ポイントは「大腸揺らし」! オンナの大敵・“冬便秘”の解消法を名医がまるっと解説

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2019年12月28日 12:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

冬の便秘のもとを知って対策を イラスト/上田惣子

 水分不足、運動不足などが重なり、冬はいつもより便秘になりがちな季節。そのまま放っておくと、ほかの病気にもかかりやすい、と便秘外来の先生も指摘。覚えたい、快適な「腸スッキリ」のやり方はこちら!

冬の便秘は生活習慣病! 快便生活にチェンジを

便秘のなりやすさは、もともとの体質もありますが、生活習慣が大きく影響。冬は、水分不足、運動不足など、便秘を引き寄せる生活習慣に陥りがちな季節といえます」そう話すのは、“便秘外来”の担当医として、多くの患者と向き合ってきた、国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長の水上健先生。

 なかでも年末年始は、冬の寒さが身体的ストレスになっているうえに、帰省や旅行など非日常なスケジュールや仕事の多忙さといったストレスが重なって、便秘目線では最悪なタイミング。生活習慣を見直して、便秘を改善&なりづらい身体づくりが必要という。

“便秘は生活習慣病”なんです。ですから、便秘を放置=悪い習慣を放置しているということは、便秘だけでなく、脳梗塞やうつなど、ほかの病気にもかかりやすい身体になると心得て生活してほしいですね」

快適に排便できていれば深刻にならなくてOK

「毎日、排便しなきゃ!」、「どっさり出ないとダメ」というのは、大きな勘違い。

便の量や回数は、食べた量と腸の消化吸収能力により個人差が出るもの。便は腸で消化吸収されない残りカスなので、消化吸収能力が高ければ、カス=便の量・回数ともに少なくなります。大切なのは、“快適に出せている”かどうか。お腹に痛みや違和感がなければ、3日に1回しか出なくても一概に便秘とは言えません」(水上先生、以下同)

 お腹の痛みを伴う一般的な便秘の原因として多く挙げられるのは、

1.ストレス →大腸がけいれんして起こる「腸管運動異常(痙攣性便秘)」

2.運動不足 →腸の形が原因で腹痛を伴う「腸管形異常(便秘型過敏性腸症候群)」

3.トイレの我慢 →直腸が鈍感になり便意を感じづらくなる「排出障害(直腸性便秘)」

 ……など。

糖尿病や神経疾患などほかの病気が原因の便秘をのぞき、ほとんどは生活習慣の見直しで改善します。便秘になりやすい体質の男女差はありませんが、女性は生理前に腸の動きを鈍くするホルモンの分泌量が増えるので、どうしても便秘になりやすい時期があります。女性のほうがより便秘対策のケアが必要ですね」

 生活習慣の見直しを行っても改善されない場合は、病院へ行くことも考慮すべき。

急に排便状況が変わったり、腹痛、発熱、体重減少が伴う場合は、がんなどほかの病気も疑われます。特に、40〜50代の女性が急に便秘になった場合は、要注意ですね。

 また、幼児の便秘は、服薬で便をやわらかくするところから治療するのが効果的なので、病院で診てもらうのがよいと思いますよ」

冬の便秘解消プログラム

【1】水分・食物繊維をとって、スッキリ♪

冬の便秘対策でいちばん大切なのは、水分をこまめにとり、やわらかな便ができる体内環境をつくること。コーヒーも便をやわらかくし、出しやすくしてくれる作用があるので、1日2杯程度なら問題ありません。

 食事は、バランスよくが基本ですが、やはり食物繊維は大切。特にコロコロ便で出しにくい人や排便の回数が少ない人は、食物繊維を1日20gを目安に取り入れましょう。

 海藻やきのこ類に含まれる水溶性の食物繊維は硬くなった便に水分を呼び込み、出しやすくしてくれます。サプリなどを活用してもOKです。また、オリゴ糖も便を緩め、腸の動きを活発化させる働きがあるので、1日大さじ1〜2杯を目安に取り入れるといいですね」

