アバンティーズはなぜ愛されるのか 「お年玉」動画に見る、決して変わらない”好奇心”と“可愛げ”

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2020年01月09日 17:12  リアルサウンド

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動画サムネイルより

 人気YouTuberグループ・アバンティーズの「お年玉」動画が面白い。2年前、『大物YouTuberに、お年玉もらえるまで帰れま10!!』と銘打ち、【選抜編】【突撃編】【強奪編】【集計編】と大作動画を投稿した彼ら。当時21歳だった4人が「まだギリギリもらえる年!」と言っていたのが懐かしい。今年「23歳、まだいける」と豪語するそらちぃに、「2年前のギリギリとは?」とツッコミを入れずにはいられないが、それが許されてしまうのもアバンティーズに漂う“永遠の弟感”ゆえだろう。


(参考:アバンティーズが教えてくれた“愛にあふれた人生の原点” 4人の2019年を振り返って


 2019年、アバンティーズには大きな変化があった。エイジさんが旅立ち、リクヲが動画活動休止を宣言。楽しい仲間と過ごす時間の尊さ。当たり前につづくと思っていた日々の大切さ。そんなことを改めて痛感した1年でもあった。


 セルフオマージュとなる今年の動画は、あえて2年前の編集とそっくりにあしらわれている。それゆえに浮き彫りになるアバンティーズに訪れた大きな変化を実感するが、逆に彼らの中で決して変わらないものも見つけることができる。それは、彼らがずっとYouTubeを楽しんでいるということだ。


 今や、YouTuberは一つの職業として、広く認知されている。もともとは「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーの通り、趣味や好奇心の赴くままに、動画を撮影し、何にも追われずに投稿していくものだった。だが、好きなことゆえに休むことなく没頭してしまうYouTuberも少なくなく、過労で倒れてしまったという話も聞こえてくる。


 一方で、アバンティーズはもともと「休みへのハードルが低い」と自負してきたグループ。新体制になるにあたって、応援してくれる視聴者への恩返しをしようとがむしゃらになった時期もあったが、今ではまた自分たちのペースに。だからだろうか、彼らの動画には「YouTuberの仕事」というよりも、「気の合う仲間たちの遊びの記録」という空気がずっと消えない。


 「お年玉」動画も、大物YouTuberとのコラボで再生回数が伸びるのは、誰もが予想できるところ。だが、そうしたビジネス的な狙い以上に「勢いにノッてるあの人なら、いくらくれるのかな?」という好奇心が勝っているように感じる。むしろ「お年玉を口実に、人気者に会いたい」という、ミーハー心さえも見え隠れする。そこが、アバンティーズの可愛げなのだ。


 2年前の動画でもHIKAKINにアポイントが取れたとき、思わず「集まれ!」と大興奮していたり、水溜りボンドにLINEで“東海オンエアに”と誤って送ってしまったことに「ヤバい!」と青ざめたり……。先輩を尊敬する気持ちはあるが、変な遠慮はなく。周りからの見られ方よりも、自分たちの喜怒哀楽がまっすぐに出る。そんなふうに甘えられたら、誰もがその気持ちに応じずにはいられない。


 アバンティーズの「お年玉ください」とは、いわば盛大な大喜利なのかもしれない。かわいい後輩に、どう応えるのが粋か。それをセルフプロデュースの動画で見せるのは、難しい。だからこそアバンティーズとのコラボ動画は、YouTuberにとって株を上げるチャンスにもなる。


 今年、選抜されたのは、東海オンエア、スカイピース、ヒカル、フィッシャーズ、はじめしゃちょーと畑メンバー、きまぐれクック、水溜りボンド、カジサックの8組。トップYouTuberたちだけにやはり個性が光る。東海オンエア・てつやは、何よりもフットワークの軽さを見せつけ、スカイピースはボリュームのある紙袋を用意し、開けるまでのお楽しみを作った。


 はじめしゃちょーはスマブラで勝負して金額を決めるというゲーム性を出し、フィッシャーズはメンバー内で誰が財布にいくら持っているのかがわかる、ワクワクの展開に。「さばいていく!」でお馴染みのきまぐれクックは、何やら生物が入っているような箱をそっと差し出し、カジサックは抜群のトーク力でお年玉を渡すだけの場面を見応えのあるショーにしてみせる。


 ヒカルは、さり気なく4人分のポチ袋を渡し、多くの視聴者の胸を熱くさせた。水溜りボンドのトミーもまた然り。「一人で来てるけど、(サイコロを)4回振って」と、今でもアバンティーズは4人だと言葉にせずに伝えていく。彼らがアバンティーズに向けて抱いていたその想いを、それぞれの動画で見せることはきっとない。


 可愛がられ上手なアバンティーズだからこそ、引き出すことができる大物YouTuberたちの男気。すでにホクホクとした気持ち(お年玉)をもらったような気分だが、次回はいよいよ【集計編】だ。日本のYouTube界のトップを走る男たちの心意気が、どれほど詰まっているのか実に楽しみだ。


(佐藤結衣)


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