラフも進化して文字が読めるようになった。新たに登場した愛くるしい精霊のキャラクターも人気が出そう(撮影/倉田貴志)
劇場には子連れファミリーや若い女性、カップルと幅広い層の姿が。今作ではオラフも進化して文字が読めるようになった。新たに登場した愛くるしい精霊のキャラクターも人気が出そう(撮影/倉田貴志)
 世界中で「レリゴー」現象を巻き起こした1作目から5年、「アナと雪の女王2」がヒットしている。描かれるのは、アナとエルサの姉妹の進化と、男性の葛藤だ。

【「アナと雪の女王2」の場面写真はこちら】

*  *  *
 11月22日に全国公開されたディズニーアニメ映画「アナと雪の女王2」がやはりヒットしている。小学生の娘と見に行こうとした女性(51)は公開前日に予約を入れたが、「週末の昼の部はほぼ満席。土曜夜7時の回になりました」

 公開最初の週末3日間の興行収入は19億4205万円、観客動員数は145万人。さすが、日本の歴代興行収入第3位の255億円を記録した「アナと雪の女王」の続編だ。

 シリーズを手掛けたプロデューサー、ピーター・デル・ヴェッコ氏によれば、続編の製作を決めたのは、1作目の公開から1年半後だったという。

「ファンの皆さんから、例えば、『エルサの力はどこから来たのか』『あの力で何をすべきなのか』『なぜアナにはその力がないのか』とか、いろんな質問をいろんな所で受けたことが大きかった」

「アナ雪」にはまだ語るべきストーリーがある──。2作目は、1作目からどう変化したのか。

 まずは、前作「アナと雪の女王」のおさらいから。主人公はすべてを凍らせる力を持つエルサと、アナの二人の姉妹。二人のプリンセスが主人公となるのはディズニー映画史上初だった。しかも、エルサを救う「真実の愛」は、王子様のキスではなく、姉を助けたいと自ら犠牲になろうとしたアナの愛。ディズニーはプリンセス像に時代の変化を反映させてきたが、Wプリンセスに「家族愛」というテーマはこれまでとは一線を画していた。

 家族愛というアイデアを提案したクリス・バック監督は、「僕たちが作ろうとしている作品は、タイムレスでありながらタイムリーなもの。どんな映画も今日の社会をある程度は反映したものとなる」としつつ、

「何か新しいものをやってみたい。そういう時が来た、と思いました。王子様のキスによってお姫様が目覚めて救われる、というクラシックな作品はディズニーのレガシーでもあり、僕のDNAに入っているとは思います。でも、姉妹が主人公になった時、『真実の愛』というものは、今の時代においては“家族”の愛でもいいと思ったんです。その家族は血が繋がってなくてもいい。“家族”の愛がすべてを救う。そこにみんなが賛同してくれて生まれたのが前作です」

 世間では婚活が当たり前になって久しく、多くの女性は、王子様は待っていても現れないことを知っている。凍りついた心を解かすのに必要なのは、王子様の愛より家族の愛のほうがよほど現実的なのだ。

 バック監督と共同監督を務めたジェニファー・リー監督は、ヒット要因のひとつに「姉妹の愛と恐怖心を掘り下げたことに意味があった」と考えている。

「例えば、エルサの(制御不能な力を持ってしまった自分への)恐怖心を掘り下げることは、今までのアニメ作品では見たことがないと思いました。それに、彼女たちは勇気があるだけでなく、短所もあって完璧ではない。リアルなんです。そんな女性像は見る人のインスピレーションにもなると思いました」

 結果、「アナ雪」は大人の女性までもが自分を重ねられるリアルな物語になった。

 続編は、「ハッピーエンドだけが人生ではないと疑問を投げかけるところから始まった」と前出のデル・ヴェッコ氏は言う。

 物語は、エルサが再び城門を閉じることはないと約束した3年後から始まる。アレンデール王国でクリストフやオラフとともに平穏で幸せな日々を過ごしていたエルサとアナだが、エルサだけが不思議な歌声を聞くようになる。その声に導かれ、エルサはアナとクリストフ、オラフらとともに旅に出ることに。一行はエルサの魔法の力の秘密を解き明かすため、数々の試練に立ち向かうことになる……。

 2作目の大きなテーマはキャラクターたちの「変化」であり、「進化」という。エルサとアナはそれぞれより活発になり、アクションシーンも多い。各人の思いが歌でつづられ、ミュージカル色もより強く感じられる。

 前作では、「ありのままで」いられる氷の城を築いたエルサが、自らを閉ざして孤立する。今作では、アナの愛によって孤独である必要がなくなったことで、テーマ曲の通り「未知の世界へ」向けて、能動的な活躍を見せる。エルサが海岸で何度荒波にのまれても諦めず、水の精霊である馬のノックを自在に操るようになる姿は必見。女性の内にある男性性がたくましくも美しく描かれ、ほれぼれする。

 一方、ちょっとおっちょこちょいでおちゃめ、いつも楽観的なアナに、「こんな暗さは生まれて初めて」と希望を失いかける瞬間がある。それでも、「涙こらえて進もう 一人でもやろう できることを」と一歩一歩前進し続けることを学ぶ。アナはプリンセスから女王になるのにふさわしい成長を遂げていく。

 二人で一人前だったような姉妹が、自分たちのルーツを知る冒険によって大きく成長し、二人以上の力を得たように見える。

 リー監督は言う。

「姉妹はぶつかり合っていた時も、お互いが闘っていたわけではない。でも、(今作では)お互いを支え合うことでそれ以上に強くなれる、ということを証明したと思います。また、強くあるためには、お互いが孤独でいる必要はないということも」

 ところで、エルサとアナの絆を深掘りし、姉妹がより強い女性に成長したと感じる一方で、「アナ雪2」では男性キャラクターの影が薄い。前作では、クリストフがアナを守りながらともにエルサの住む氷の城へ向かった。死にゆくアナを相棒のトナカイ、スヴェンと必死に助け出そうともした。だが、今回はそんなヒーロー的な活躍シーンがない。それどころか、アナへのプロポーズを画策している間に姉妹が冒険へ出てしまい、置いてけぼりに。「君を求めて道にさまよう迷子のよう……」と嘆く。歌にのせて不安を吐露する姿は強烈だ。こんな「男らしくない」ことを口にする男性キャラはディズニー映画史上初だろう。

 そんな驚きを二人の監督にぶつけると、バック監督は言った。

「クリストフは僕。僕はプロポーズで大失敗をしたんです」

 バック監督だけではない。脚本の段階で、クリストフについて男性スタッフ陣が「プロポーズに葛藤した僕たちもいるんだけど」と自分たちの思いを語り始めたとリー監督が明かす。

「彼らと同じように、クリストフもアナを愛しているのに、自分の愛情をどうやって表現すればいいかわからないタイプだと思いました。自分の愛をうまく表現できずに葛藤する男性の姿はリアルなことなのです」

 時代とともに女も変われば、男も変わる。「シンデレラ」好きだった記者は改めて、「男は、女はかくあるべき」との呪縛に縛られていたことに気づかされた。「アナ雪」シリーズで育つ子どもたちがうらやましい。(フリーランス記者・坂口さゆり)

※AERA 2019年12月16日号

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