のん、片渕監督は「危険な領域(笑)」『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開直後の心境吐露

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2020年01月02日 09:00  ドワンゴジェイピーnews

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2016年に公開された『この世界の片隅に』に、さらに30分強のシーンが追加されて制作された『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月20日、公開を迎えた。2010年7月31日に、こうの史代氏の原作を手にした瞬間「映画化したい」と熱望した片渕須直監督が、前作『この世界の片隅に』と合わせて3420日という歳月を費やした渾身作。公開直後の片渕監督と、主人公・すずの声を担当したのんが、熱い胸の内を語った。


■なにより“新作”として扱ってもらえたことが嬉しい!


本作が完成したのは、公開11日前の12月9日。片渕監督は「作品が“こういう形にしてくれ”というものがあるような気がしていて、それに少しでも近づきたいという気持ちで仕事して来ました。今回は、それが二つの別々の形を取ったわけです。よく“構想〇年”という謳い文句がありますが最初から数えて9年4カ月、合間に他の作品も並行していても、常に平行して作業をし続け、掛け値なしに付き合い続けた作品です」とすがすがしい表情で語る。


2016年に公開された作品をベースに、新たなシーンが追加されたということで、いわゆる“ディレクターズカット”という意味合いで捉えられる人も多いかもしれないが、作り手としては、同じ題材による第二の作品、追加されたシーンにより、作品に全く違う顔を見せる不思議な映画体験を味わえる“新作”であるという思いが強かったようだ。


実際、今年行われた第32回東京国際映画祭では特別招待作品として上映され、第74回毎日映画コンクールでも『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が、アニメーション映画賞にノミネートされた。まさしく映画界が“新作”という評価をした証明となる出来事だ。のんも「本当に嬉しい。私自身、期間を置いて同じ役に挑む経験が初めてだったので、どういう風に受け入れてもらえるか気になっていたんです。その意味で“新作”として見てもらえることは、驚きと喜びでいっぱいです」と笑顔を見せる。


■片渕監督との出会いで「ものづくり」に勇気がもらえた(のん)


公開日直前まで制作を続け、こだわりを見せるクリエイターとしての執念にも近い片渕監督の姿勢に、のんも多大なる影響を受けた。「自由にやりたいことをやろうと決めて“のん”になったのですが『この世界の片隅に』で片渕監督とご一緒できたことは、本当に大きな出来事でした」としみじみ語ると「9年に渡って一つの作品に没頭する姿を見て『あーここまでしてもいいんだ』と、ものづくりに対して勇気をもらえました」と感謝を述べる。続けて「危険な領域に足を踏み入れた気がしました」といたずらっぽい笑顔を見せると「私もこんなスタンスで映画に携わっていきたいと思いました」と決意を新たにしていた。


取り組む姿勢だけではなく、さまざまな“表現”を探求するのんにとって、技術的にも“声だけの芝居”を経験できた本作への参加は大きな実りがあった。「声だけの演技はあまり慣れておらず、初めて経験することばかり。今までは、感情が動いたところを監督に切り取ってもらえばいいという感覚で演技をしていたのですが、シーンを身体的に作っていくことができないなかで、声だけで勝負することは、とても刺激的でした。お芝居という部分でも、この経験はすごく勉強になりました」。

片渕監督はのんの魅力について「格好つけないこと」と述べる。主人公のすずは、のどかであけっぴろげでありながら、影もあり、コミカルさもある。非常に多面的な女性であるが、片渕監督は「格好つけるとすずさんにはならないんです」と断言する。若い多くの女優さんには“華やかでいたい”という思いが少なからずあるというが、のんはその外側で演技するのを感じるという。「のんちゃんは『男はつらいよ』の寅さんを演じた喜劇俳優の渥美清さんが目標と言っているんです。そういう若い女優さんはいませんよね。そんな子だからこそ、すずさんになれたんだと思います」と賛辞を送っていた。


■作り手と観る側が影響し合って作品が成り立つのが理想(のん)、観た人が作品と自分の人生をすり合わせて映画が完成する(片渕監督)

片渕監督にとって9年4カ月、のんにとっても3年以上に渡って共にした『この世界の片隅に』と『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。のんは「この映画に出会えなければ、自分自身がこんなにものづくりに対して意欲的になれていなかったと思います」と語ると、日本ばかりではなく、世界中から作品に対する反響が寄せられることに「すごく励みになります。観てもらえる人がいるからこそ、いろいろなことに挑戦しようとやり続けられるし、面白い視点に出会えると嬉しい。作り手と観る側が影響し合って作品が成り立つというのは、一つのあるべき姿だと思うんです」と本作が、視聴者と理想的な関係を築けていることに胸を張る。


片渕監督も「TwitterやSNSが発展して、観客の方からの正直な声を聞くことができるようになってます。なかには僕らが考えてもいなかったような解釈をしてくれる人もいます」とファンの声が新たな気づきにつながることがあると言うと「僕は自分が作った映画が決定的なものだとは思っていません。観た方が、ご自分の今までの人生と作品をすり合わせたとき、映画が完成すると思っています。観た方すべてに、それぞれのすずさん像がある。それを聞かせていただけるのは、この上ない幸せなんです」と語った。


「いつまでたっても『この世界の片隅に』に感動できる人でいたい」と語ったのん。その思いを抱き、2020年も「いろいろなことに挑戦していきたい」と抱負を述べる。片渕監督も「すずさんと9年間付き合って、人に対する柔らかさを教わった気がします。今後、ものづくりをしていく上で、すずさんの残り香を意識していきながら、進んでいきたい」と前を向いていた。


取材・文:磯部正和

撮影:稲澤朝博


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のん
女優、創作あーちすと。
1993年兵庫県生まれ。 2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」を受賞、高い評価を得る。 作品は同映画祭で作品賞、第40回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。
2017年に自ら代表を務める新レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足。シングル『スーパーヒーローになりたい』『RUN!!!』とアルバム『スーパーヒーローズ』をリリース。2019年にはミニアルバム『ベビーフェイス』、デジタル配信限定シングル『わたしは部屋充』をリリース。2020年2月にはのん主催のフェス『NON KAIWA FES vol.2』の開催が決定している。
創作あーちすととしても活動を行い、2018年自身初の展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催。
2019年には初めての舞台「私の恋人」へ出演、1年半の軌跡を追った映画製作ドキュメンタリーYouTube Originals『のんたれ(I AM NON)』と初監督映画「おちをつけなんせ」公開、劇場アニメ「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」公開、2020年3月にはヒロインを演じた映画「星屑の町」が公開予定。
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  • 改めてすずが単に呑気茫洋で無く一人の女として喜怒哀楽も当り前に実は激しく熱く懊悩する姿が他の何かと政治思想丸出し戦争作品と違い良かった https://mixi.at/a1E6JNA
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