『スカーレット』松下洸平が陶芸家として名をあげる 一方で抱える苦悩も

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2020年01月06日 12:12  リアルサウンド

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『スカーレット』(写真提供=NHK)

 父・常治(北村一輝)との別れを経て、自由に、無心に、自分の作品を作り上げた喜美子(戸田恵梨香)。それから3年後の昭和44年1月。喜美子は31歳になった。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が14週目を迎え、陶芸に行き詰まりを感じ始めている八郎(松下洸平)と、母として妻として生活しながら、自由に作品作りを続ける喜美子の対比が印象的な回となった。 


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 常治が亡くなってから3年後、川原家の暮らしぶりは変わっていた。朝、息子・武志を起こす喜美子。二人が居間に向かうと、台所には今までなかったテーブルが。よく見ると洗濯機や冷蔵庫、炊飯器なども置かれている。マツ(富田靖子)や百合子(福田麻由子)に「おはよう」を言う武志の口からは「テレビ欲しいなあ!」という発言まで。


 八郎が陶芸展で金賞を取って以来、展示会や個展の開催、注文製作など、仕事が順調に入るようになった。八郎の作品が高い値で売れる時もあり、以前より生活が楽になったのだ。ただ、陶芸家として名をあげる一方で、八郎には息苦しさが増すようになっていた。


 喜美子はそんな八郎を支えている。照子(大島優子)からは「ハチさんの10歩も20歩も後ろ下がってんねんなあ?」「(結婚したら後ろに下がることが)喜美子にしたら信じられへんことやで?」と言われていた。しかし喜美子は強制されて後ろに下がっているわけではない。八郎の才能を誰よりも信じているからこそ、献身的に彼を支えているのだ。「すばらしい作品て何やろ……」と呟いた八郎に「ハチさんの金賞取った作品な? ず〜っと見てても飽きひんねん」「川原八郎ならできる」と励ます喜美子。押しつけがましさのない素直な言葉は、険しい顔をしていた八郎の心をほぐしていった。


 とはいえ、母として妻として、そして作家として日々をいきいきと過ごす喜美子の表情と、八郎のなかなか晴れない表情の対比は、どこか不穏さを感じさせる。陶芸に向き合う時、二人は度々ぶつかってきた。現在の喜美子が見せる自由な作風と八郎の真面目さが、二人の歩みに亀裂を生じさせなければいいのだが。


(片山香帆)


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