安東弘樹のクルマ向上委員会! 第27回 「GR SPORT」との相性は? 安東弘樹、トヨタ「C-HR」に乗る!

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2019年12月16日 11:32  マイナビニュース

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トヨタ自動車はSUV「C-HR」をマイナーチェンジすると同時に、新たに「GR SPORT」というスポーツタイプのモデルを設定した。トヨタがモータースポーツで得た知見を注入し、マニュアルトランスミッション(MT)仕様も用意した新しいC-HR。MT至上主義のクルママニアである安東弘樹さんに早速、試乗してもらった。

※文と写真はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました。

○マイナーチェンジした「C-HR」に新モデル

「GR」とは、トヨタでモータースポーツ活動を行っている「GAZOO Racing」の頭文字だ。そこで得た知見とノウハウを活用し、トヨタはGRブランドのラインアップを拡充している。例えば、先日発売となった新型「スープラ」(GR Supra)もGRブランドのクルマだし、「ハリアー」や「ノア」といったクルマにも「GR SPORT」バージョンを用意している。

C-HRはトヨタが2016年に発売したSUV。今回のマイナーチェンジでは、フロントマスクとリアのデザインを変更してワイドスタンスを強調したほか、インテリジェントクリアランスソナー(ICS)をオプション設定するなど装備の充実を図った。

このマイチェンで登場したのがC-HRの「GR SPORT」だ。グレードとしての名称は「S-T“GR SPORT”」と「S“GR SPORT”」で、価格差は「S-T」のMT車が236万7,000円であるのに対し、「S-T“GR SPORT”」(MTのみの設定)は273万2,000円。「S」は273万円、「S“GR SPORT”」は309万5,000円だ。

安東さんが試乗したのは、1.2リッターのターボエンジンに6速MTを組み合わせる「S-T“GR SPORT”」だ。C-HRのGR SPORTバージョンは専用の内外装となっているほか、サスペンションやステアリングなどに専用チューニングを施してある。剛性や操舵応答が向上し、スポーティーになったC-HRというイメージだ。

MT車なので、運転を楽しみにしていただけているものと考えていたのだが、試乗車に向かう安東さんの表情はなぜか冴えない。
○多忙な安東さん、大事なものを忘れてしまう

安東さん(以下、安):この靴、失敗した……。

編集部(以下、編):どうかしたんですか?

安:ドライビングシューズを持ってくるのを忘れてしまったんですよ。痛恨だなー!

編:靴で、そんなに違います?

安:これ、スーツ用の革靴なんです。硬くてフィットしていないので、MTを味わうには適さないですよね。

この試乗会のために、靴を変えなきゃとは思っていたんですけど、しばらく、まともに家に帰れてなくて。ラリーの仕事で岡崎と長久手(愛知県)に行ってて、深夜に岡崎を出て、そのまま早朝の仕事に行って、昨日は「ばらダン」(TOKYO MXの番組「ばらいろダンディ」。安東さんは火曜レギュラー)。それで、今日はここに来たんで。2日前、一瞬だけ家に帰った時に、ドライビングシューズを今日ここに乗ってきたクルマに入れておくべきでしたね。失敗したー!

編:そんなに靴選びが大事とは知りませんでした。こちらも一声、かけておけばよかったかもしれませんね……。

さて、試乗車なんですけど、見た目はいかがでしょう?

