グリップ力は? 燃費は? オールシーズンタイヤで冬のドライブへ

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2020年01月17日 11:32  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
北米や欧州では当たり前。そして最近、日本でも人気が出てきたのがオールシーズンタイヤだ。夏タイヤ並みの走りに加え、ちょっとした雪にも対応できる万能性を各社がアピールしていて、非降雪地帯にお住まいのユーザーにとっては理想的なタイヤであるというイメージが形成されつつある。

今回は、筆者の愛車であるメルセデス・ベンツ「S124ワゴン」(1995年製E220)に、昨シーズンに発売となったミシュランの通年用タイヤ「クロスクライメート」を装着し、高速道路、一般道、そして雪道を実際に走ってみて、グリップ力や燃費性能など、気になる部分を確認してみた。

○軽井沢の雪道で試したオールシーズンタイヤの実力

実は、筆者のS124は3シーズン前からオールシーズンタイヤを装着していた。それは、去年の夏にレポートしたグッドイヤー製の「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」で、日本におけるオールシーズンタイヤのパイオニア的な存在となったタイヤだ。

記事を読んでいただくとわかるように、その性能は十分に満足できるものだったのだが、昨年末までの総走行距離は2万5,000キロを超え、ついに残り溝が50%を切るサインが現れた。雪上性能はブロック高が頼りだが、こうなってしまうと、その性能を十分に発揮できなくなることは、容易に想像できる。そこで、新しいタイヤに交換ということにあいなったのだ。

日本でオールシーズンタイヤを買おうと思えば、海外メーカーとしてはグッドヤーのベクターをはじめ、ミシュラン 、ダンロップ、ピレリなどがあり、国内メーカーではヨコハマやファルケンなどがあって、まさによりどりみどりの状態。今回、筆者が選択したのはミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート」だ。欧州では2015年から販売されているという実績と、このカテゴリーの弱点である静粛性と走行安定性の改善に着目した「雪も走れる夏タイヤ」というキャッチコピーが刺さったので、これに決めた。

「クロスクライメート」をアピールするミシュランのメッセージを読めば、オールシーズンタイヤの特性がよく分かる。いわく、季節ごとのタイヤの履き替えが不要で手間いらず、タイヤの保管スペースが不要、タイヤコストを抑えられる経済性、幅広い温度域に対応するコンパウンドによるさまざまな路面への接地効果、ユニークなトレッドパターンによる最大限の雪踏み効果、面取り加工のトレッドブロックによる優れたドライブレーキ性能、高性能サイプによる安心感などなどだ。
○雪道を求めて軽井沢へ

S124のタイヤサイズは195/65R15。現代のクルマからすると、かなり細身に見える。トレッドデザインはオールシーズンタイヤらしいV字のシェープだが、ベクターが厚いゴムのトレッド面にV字の溝を刻んでいるのに対し、クロスクライメートは薄いゴムをベースにした表面にV字の山を並べていったような独特のデザインになっている。

サイドウォールには「M+S」の刻印とともに、欧州で冬用タイヤとして認められる「スリーピークマウンテン・スノーフレーク」マークが記されているので、自動車専用道路での冬タイヤ規制時でもそのまま走ることができる。ただし、当然ながらチェーン規制時にはチェーンの装着が必要になる。ちなみに、装着したタイヤは「MADE in ITALY」で、2019年の31周目(7月末)に製造されたものだった。

2019年の暮れ、雪があるとの情報を得たので、長野県の軽井沢に向かってみた。住まいから程近い国立・府中インターから中央道、圏央道、関越道を経て、碓井軽井沢インターまでの約150キロはドライの高速区間だったが、パターンノイズの静かさと明確に向上した直進性、さらに、路面の情報をマイルドかつ正確に伝えてくるという、まさに夏タイヤのような走行性能がとても印象的だった。S124はベクターを装着する前、ミシュランの「エナジーセイバー+」を装着していたので、まさに“あの感じ”を思い出した。

軽井沢町内の一般道では、裏道や日陰の道路など、あちこちに数センチの雪の残る道路があったので、そこを選んで走ってみた。確実にトラクションがかかっているという安心感は思っていたよりも大きくて、急な斜面やどか雪の積もったような路面に遭遇しない限り、全く心配なくドライブできそうな印象だった。

クルマを停めて後方を見てみると、うっすらと雪が積もった路面には、クロスクライメートのV字パターンが鮮やかに刻まれていた。トレッド面のブロックが、雪をガッチリと噛みながら走る様子が容易に想像できる。

別荘地内には、歩くとツルツルと滑ってしまうような、残雪がガチガチに凍った道路もあった。そうした路面にも進入してみたのだが、ゆっくりしたスピードで走り抜けるのであれば、全く問題なしだ。試しに、下り坂の斜面で強くブレーキをかけてみると、ABSは効きつつも「ツツーッ」と車体が流れていき、通常の制動距離ではストップできないことが確認できた。短時間の雪上走行だったが、今回のようなライトな雪道では、クロスクライメートが持つ性能だけで十分に対応できそうで、いざという時のためにラゲッジに積んで行った亀甲式のチェーンは全く使わずじまいで済んだ。

軽井沢から国立市への帰り道は、信越本線の横川駅でお土産の「峠の釜飯」を買ったりしながら、ひたすら一般道を走ってみた。時速40キロ前後での走行ノイズの小ささや段差通過時のショックの少なさ、さらに交差点での右左折、車線変更などでの「グニャグニャ感」のなさも、夏タイヤそのものだ。

この日のトータル走行距離は338キロで、使用したハイオクガソリンは26.97L。単純な満タン法で計算すると、燃費は1Lあたり12.53キロとなる。乗車人数や荷物の量、走行ルートなどの走行条件が違うとはいえ、夏に記録したベクターのロングドライブでの燃費は1Lあたり10.83キロだったから、ひょっとしたらこのクロスクライメート、燃費性能にもかなり期待できるのかもしれない。

○著者情報:原アキラ(ハラ・アキラ)
1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。(原アキラ)
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