 直腸性便秘の場合、腸の動きが活発化している夕食後にトイレへ行くことを習慣化することで解消へつながる。

【2】ストレスフリーで、スッキリ♪

ストレスは腸の運動にも関わる自律神経の不調を起こし、便秘を起こしやすくします。旅行中は排便ができないという人は、緊張やストレスが便秘の原因になりやすいタイプ。

 仕事やプライベートで多忙が重なったときや普段と違うことを行うときは、リラックスする時間をつくって、ストレスを緩和させましょう。1日1回、目を閉じて深呼吸をするだけでも効果がありますよ。また、“便が出ない”と考えすぎることもストレスの原因に。深刻に考えすぎないことが重要です

 質のよい睡眠も快便に影響。寝る30分前にはスマホなどを使うのをやめ、朝は太陽の光をしっかり浴びよう。

【3】大腸押し上げマッサージで、スッキリ♪

 日本人の多くは「ねじれ腸」(大腸が異常にねじれる)や「落下腸」(大腸が骨盤内など低い位置に落ち込む)で、もともと便の通りが悪くなりやすい腸の形をしているとか。

「腸の形が悪いと運動不足で便秘になりがち。便を出すために、適度に運動して大腸を揺らす必要があります。運動が難しい場合は、マッサージで腸の働きをサポートしてあげましょう」

1.あおむけになり、大腸の真ん中を押し上げる

 腰の下に厚さ5cmほどのクッションなどを敷き、ひざを軽く曲げてあおむけになる。恥骨のすぐ上、左右の足の付け根に両手をそろえて当て、お腹が少しへこむくらいの力で、指先を立てる。お腹を持ち上げるように揺らしながら、両手をおへその下まで移動する。大腸を揺らしながら押し上げるイメージで行う。

2.大腸の左右を押し上げる

 両手を右足の付け根に当て、1と同じイメージでお腹を揺らしながら両手をおへそのわきまで移動する。左側も同様に行う。真ん中→左→右を1分間ほど繰り返す。

 大腸全体を揺らして持ち上げるイメージで。とくに、落下腸の人に効果的。
 ※妊娠中、腰が悪い人、お腹に腫瘍や動脈瘤などの病気がある人は、必ず主治医に相談を。 ※食後すぐやアルコールを飲んだ後は避けましょう。

【More】1日1回リラックスした時間を

 足を肩幅くらいに開いてあおむけになり、力を抜く。背中ができるだけ床につくようにする。そのまま目をとじて、ゆっくりと深呼吸する。いすに深く腰かけ、背中を背もたれに軽くつけて行ってもOK。

 【More】お腹をひねる・揺らす運動も効果的!

 ウォーキングなどは、身体をひねる動きがないので、便秘には効果薄。「大腸をひねる・揺らす動きが排便を助けます。運動に慣れていない人でも数分の時間で、お腹をひねる・揺らすだけでなく、全身をバランスよく動かせる“ラジオ体操第一”はおすすめですね」その他、フラダンス、ゴルフなども。

便秘CHECKポイント
□硬い便
うさぎの便のようなコロコロとした便が出る
□排出困難
力を入れていきまないと出ない
□残便感
排便後に、お腹に違和感がある
□排便回数
排便回数が週3回未満
※上記4項目のうち、2項目に当てはまる便秘状態が半年以上続くと慢性便秘症。

(取材・文/河端直子)

教えてくれたのは

水上健先生


国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長。自ら開発し、国内外で広く導入されている無麻酔大腸鏡挿入法「浸水法」を用いて、便秘の病態を突き止め、適切な治療選択を可能にした。小児の便秘治療にも尽力。慢性便秘症治療ガイドライン作成委員。

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  • 味噌汁にワカメぶちこんで飲めば良い それこそワカメの味噌汁なのかワカメの味噌漬けなのか分からんレベルで飲めば大概便通は来る
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