安:なんとなく、「ガンプラ」(『機動戦士ガンダム』のプラモデル)みたいな色使いですね。

編:ちょっとメカっぽい。

安:ただ、後付けパーツをゴチャゴチャ付けてスポーティーな見た目にするよりも、こちらの方がいいですよね。後付けパーツだと、取り付け部分に線が入ってしまって、それはダサいと思うんです。このクルマはバンパーごと「GR」として作ってあるんで、見た目にもまとまりがありますね。

(乗り込んですぐ、ヴァニティーミラーを確認しつつ)照明は付いてないんだ。あと、ルームミラーが自動防眩じゃないのは、いまどき珍しい。エンジン音は普通ですね。音のチューニングはしてないのかな。

安:ペダル類は軽いですね。普段、ポルシェ(「911 カレラ 4S」のMT)に乗っているからかもしれませんけど、もう少し重くてもいいような気がします。しかし、こればっかりは何ともいえないですね。軽い方が楽だという人もいるでしょうけど、私の場合、ペダルの反力が弱いと、クラッチがガチっと圧着した感じを受けられないので、頼りないという感覚になってしまいます。

編:なるほど。ただ、みんながみんな、クラッチが機械的に圧着しているさまを思い描いて運転しているわけではないでしょうね(笑)。

安:まあ、MTがある時点で、嬉しいのは嬉しいんですけど。それと、「足」がいいです。足回りは手が掛かっている感じがします。

編:このMTはトヨタが開発した「iMT」ですよね。ドライバーがクラッチとシフトを操作すると、クルマ側が変速後のエンジン回転数を合わせるように制御を加えて、スムーズな変速フィーリングをアシストする機能だそうなんですが、使ってみていかがでしょう?

安:「カローラ スポーツ」のMTにも搭載されていた機能ですね。ちゃんと回転を合わせてくれています。ここから2速に入るかな? (4速から2速にシフトを落としてみて)おー、スムーズに入りました!

でも、ついついクセで、自分で回転を合わせようと思って「ヒールアンドトゥ」(※)をしてしまいますね! iMTの回転の合わせ方が上手なので、これに慣れると、自分の操作は下手になってしまうかもしれないと思ってしまうくらいです。

※編集部注:右足のつま先とかかとを使い、ブレーキとアクセルの両方を操作すること。MT車でスムーズなシフトチェンジを行うのに役立つ技術なのだとか。

編:iMTを開発したということは、トヨタとしても、もっとMTのクルマに触れて欲しいという思いがあるんでしょうね。

安:そこは好感が持てますね。特に日本車に多いCVTの場合、ブレーキを踏む前にエンジンブレーキを掛けようとしてもほとんど減速しませんから、基本的にはフットブレーキを踏むしかないんです。そういうところも含め、意のままにクルマを操れないという感じがするんですよね。

それに、MTじゃないと、何というか、運転していても、することが少ない。

編:クルマを運転しているのに、することが少ない(笑)。MT車であれば確かに、運転中にもすることが多いですよね。

編:トヨタがいろいろなクルマにGRブランドを展開することについては、どう思います?

安:いいと思います。このクルマにMTを設定してくれたというだけで、嬉しいですよ。

ただ、難しいですよね、日本市場は。モータースポーツによる訴求って、どのくらい受け入れられるのかな。日本の人って、びっくりするくらい、モータースポーツに興味ないですよね。ですから、GRをつくるのと同時に、モータースポーツ活動のPRをもっとすべきだと思います。トヨタさんの財務力であれば、可能だと思うのですが(笑)。

編:トヨタブランドのイメージ向上に、GRがどれだけ寄与できるかという話ですね。場合によっては、お金の無駄遣いだともいわれかねませんし。

安:社内でも、「こっちはどれだけ安く作れるかという部分で頑張っているのに、お前たちは……」みたいなね。

編:「お金ばっかり使って」みたいな。ありそうな話ですね。

一般道での試乗を終えた安東さん。この後、クローズドコースでマイチェン前のC-HRとGR SPORTの乗り比べを行い、後者の「ブレーキが圧倒的に良くなっている」との感触を得たとのことだった。

全ての試乗を終えた安東さんはこの後、C-HRのGR SPORTを担当したトヨタの開発陣との懇談に臨んだ。その模様は次回、お伝えしたい。

○著者情報:安東弘樹(アンドウ・ヒロキ)
1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。(安東弘樹)
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