覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
少年刑務所で50代の受刑者が死亡
12月19日、川越少年刑務所(埼玉・川越市)で、50代の懲役(受刑者)が亡くなっていたことが報道されましたね。南無阿弥陀仏。
報道によると死因は不明で、司法解剖されるそうです。体調不良は特になかったらしく、虐待とかでなければええですね。さて、ここで問題です。なぜ少年刑務所に50代のオッサンがいてるんでしょうか。「中年刑務所やん」と皆さんも思われるはずです。
実は、刑務官さんなどによると、もともと刑務所の運営自体が「かなりアバウト」のようです。そもそもカタカナで書かれていた明治時代の「監獄法」も2006年までイキてました。懲役ごときの法律は、いちいち見直すのも邪魔臭い……ということかなと思います。
もちろん今の法律(「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」)もアバウトで、何かにつけて「施設の長」(所長)が判断してええことになっています。たとえば、第九十五条は刑務作業の時間について「刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、一日の作業時間及び作業を行わない日を定める」としてます。ちゃんと「法務省令の基準」があるのに、「細かいところは所長が決めてよろしい」となってるんですね。この法律は全体的にそんな感じです。
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昔のムショの施設は房の広さとか廊下の幅とか基準がなかったので、「現場の判断」が優先されてきたらしく、それがまだイキてるのではないかと刑務官さんから聞きました。そういえば、今度ホテルになる奈良少年刑務所とか、オシャンティですが、収監されていた知り合いによると、やっぱり夏は暑くて冬は寒いし、「住む人(収容者)のことを考えてつくられてない」そうです。そのため、現在、カタギさんのために住みやすく改装されてるようです。
前にも書いてますが、男子の刑務所は、犯罪傾向が進んでいる懲役(「累犯」ですね)と初犯のほか、刑期の長さなどで区分けがあります。でも、女子刑務所は人数が少ないので、累犯か初犯かで分ける程度で、キホン人殺しから万引常習犯まで一緒ですし、この区分もテキトーな印象があります。たとえば私が務めてた頃は、ムショは「定員オーバー時代」でした。「二人独居」(独居房に2人に収容)とか、日本語的にどうかと思うような処遇もアリでした。よく言えば「臨機応変」です。また、もともとは「無期懲役」を収容しない施設に無期がいてることもありました。とにかく満員やから、少しでもすいてる施設へ……ちゅうことですかね。
なので、少年刑務所に中年がいてるのも、びっくりするようなことではないです。特に、今回亡くなった方は精神疾患ということですから、「リアルヤクザがいてる施設よりも、少年刑務所のほうがええかな」程度の判断やったかなと思います。
田代まさしさんは再び府中?
今年は薬物がらみでいろんな芸能人が逮捕されましたね。ピエール瀧さんは初犯で実刑はセーフでしたが、エリカ様はどうでしょうか。そして、田代まさしさんはまた府中刑務所ですかね。1回目の収監は黒羽で、その次は府中でした。黒羽は初犯者で短期の刑が対象ですが、2022年に廃止が決まっていますから、また府中かと思います。今回は売人に声をかけられないように、独居で過ごしてほしいですね。
さて、来年は誰が逮捕され(パクられ)るのでしょうか? ほんまにムショは行くところではないですよ。というわけで、今後も読者の皆様の参考になるような記事を、いろいろウォッチしてご紹介していきたいと思います。
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末筆ながら、今年も読者の皆様、サイゾーウーマン編集部の皆様には、本当にお世話になりました。この場をお借りして御礼を申し上げます。来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。
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