ダウンロード違法化、対象外「軽微なもの」の具体例が示される

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2019年12月18日 20:22  弁護士ドットコム

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インターネット上の海賊版対策として、ダウンロード(DL)違法化の拡大などについて考える文化庁の検討会(座長:土肥一史・一橋大学名誉教授)の第2回会合が12月18日、東京都内で開かれた。弁護士や研究者、漫画家など、有識者12人が議論をおこなった。文化庁はこれまでに、「軽微なもの」をダウンロード違法化の対象外とする案を出していたが、今回新たにその具体例も示された。


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●「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定すべきか

この日の会合では、まず、ダウンロード違法化について、(1)漫画やアニメだけでなく、すべての著作物を対象とすること、(2)主観要件(違法にアップロードされたという「事実を知りながら」など)は維持すること――などがおおむね了承された。



大きな争点となったのは、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定すべきかどうか。



委員からは「(ユーザーの)萎縮を懸念する声が多いので導入してよい」という意見のほか、「(不当な利益を害されたことを)権利者が立証する必要がある」「海賊版対策の実効性が失われる」という声もあがった。結論は、次回(2020年1月7日)に持ち越しとなっている。



●「軽微なもの」は除外されている

前回までに、文化庁の提案した次の案については、大きな異論なく了承されている。



(1)改正案の附則に、普及啓発・教育等や運用上の配慮、施行状況のフォローアップについての規定を追加する



(2)写り込みに関する権利制限規定を拡充することで、スクショをおこなう際に違法画像等が入り込むことを適法にする



(3)「軽微なもの」を違法化対象から除外することで、数十ページで構成される漫画の1コマなど、一部分だけの軽微なダウンロードを適法にする



●「軽微なもの」の典型例とは?

文化庁はこの日、「軽微なもの」の基準・具体例(案)を示した。



1)「分量」による基準・典型例(全般)



その著作物全体の分量から見て、ダウンロードされる分量がごく小部分である場合には、「軽微なもの」と認められる



<「軽微なもの」の典型例>



・数十ページで構成される漫画の1コマ〜数コマのダウンロード
・長文で構成される論文や新聞記事などの1行〜数行のダウンロード
・数百ページで構成される小説の1ページ〜数ページのダウンロード



<「軽微なもの」とは言えない例>



・漫画の1話の半分程度のダウンロード
・4コマ漫画や1コマ漫画の1コマのダウンロード
・論文や新聞記事の半分程度のダウンロード
・絵画や写真など1枚で作品全体となるもののダウンロード(2)により「軽微なもの」と認められる場合もあり得る)



2)「画質」による基準・典型例(絵画・イラスト・写真など)



画質が低く、それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像をダウンロードした場合には、「軽微なもの」と認められる



<「軽微なもの」の典型例>



・サムネイル画像のダウンロード



<「軽微なもの」とは言えない例>



・絵画・イラストなどの鮮明な画像のダウンロード
・高画質の写真のダウンロード


このニュースに関するつぶやき

  • 運営やサーバーが海外な違法に録画がアップされるサイトへの摘発は難しいとか聞きますが、何処まで通じるものか、、、
    • イイネ!1
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