ディーン・フジオカが仕掛けた『シャーロック』オープニングタイトルの秘密 「お約束のようなもの」

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2019年12月16日 06:01  リアルサウンド

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ディーン・フジオカ『シャーロック』(c)フジテレビ

 いよいよクライマックスに突入する『シャーロック』(フジテレビ系)。古典名作の実写ドラマ化で数々の主演を務めてきたディーン・フジオカが、癖の強い主人公・誉獅子雄をミステリアスに、時にユーモラスに演じてきた。バディの若宮(岩田剛典)との掛け合いで視聴者を虜にした彼は、最終章を目前に何を思ったか。撮影現場でインタビューに答えてくれた。


【写真】『モンテ・クリスト伯』のディーン・フジオカ


■「衝動に素直なところはすごく羨ましい」


――撮影開始から数カ月経ち、長い間、獅子雄を演じてきましたが、役の捉え方に変化はありましたか?


ディーン・フジオカ(以下、ディーン):始めたばかりの時は、みんな手探りで、心のどこか“に今までのシャーロック像に似過ぎないぞ!”という気負いがあったと思います。それはどのスタッフ・キャストにも言えることで、プロデューサー側にも、演出側にも、もちろん自分にもありました。でも今、そういうのはもう僕にはないですね。多分、なんとなく獅子雄というキャラクターを生き始めてきて、「これ、獅子雄っぽいよね」ていうのが明確になってきたからだと思います。だからこそ、あえてらしくないことを怖がらずにチャレンジできるようになりました。


――獅子雄の魅力をどう感じていましたか?


ディーン:演じる中で、思っていたキャラクターと違ったな、と感じることもあるんです。でも、ちょっとした違和感みたいなものがサプライズになったり、魅力的な要素になっているところもあって。そういう部分を毎話重ねていく中で、思ったよりも自由なキャラクターなんだなと気づくこともありました。


ーーオープニングのタイトルへの遊び心など、視聴者が見ていて楽しめるポイントが随所に仕掛けられていますね。


ディーン:オープニングのタイトルは毎回書いていたのですが、あれは一つの決め事として続けていました。ある種、お約束のようなものです。でも、毎回同じようにただ書いているだけだと、自分も面白くないので「そういうアプローチがあるんだ」と色々な発想を試して、提案したり実際にやってみるようにしていました。こういう状況では、獅子雄はこういう風にするんだと、“獅子雄らしさ”の発見を積み重ねてこれた。だからこそ、今はもうあまりシャーロック・ホームズを意識することがなくなりました。それが一番大きな変化です。


――バイオリンのシーンも毎回とても印象的でした。


ディーン:バイオリンは全くの素人だったので、自分にとって一つの大きなチャレンジになりました。実は与えられた曲は、先生からも「プロでも弾きたくない」と言われるような難しい曲だったんです。技術的にも色々な挑戦があって、すごく鍛えられましたね。


――ディーンさんが感じる、獅子雄を愛せる部分はどこですか?


ディーン:意外と獅子雄は正直でシンプル、わかりやすいキャラクターなんです。興味の対象や、自分が持っている衝動に素直なところは、すごく羨ましいなと思います。芝居をしていても、いい意味で遊び心があるキャラクターで良かったなと思いました。若宮や江藤(佐々木蔵之介)との掛け合いでは、現場でも常に笑いが起こるような空気感ができ上がっていて。真面目に、科学的に、論理的に、謎を解いているだけじゃなくて、周りとそういう掛け合いのできるキャラクターだったのが愛せるポイントだなと感じますね。


■「ツッコミのキレの良さが岩ちゃんの魅力が光る」


――バディである若宮との関係も第1話に比べたらどんどん変化していますね。


ディーン:若宮がだんだんと獅子雄を受け入れていっていますよね。獅子雄のような人は周りを振り回すし、面倒臭い。憎まれ口を叩きながらも、そんな獅子雄を受け入れていく若宮の変化が、この作品の謎解き以外の部分でもう一つのストーリーとして進行してきたのかなと思います。若宮が今後どんな未来を歩むのかはわかりませんが、獅子雄が教えてきたことの蓄積があるから、若宮は一人の探偵として一人前に育っていけるんじゃないかと思います。


――相棒の岩田さんの俳優としての魅力をどう感じてますか?


ディーン:やっぱりツッコミのキレの良さが岩ちゃんの魅力が光るところだなと思います。この作品を良くしたい! というすごく一生懸命な姿を見ていますし、努力しているのが伝わってきます。脚本に書かれていることはもちろんですけど、その他の部分で彼なりに色々と考えてセリフを変えてみたり、他の言葉を足してみたり、そういう姿を日々横で見ていて、自分にとっても他のキャストにとってもいい刺激になっているんじゃないかと思いますね。


――各回を通してたくさんのキャストが出演しました。印象に残ったゲストはいますか?


ディーン:全部の回で、それぞれ難しかったことや、やりがいのある掛け合いがあって答えられないですね。毎話の感想としては、全部のシーンで、何かしら難しい部分があって、楽なものはひとつもなかった。毎話、“ここが一番の決め所”というパンチラインみたいなシーンがあったのですが、そこはいつも難しいセリフが多かったし、長くて。ガーッと勢いで撮っていくので、とても集中力が必要でした。落ち着いたら、その全てを解説したいくらいです(笑)。


――『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』に続いて、『シャーロック』と古典文学シリーズへの思いはいかがですか?


ディーン:この古典名作シリーズ枠みたいなのが、『シャーロック』の続編という形でもいいですし、なにかまた別の作品になっても、そういう“縁がつながっていく”ような一つのムーブメントになるといいなと思います。


――最終回を目前に視聴者へのメッセージをお願いします。


ディーン:色々な作品との関わり方があると思います。TVだけではなくFODやTVerなど、どんなデバイスで観るのかわかりませんが、一人でも多くの方に見てもらいたいという思いで作品を作っています。面白いと思っていただけたら、ぜひ声を大にして周りに伝えてもらいたい。それが次に繋がったり、何か新しい物語を作る原動力になるので。それは気持ち的な意味でも、現実的な意味でもです。だから“いい”と思ってもらえたら、それを“いいぞ”と言語化してもらえたら嬉しいですし、ネット上でも口コミでも「ここがダメ」だと言うのもアリだと思います。みんな本気で毎日戦っているので、批判も含めて、とにかく賛否両論いただけて、記憶に残れたら嬉しいです。


(Nana Numoto)


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